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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十七章

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青年と老人2

 老人が刑務官に押さえつけられてから、青年は話を続けた。


「あなたは一つ勘違いをしていますね。僕はあなたに『なぜ戦争を始めたのか教えてほしい』と、お願いをしに来たわけじゃありません」

「では、『教えろ』と命令でもしに来たのか?」

「いいえ。観測しに来たのです」

「観測? 何をだ?」

「あなたをですよ。元大統領」

「私を?」

「そうです。先ほど僕は、戦争はバカが起こすと言いましたね。だから、バカの試料(サンプル)を科学的に分析して、戦争を防止する方法を探そうというのですよ」

「バカの試料(サンプル)とは、私の事か?」

「他に誰がいます?」


 老人はしばし怒りを堪えてから口を開いた。


「言っている意味がよく分からん。私を科学的に分析するだと? どうすると言うのだ」

「そのままの意味ですよ。僕は最初に脳科学者と言ったでしょ。脳科学者として、あなたを観測するのです。僕は先日まで日本に留学して、田崎優梨子教授の研究室にいました」

「田崎優梨子?」


 老人はその名前に聞き覚えがあった。


「確か……人間の記憶を電子データ化して、猫に移したとか……」

「そうです。彼女の開発したブレイン・スキャナーという装置は、人間の脳内にある記憶を読みとります」

「まさかと思うが……それを私に使う気ではないだろうな?」

「はい。その通りです。さっき僕は言いましたね。なぜ戦争を始めたのかを『知りたい』と。しかし『聞きたい』とは一言も言っていません。ブレイン・スキャナーを使って、あなたの意志など関係なく、記憶を吸い上げるという意味で言ったのですよ」


 老人の顔に、初めて恐怖が浮かんだ。


「記憶を、吸い上げるだと?」

「ええ。根こそぎ吸い上げます」

「やめろ! やめてくれ。それだけは……プライバシーの侵害だ!」

「ほお。その様子だと、よっぽど頭の中を見られたくないようですね」

「当たり前だ!」

「そうですか。あなたが、それほどまでに嫌がるのなら……」

「やめてくれるのか?」

「いいえ。ますます、やりたくなりました」

「若造! 私に、何か恨みでもあるのか!?」

「はあ? 僕は最初に言いましたよね。親を殺されたと……」

「……いや……それは……私が手を下したわけでは……」

「戦争があった頃、僕は十歳でした。あの時、住んでいた家が突然崩れ、目の前で父と母が瓦礫に押しつぶされた。その時に受けた僕の悲しみが、あなたに分かりますか?」

「それは……」

「僕だけが瓦礫の間にある僅かな隙間に取り残され、隣国の兵士に救出されるまで糞尿まみれで過ごした間に味わった絶望が、あなたに分かりますか?」

「待て! 隣国の兵士に救出されただと? では君は我が国の国民なのか?」

「そうです」

「ならば、私を恨むのはお門違いだ。恨むなら、我が国に一方的に戦争を仕掛てきた隣国に……」


 その言葉を耳にして、今まで笑顔だった青年の顔は憤怒の形相へと変貌し、老人を怒鳴りつけた。


「戦争を仕掛けたのはてめえだ! ジジイ!」

「ひぃ……」


 青年の唐突な豹変ぶりに、老人は思わず悲鳴を上げた。


「いい加減、下手な嘘を付くのはやめろ! おまえが隣国に一方的に戦争を仕掛け、隣国の恨みを買ったのだろう! そのせいで僕の両親は死んだ。すべてはおまえのせいだ! おまえの下らない妄想が原因だ!」

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