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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十六章

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ウラのウラをかく

 傾斜路の扉が開き、無人のテントウムシが第四層へ戻ってきたのは、みんなが食事を終えて一時間ほど経過した時のこと。


 テントウムシは何をやっていたかというと、帝国軍の負傷兵を地上に送り届けていたのだ。


 負傷兵は今頃、ヘリで《海龍》へと運ばれてカミラとロンロンが手当してくれているはず。


 こっちへ戻ってくる無人のテントウムシには、バッテリーや弾薬などの補給物資が入っていた。


「これで、第五層へ行く準備は整ったな」


 すでに第四層は隅々まで調べて、敵兵が居ないことは確認済み。


 問題は、第五層の様子だが……


「ミール。第五層へ送り込んだ分身体の様子は?」

「問題なく動いています」


 どうやら、第四層と第五層の間にもプシトロンパルスを遮る物はないようだ。


 ドローンによる偵察では、第五層の照明は完全に回復していて昼間のように明るい。


 帝国兵の姿はなかったが、ヒツジやヤギはうようよいた。


 これがスパイかもしれないという事は、あの後、みんなに伝えておいてある。


「ミク」


 テントウムシに乗り込もうとしているミクに声をかけた。


「テントウムシの乗り込む前に、打ち合わせたい事がある。ちょっと来てくれ」


 僕はミクを小部屋へ連れていく。


 小部屋には小ヤギを抱いた芽依ちゃんと、ミーチャの軍服を着ているアンドロイドがいるだけ。


「迂闊だった。負傷兵をテントウムシで運んだが、あの負傷兵たちの中にレムの接続者がいたかもしれない。そうだとすると、テントウムシが武装していない事がばれてしまっている可能性がある」

「お兄ちゃん。武装していなくても、あたしの式神で守れば……」

「いやいや。カルルがまた、変態触手を使うような機動兵器を出してきたら、テントウムシごと拉致される危険がある」

「じゃあ、どうすればいいの?」


 僕はアンドロイドを指さした。


「アンドロイドと服装を交換するんだ。もちろんバレバレの変装だが、逆にこんなバレバレの変装ならレムもフェイクだと思うだろう」

「分かった。ウラのウラをかくのね」

「そういう事だ」

「じゃあ早速……」


 いきなり、ミクは服を脱ぎ始めた。


「コラコラコラ! 着替えるのは、僕が部屋から出てからだ」

「どうして? お兄ちゃんは、あたしのまな板胸には興味ないのでしょ?」


 確かに興味はないが……自分で『まな板胸』とか言っちゃうのか……


「女の子は、恥じらいを持ちなさい」

「お兄ちゃん。それ、ミールちゃんにも言うべきだよ。戦闘モードになったミールちゃんの分身体、めちゃくちゃ恥ずかしいし……」

「ミールは、地球人じゃないから仕方ない。ミールのあのバトルコスチュームは、この惑星の伝統文化なのだろう」

「そうかなあ? ナーモ族でも、あんな恥ずかしい格好している女の子は他にいないよ」

「いや、ミールの姉弟子さんも、あの格好だっただろう」

「だって、二人とも同じ師匠から学んだんだよ」


 言われてみれば……


 そう言えば、ミールの師匠はどんな人なのか聞いていないな。


 もし、その師匠がジジイみたいな男で『女の子の分身体用バトルコスチュームはこれが伝統ぢゃ』とか言って、自分の趣味を女性の弟子に押しつけたという可能性も……

 

 一度、ミールに聞いてみた方がいいな。


 まあそれは良いとして……


「芽依ちゃん。僕が部屋から出たら、ミクの着替えを手伝ってやってくれ」

「はい」


 程なくして、僕たちは第五層に向けて出発。


 僕を先頭に、右後方に芽依ちゃん、左後方に橋本晶の九九式が正三角形を形成して床上一メートルの高さを浮いて進んでいた。


 三体の九九式の間にある反重力場に、Pちゃんが浮いている。


 Pちゃんは、まるで本当の人形のようにじっとしていた。


 現在は、六体のミニPちゃんをコントロールする為に、本体を動かす余裕がない……という事になっている。


 僕らの後ろからはテントウムシが付いてきて、その後から、ミールとキラ、ミーチャに変装しているミク、その後からジジイが付いてきていた。


 やがて、僕たちは傾斜路を抜けて第五層に入る。

 

 第五層に帝国兵がいない事は、ドローンで確認済み。


 それでも、僕たちは周囲を警戒しながら、第六層へつながる傾斜路へ向かって中央通路を進んでいた。


 中央通路は、幅十メートル、高さ五メートルほど。


 第四層への傾斜路と第六層への傾斜路の間八百メートルをつなぐ通路だ。


 途中に直径三十メートルほどの円形広場が三つある。


 異変が起きたのは、三つ目の円形広場を通り過ぎた時の事。


 最初にそれに気が付いたのは、最後尾を歩いているジジイだった。


「おい! 若造! 様子がおかしいぞ!」


 なにが? と思って振り返った僕の目に映ったのは、中央通路を埋め尽くすように僕らの後から迫ってくるヒツジやヤギの群だった。

 

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