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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十六章

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意外と腹黒い

 中央広場に戻って、早速ミールに捕虜の分身体を作ってもらった。


「第七層にいる小隊は、小隊としての(てい)をなしていません。本来なら、戦場に出すはずのない少年兵ばかりです」

「青年兵も何人かいましたが、いずれも俳優のような美形揃いでした」


 捕虜の分身体は、口々に第七層の様子を話してくれた。


 それによると、第七層にいる部隊は小隊とは名ばかりのエラの私兵……というより、エラの逆ハーとなっているらしい。


 ただ、それは彼女たちが直接見に行った情報ではなく、第七層に伝令に行った兵士から聞いたことだという。


 そして、伝令兵たちが第七層に降りる度に、少年兵の悲鳴が聞こえていたと……


 そこでいったい何が起きているのか、()して知るべし。


 それにしても、七人のエラのうち、なぜファーストエラだけが社会に適合できるようになり、他のエラたちはそうならなかったのか?


 脳間通信とは、そこまで人を狂わせてしまうものなのか?


 いや、エラは元々残忍な性格をしていた。


 だから脳間通信によって狂ったのではなく、元々狂っていたのだ。


 しかし、なぜかファーストだけが、正常になった? いや、正常とまでは言えないが、正常に近づいたわけだが……


 この違いは、なんなのだろう?


 ジジイにその事を話してみると……


「ふむ。脳間通信という機能は、元々生物に備わっていたものなのでそれ自体に害はない。じゃが、脳間通信機能が普段は眠っているのは、有害な情報を脳に入れないためじゃ」


 まあ、人間の脳をインターネットに直接つなげるようなものだからな。


 ウイルスなんかが感染したら大変だ。


 コンピューターなら廃棄すれば済むが、人間の脳はそうはいかない。


「同時複数再生されたコピー人間同士が、なぜ常時接続状態になるのかはわしにも分からん。じゃが、同一人物同士の意識だから、それほど害はないのじゃろう」


 じゃあ、なんで発狂する?


「いくら、同一人物同士と言っても、時間が経てば考えも変わってくるじゃろう。それが何十人も接続したら、情報を処理し切れなくなるのう」


 それは分かるが、エラは七人が繋がっただけだ。それだけでも、情報処理能力を越えてしまったのか?


「何人までならOKなのか分からんが、七人ぐらいなら情報処理能力を越えることはないかもしれん。じゃが、問題はそれだけではない」


 まだ、問題があるのか?


「これはあくまでも想像じゃが、七人のエラは互いの心が繋がってしまったことにより、七人だけの世界を作り上げてしまったのかもしれん」


 七人だけの世界?


「そうじゃ。七人だけで会話して、情報を共有しあうSNSのようなものじゃ。エラという女に取っては、脳間通信で繋がった同じエラだけが大切な仲間であって、言葉で話しかけてくる他の人間は、エラにとってはどうでもいい存在と認識していたのかもしれん」


 奴は前にミールに対して『私は友達がいないのではない! 作らないだけだ! 必要ないからな』と言っていたな。


 それは決して強がりで言っていたのではなくて、エラに取っては脳間通信で繋がっている七人の自分こそが大切な仲間であって、言葉という不完全なツールでしか繋がることのできない他人など、友達にする必要はないという事だったのかもしれない。


 それに対して、ファーストエラはずっと孤独だった。


 だから、友達が必要になり、そのために自分を変えていったという事だろうか?


「まあ、そんな事だろうな。エラのように少人数で繋がってしまうと、自分だけの世界を作ってしまい、他者と共存するために自分の悪いところを直そうとはしなくなってしまうのじゃろう」


 という事は、エラが元々善良な人間だったら、何も問題が無かったという事か……ん?


 ということは……


「ジジイ。まさか、あんたも同時複数再生されたのか?」

「いいや、わしは一人しか再生されておらぬぞ」

「では、なぜ再生されて三十年も経過しているのに、悪いところが直らない?」

「何を言う。わしほど善良な人間はおらんぞ」

「おのれのどこが善良だ! 女の子に悪さばかりしやがって」


 ジジイの頭を叩こうとしたが、ひらりと避けられてしまった。


 ムカつく。


「隊長!」「北村さん」


 ジジイを追いかけようとしたら、また芽依ちゃんと橋本晶に、腕を押さえつけられてしまった。


「気持ちは分かりますが、今は(こら)えて下さい。私だって切り捨てたいのを我慢しているのですから……」

「そうですよ。今はルスラン・クラスノフ博士の知識は必要なのです」

「ぐぬぬぬ」


 歯ぎしりする僕の耳に、芽依ちゃんは小声で囁く。


「プシトロンパルスの観測機器を作ってもらって、用済みになったら始末しましょう」


 芽依ちゃん……意外と腹黒い……

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