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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十六章

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自爆する方法

 中央広場へと走り去っていくスパイダーを僕は指さした。


「カルル。あのスパイダーに乗っているのは誰だ?」

「マルガリータ姫さ」


 やっぱり。《アクラ》で、大人しくしていると思っていたのに……


「まったく、あのまま捕虜にしていればいいのに、余計な奴を返しやがって」

「捕虜を返してやったのに、恨まれる筋合いはない。しかし、あの姫さん。よくスパイダーなんか操縦できるな」

「ブレインレターを使った促成教育を《アクラ》で受けてきたらしい。成瀬の奴、余計な事を……」

「そいつは災難だったな」

「ふん! やっかいなショタコン姫だが、あの姫はミーチャが目当てでここへ来た。そして、海斗。おまえは、ミクにミーチャの格好をさせているな」

「なぜ、それを知っている?」

「なぜもなにも、ミクは子ヤギの見ている前で着替えていただろう。子ヤギの目を通して、レム神はその様子を見ていた」

「なんだと?」

「だが、その事を姫は知らない。使えない姫様だと思っていたが、このまま中央広場の陣地へ行かせれば、ミクをミーチャだと思って拉致してくれるさ」

「そんな事はどうでもいい」

「え?」

「カルル。おまえ、ミクの着替えを覗いていたのか!」

「え? いや……これはだな……」

「この変態! ロリコン!」

「ち……違う! 俺はあんな、まな板胸に興味はない」

「嘘をつけ。本当は喜んで覗いていたのだろう」

「違う! そもそも俺は見ていない。見たのはレム神であって、俺はミクがミーチャに変装していると話で聞いただけであって……ええい! おまえの舌戦の相手をしている場合ではない」


 カルルはネットを連続で放ってきた。


 そのうちの一つが僕の機体にかかる。


 ネットを切り裂いて脱出した時には、カルルのスパイダーは天井に張り付いていた。


「あばよ。海斗、ミクはいただいていくぞ」

「待て!」


 カルルのスパイダーは、そのまま走り去っていく。


「芽依ちゃん。橋本君。追いかけるぞ」

「「はい!」」

「そうはいかないわ! ここは私が通さないわよ! エステス様の邪魔はさせない」


 僕たちの前に、イリーナのスパイダーが立ち塞がった。


「どけ! 三対一で勝てるとでも思っているのか!」

「エステス様が目的を達成するまでの、足止めぐらいにはなるわ」


 イリーナのスパイダーが、ネットを連続で放ってきた。


 しかし……


「あら?」


 ネットの射出は唐突に止む。


 弾切れ……いや網切れか。


「ここまでのようだな、イリーナ。女を殺したくはない。さっさと逃げる事だな」

「いいえ、死んでもここは通さないわ。私に近づいたら、自爆してあなたたちも巻き添えにしてやる」


 自爆か。それはちょっとやっかいだな。


 だが、芽依ちゃんは構わずイリーナのスパイダーに歩み寄る。


「ち……近づくんじゃないわよ! メイ・モリタ」


 そうだ。近づくな! 戻れ!


 だが、芽依ちゃんはさらにイリーナへ近づく。


「自爆すると言っているのが、分からないの」

「自爆したければどうぞ」

「なに?」

「今ここで自爆しても、巻き込まれるのは私一人だけですけどいいのですか?」


 いや、芽依ちゃんだけでも良くないぞ!


「おまえ、死ぬのが怖くないのか?」

「イリーナさんは死ぬのが怖いのに、自爆するのですか?」

「ええっと……」

「イリーナさん。下手なハッタリはやめましょう。軍用兵器ならともかく、警察車両のスパイダーに自爆装置なんかありません」


 そうだったのか。芽依ちゃんは、ハッタリだと分かっていたのだな。


「た……確かに自爆装置はないけど……エネルギー源の超伝導バッテリー。あれを爆発させるわよ」

「どうやって?」

「え? ええっと……」


 確かに超伝導バッテリーがクエンチしたら爆発するけど、この様子だとイリーナはどうすれば爆発するか知らないようだな。


「ではクイズです。超伝導バッテリーに何をすれば爆発するか? 次の四つの中から選んで下さい。一番、磁石を近づける。二番、熱する。三番、爆発の呪文を唱える。四番、液体窒素をかける。さあ答えて下さい。時間は十秒」

「正解の報酬はなに?」

「あなたの言ったことが、ハッタリではないと認めて足止めに付き合って上げます」


 いや、すでに足止めに付き合わされていると思うが……

ミール「どれが正解ですか?」

Pちゃん「答えは次回で」

ミール「せめてヒントを下さい」

Pちゃん「それではまず、超伝導(超電導とも書く)バッテリーの仕組みを説明しましょう。電気抵抗がゼロの超伝導物質のリングに電流を流すと、抵抗がないので電流は閉じた円環(リング)の中を永遠に流れ続けます。だから、超伝導物質のリング内には、電気エネルギーを蓄える事ができるのです。これが超伝導バッテリーです。正式には超伝導電力貯蔵システムというのですが、名称が長くてご主人様が覚えられないから、モニ系では超伝導バッテリーと呼んでおります」

海斗「いや、覚えられるから……」

ミール「なるほど。確かにモニ系世界ではよく使われていますね。カイトさんやメイさんが使っているロボットスーツとか、この前カルル・エステスが使っていたイワンとか」

Pちゃん「そうです。ただ、この超伝導バッテリー、モニ系世界では常温超伝導物質という事になっていますが、超伝導という現象が発見された時代では、ある特定の物質を絶対零度(摂氏-273.15℃)付近の極低温にまで冷やして起きる現象だったのです」

ミール「それは寒そうですね」

Pちゃん「寒いなんてもんじゃありません。そこまで物体を冷やすには、高価な液体ヘリウム(沸点-268.934℃)が必要でした。ところが近年になって、もっと高い温度でも超伝導状態になる物質が現れたのです」

ミール「高い温度って、どのぐらい高いのですか?」

Pちゃん「なんと。今まで液体ヘリウムが必要だったのが、液体窒素(沸点-195.8℃)でも可能になったのです」

ミール「それだって十分寒いじゃないですか。バナナで釘が打てます」

Pちゃん「まあ、そういう事ですから、常温で超伝導状態になるという事が、いかに凄いことか分かりましたね」

ミール「よく分からないけど、よく分かりました。ようするに現実にはありえないSF世界だけの物質ということですね。この先も、そんな物質は見つからないのかもしれないのですね」

Pちゃん「ところがどっこい。2020年には、絶対温度288.7°K(摂氏15℃)で超伝導状態になる物質が発見されているのです」

ミール「という事は、またSFが現実に追いつかれてしまったのですね。ところで、今の話を聞いていてクイズの答えが分かってきました」

Pちゃん「おお! さすが、ミールさん。して、答えは何番ですか?」

ミール「ずばり三番、『爆発の呪文を唱える』です」

Pちゃん「なんでそうなるんですか! ていうか、それ完全に、芽依様のネタ選択肢ですよ」



 他にも常温に近い温度で超伝導状態になる物質がいくつか見つかっておりますが、ギガパスカル単位の超高圧下での現象のようです。


 常温常圧の超伝導物質なら、まだSFの世界。

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