嘘なのだろうか?
「危ない!」
芽依ちゃんがとっさに構えた対レーザーシールドに、プラズマボールがぶつかる。
エラの奴、僕らを待ちかまえていたのか。
テントウムシにも数発向かうが、装甲に触れないうちにプラズマボールはことごとく弾き飛ばされた。
ふ! こんな事もあろうかと、テントウムシの装甲には密かに開発していた空間磁……じゃなくて、常温超伝導物質をコーティングしておいたのさ。
プラズマボールの一発や二発、マイスナー効果で弾き飛ばせる。
しかし、このまま攻撃を受けていると、テントウムシはガルウイングを開くことができないため、ミクは式神を外へ出せない。
「Pちゃん。テントウムシを環状通路まで後退」
Pちゃんに指示した後、僕も環状通路まで後退して、今まで抱き抱えていたPちゃんを床に降ろした。
「ここで待っていてくれ」
Pちゃんを残して放射状通路へ戻ったその時だった。
僕の左腕をプラズマボールが掠める。
バイザーにエラーメッセージが表示された。
『左腕の増力機構及び補助機構損傷。修復しますか? このまま使用を続けると深刻なダメージを被る恐れが有ります』
くそ! 修復を始めたら、左腕は全く動かせなくなるが仕方ない。
ミクが式神を出してくるまでぐらい、右腕一本で十分だ。
「修復開始」
『修復を開始します。百八十秒お持ち下さい』
三分か。
非致死性ゴム弾を装填した拳銃を抜いた。
エラに向けて射撃!
「無駄だ! カイト・キタムラ。No.7がやられた後に、その武器への対策は立ててある」
エラの姿を拡大してみると、赤いフルフェイスのヘルメットを被っていた。
対策していたのか。
「それより、カイト・キタムラよ。もう一度言う。私と取引をしないか?」
「取引には、応じられないと言ったはずだ」
「なぜだ? ここへ来たと言うことは、私が残してきた少年兵達から事情を聞いているのだろう? 私が、おまえに取って有益な情報を握っているという事を?」
「それは聞いた。しかし、こっちも事情が変わったのさ。あの倉庫は、内部に爆薬が仕掛けられていて無理に開けば爆発するそうだ。安全に開くには、あんたを殺すしかないらしい」
「なぜ、そんな事が分かった?」
「倉庫の扉に貼ってある紙に書いてあった」
「ちちい! あの張り紙に、そんな事が書いてあったのか」
曲がり角から、ミクの式神アクロが姿を現したのはその時。
「そんなわけで、悪いがここであんたには死んでもらう」
「待て! カイト・キタムラ」
「これ以上話すことはない! 行け! ミク」
アクロはエラに向かっていく。
「ええい! 話を聞け。式神使い! レム神がなぜ私を殺さないでここに配置したと思っている? おまえを誘き出して拉致するためだぞ」
それは知っているし、すでに対策も立ててある。
「ええい! これでも食らえ!」
エラが連続して放ったプラズマボールが、アクロの左腕を消失させた。
だが、そんな程度でアクロの動きは止まらない。
「これならどうだ!」
エラの連射プラズマボールは、アクロの首を消失させる。
それでもアクロは止まらない。
「くそ! 奴の憑代はどこに?」
アクロの胸にエラのプラズマボールが穴を穿った時、僕の背後からミクの笑い声が響いた。
「きゃははは! 憑代はそんなところにないようだ」
「おのれ!」
エラは僕の背後にいるテントウムシに向かって、プラズマボールを連射。
しかし、プラズマボールは装甲に触れることなくことごとく弾き飛ばされる。
「なぜだ? なぜ、プラズマボールが当たらない?」
「きゃははは! 無駄! 無駄! テントウムシにそんなへなちょこ攻撃利かないようだ」
「式神使いよ。笑っている場合ではないぞ。おまえ、その乗り物から降りないと、大変な事になるぞ」
「はあ? 嘘をつくなら、もっとマシな嘘をついたら。テントウムシから出たら、プラズマボールの餌食じゃないの」
本当に嘘なのだろうか?
いや、嘘に決まっているのだが……嘘にしては下手過ぎる。
まさか……




