ミールの危機
補給ヘリ部隊に、ドローンが迫っているって……なぜ?
いや、なぜもへったくりもあるか。帝国軍の行動は当然だ。
敵の補給を断つのは、戦法として正しい。
おそらく、補給ヘリ部隊の進路上に接続者がいて、ワームホールを開いたのだろう。
しかし迂闊だった。
艦長が索敵範囲を広げるかという提案をした時に、そうしていれば……
いや、今さら後悔しても始まらない。
それよりも問題は……
「ミールが、なぜその事を知っている? まさか!?」
ミールはコクッと頷く。
「ヘリの一機に、あたしが乗っています」
「なぜそんな事を……」
「あたしだって……カイトさんのお役に立ちたかったんです。だから、モリタ指令にお願いして……」
なんて事を……
「艦長。ヘリ部隊の、現在位置は分かりますか?」
僕の質問に、艦長は困ったような顔をする。
「それが、十分前からヘリ部隊との連絡が取れなくなって……」
「カイトさん。ヘリ部隊は妨害電波で、どことも連絡が取れなくなっているそうです」
「なんだって!?」
「だから、あたしは機長さんに頼まれて、分身体を通じて救援要請を……」
「分かった! すぐに助けに行く」
とは言え、位置が分からないのだよな。
「艦長。ヘリ部隊を最後に確認できた場所を教えてください。そこから、位置を推測します」
「分かりました」
僕はロボットスーツ隊の面々に顔を向けた。
「これからヘリ部隊を救出に向かう。来てくれるね?」
「もちろんです。私は北村さんの部下ですから」「隊長。今回も、対空装備は長弓を使いますがいいですね?」
芽依ちゃんと橋本晶は快い返事をしてくれたが、古淵だけが浮かない顔をして答える。
「隊長。私はあなたの部下なので、命令とあらば出撃しますが、その前に落ち着いて下さい」
「僕は落ち着いている」
「いいえ、落ち着いているあなたなら、事前準備を怠らないはずです。しかし、今のあなたはミールさんの危機で冷静さを失い、居ても立ってもいられない様子」
「そんな事は……」
いや、言われてみれば……そうかも……
「このまま闇雲に出撃しても、誰も助けられません。まずはヘリ部隊の、現在位置を確認するべきです」
「それができないから困っているんじゃないか」
「いえ、できますよ。向こうにミールさん本人がいて、ここに分身体がいるのですから、ミールさんを通じて向こうの機長から口頭で座標を聞き出せばいいのです」
あ! その手があった。
「もしくは……」
そう言ってから、古淵は僕の耳元に囁いた。
「ミールさんの、プシトロンパルスを辿るという手もあります。しかし、そうなるとルスラン・クラスノフ博士の協力が必要となりますが……」
それは……イヤだ。
一分後、ミールを通じてヘリの機長から、現在位置の座標を聞き出した。
それによると、ヘリ部隊の現在位置は《はくげい》から、九時半の方向三十キロ付近。
敵の数はドローンが五十機。
すでに、ヘリ部隊の護衛ドローンが戦闘状態に入っているが多勢に無勢。
ヘリ部隊が落とされるのは時間の問題だ。
「よし! 行くぞ!」
僕は《はくげい》の甲板から飛び立った。
その後ろから、芽依ちゃん、橋本晶、古淵が飛び立つ。
ミール! 僕が行くまで無事でいてくれ。




