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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十六章

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なりすまし(矢部の事情)

 異星人とはいえ、スーホの顔は地球人と同じ。


 感情の変化も顔に現れる。


 その表情を見て矢部は確信した。


 スーホ達タウリ族は、やらかしてしまったのだと……


「スーホさん。まさか? 《マトリョーシカ》を……」

「監視者任務引継に来た船と判断して、歓迎してしまったのだよ」

「あちゃー! やっぱり……しかし、なんでそんな事に? 書類とかで、確認しなかったのですか?」


 確認もしないで監視者を交代してしまったら、侵略者が監視者になりすます事だって可能だ。


遺伝子(D N A)で地球人であるかの確認だけは行った。共同体本部から送られてきた地球人のデータと、《マトリョーシカ》乗組員のデータが一致したので彼らを引継と判断してしまったのだ」

「大ざっぱだなあ……」

「私もそう思う。本来なら確認のために、もっといろいろな手順があったのだが、我々も急いでいたのでそういう手順を飛ばしてしまったのだ」

「なんで、そんなに急いでいたのです?」

「私はこの惑星で生まれ育ったのだが、監視者任務に携わっていたタウリ族のほとんどは本国から派遣された者達だ。そして彼らの間では、不満が蓄積していた」

「不満? 何が不満だったのですか?」

「本国から来た者達には、この未開惑星での生活が耐え難いものだったようだ」

「ああ! ちょっと分かるかも」


 矢部は思った。快適な都会暮らしに慣れた者が、突然不便な離島に赴任させられたら、そりゃあ早く帰りたいと思うだろうと。


 それと同じ事だったのだろう。


「そんな時に、近くの恒星系の住民が……つまり地球人が共同体に加盟したというニュースが飛び込んできたものだから『監視者任務を地球人と交代しろ』という要請を本国へ度々送られるようになった」

「それで共同体に加盟したばかりの地球人が、監視者任務を引き継ぐことになったのですか?」

「そうだ。《マトリョーシカ》到着時点で、惑星ナンモに駐在するタウリ族のほとんどは、さっさと地球人に任務を引き継いで本国に帰りたいという者ばかりでね。地球人が地表に降りた後、数日中にほとんどの者はワームホールを通って本国へ帰還してしまった。残ったのは私を含めて七名だけ」

「スーホさんは、帰らなかったのですか?」

「私はこの惑星で生まれ育ったのだ。今更、見たこともない本国など帰りたいとも思わないし、この惑星に残留し地球人を補佐することにしたのさ」

「しかし、《マトリョーシカ》から降りてきた乗員と接触して、おかしいとは思わなかったのですか?」


 それ以前に《マトリョーシカ》の乗員やレム神は、いきなり異星人から歓迎されて戸惑わなかったのだろうかと矢部は思った。


 戸惑ったのだろうけど、どうやらレム神はタウリ族の誤解につけ込んで監視者になりすます事にしたのではないだろうか?


 あるいは最初から監視者に、なりすますつもりだったのでは?


 あらゆる疑念が矢部の脳裏を過る。


「話が噛み合わないとは思っていたが、まあ共同体に参加したばかりの異星人なのだから、そんなものなのだろうと思っていた。それに地球人達も最初のうちは、我々から真面目に監視者任務について学んでいた」

「いつ、怪しいと気がついたのですか?」

「《マトリョーシカ》が到着して十数年経過してからだな。地球人をベイス島の施設に初めて招いた時の事だ」

「初めて? それまで、ベイス島には呼ばなかったのですか?」

「ああ」

「それは、信用できなかったから?」

「そうではない。監視者任務を引き継ぐとは言え、我々の科学技術を、みだりに地球人に教えるわけにはいかなかったからな」

「当然ですね」

「ただ、地球のワームホール技術は遅れていたのでね。このままだと、地球人だけではこの惑星で何かあった時に銀河共同体と連絡が取れない。だから、連絡業務は我々残留タウリ族が引き受ける事になっていたが、いざとなった時には地球人にもワームホールの操作を覚えてもらった方がよいと判断したのだ」

「いいのですか?」

「そのぐらいなら、技術を盗まれる事はないだろうと判断してね。ところが、ここで意外な事があったのだ」

「何があったのです?」

「あの時は、三人の地球人をベイス島の地下施設に入れた。ところが、地下施設に入った途端、地球人の一人が突然倒れてしまったのだ」

「死んだのですか?」

「いや、意識を失っただけだ。その時は残りの二人から貧血だと説明を受けた。だが、私はどうも腑に落ちなかった」

「なぜです?」

「地下施設に入るまで、彼は何ともなかった。それが、第一層から第二層へ続くスロープに入った途端に糸の切れた操り人形の様に倒れたのだよ」

「だから貧血なのでは?」


 スーホは首を横に振る。


「第一層とスロープを遮る扉には、プシトロン吸収幕が埋め込まれてある。つまり、扉を閉じたらプシトロンパルスはスロープ内に入ってこられない。彼が倒れたのは扉を閉じた直後。そうなると、彼が倒れた原因は貧血などではなく、プシトロンパルスが途切れたためではないかと、私は疑念を抱いた。そこで、プシトロンパルスの観測を行った結果、何者かが、プシトロンパルスを使って地球人を操っているという事が分かったのだ」

「レム神ですね」

「そうだ」


 その日以来、タウリ族は地球人とは一定の距離をおくようになった。

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