ワームホールから攻撃
橋本晶の放った矢は、僕の脇を掠めて通り過ぎていった。
いったいなんのつもりだ?
と、問いただす前に、背後で爆音が轟く。
振り向くとそこにあったのは……!
「これは!?」
百メートルほど離れた位置で、落ちていくドローンの姿。
「隊長。驚かせてすみません。突然、背後から殺気を覚えたので振り向いたら、そこにドローンがいたのです」
いったい、どこからドローンが?
その答えは目の前にあった。
何もない空中に、光り輝く穴が出現していたのだ。
「隊長。これは……」
「ワームホールだ」
僕らがベイス島を去った二週間後、リトル東京とカルカの連合軍が北ベイス島の地下施設へ攻撃を仕掛けたが奪取には失敗している。
しかし、この時に地上走行ドローンの自爆攻撃で、なんとか時空穿孔機を使用不能にできた。
ただ、スーホの見立てでは長くても半年ほどで自動修復されてしまうらしい。
どうやら、修復は終わってしまったようだな。
「どこから別働隊が来るのかと思っていたら……隊長は、これを予想していたのですね」
「まあ、そうだな」
ただ一つ予想と違っていたのは、別働隊の攻撃目標は《あすか》ではなく、どうやら僕らしい。
ワームホールは、僕達と《あすか》の間に出現していたのだ。
こっちの戦力を分断するつもりか。
ワームホールからは、新手のドローンが出てきた。
また、S131。
ドローンは出てきても、すぐには攻撃してこなかった。
おそらく数が揃ってから、一斉にかかってくる気だろう。
「まずいですね。ここで攻撃を防げたとしても、敵がワームホールを使えるようになったとすると、どこから攻撃を受けるか」
「ああ。できれば、ミサイルをワームホール内に撃ち込んで、向こうの施設にダメージを与えたいところだが……」
ロケット弾はすでに撃ち尽くした後……待てよ。
「橋本君。矢はまだ残っているかい?」
「五本残っています」
「それでワームホールを狙えるかい?」
「お任せください」
ビュン!
橋本晶の放った矢は、真っ直ぐとワームホールへと向かっていく。
爆矢の威力はそれほど大きくないが、ワームホール内に撃ち込めば多少ダメージを与えられるかもしれない。
もう少しで、矢がワームホールに飛び込む。
と思ったその時、ワームホールから一機のドローンが出てきた。
矢は、出てきたばかりのドローンに反応して爆発。
「おしい。だが次は外しません」
橋本晶は二の矢を構えた。
「待て、橋本君。爆矢の威力ではやはり弱い」
「では、どうするのです?」
「僕がワームホールに肉薄して爆弾を投げ込む。君はその援護をしてくれ」
「え? それはいいのですが、爆弾なんか持ってきていましたっけ?」
「爆弾ならある。とにかく頼んだよ」
「はあ?」
僕はワームホールに向かって突進した。




