なんか、コワい……
「ご主人様! お会いしたかったですぅ!」
車から降りるなり、Pちゃんは僕に抱きついてきた。
おいおい……今まで、こんなリアクションした事なかっただろう……ん?
Pちゃんは僕に抱き付いた姿勢のまま、首だけ横にずらして僕の背後に顔を向けている。
そおっと背後を振り向くと、ミールがムッっとした顔でこっちを見ていた。
なんか、コワい……
ミールは不意に引きつった笑みを浮かべると、車内に入りアンテナを接続したままのタブレットPCを持ってきてPちゃんに差し出した。
「これ、あなたのですよね?」
「まあ、わざわざありがとうございます」
Pちゃんはようやく僕から離れると、ミールからPCを受けとり、アンテナを頭に装着した。
「こんな物だけが帰って来たものだから、カイトさん、それはもう心配していましたよ」
「え? そうでしたの?」
「ご主人様に心配かけるなんて、困ったお人形さんですね」
「人形じゃありません。アンドロイドです」
「あら、そうでしたの? 日本語の「アンドロイド」って、人形という意味かと思ってましたわ」
「うう……人形じゃないもん!」
ヤバイ……なんとかしないと……
「あのさ、今はそれどころじゃないんだけど……」
一瞬、二人の険悪な視線が僕の方へ向かう。
「だからあ……今は一刻も早くエシャーを助けないと……」
折り畳み式テーブルを出して、その上にさっきの航空写真を広げた。
僕とPちゃんとミールとロットで、それを取り囲む。
「ロット。お姉ちゃんが、どこに閉じ込められているか分かるか?」
「ピー」
ロットは、首を横にふる。
無理か。
「Pちゃんは?」
Pちゃんは写真の一か所にマジックで印をつけた。
「私が最後に見た場所はここですが、今もここにいるかどうか分かりません」
「と、なるとあたしの出番ですね」
ミールがそういうと、暗闇から騎兵たちが出てきた。
「なんでこんなところに帝国兵が?」
一瞬、Pちゃんが身構える。
「心配ありません。これはあたしが魔法で作った分身です」
「Pちゃん。大至急、プリンターでウェアラブルカメラを十二個作ってくれないか?」
「いいですけど、どうするんです?」
「分身一体に一個ずつ持たせて、村の中を歩き回らせるんだ。そうやってエシャーを見つける」
「なるほど。その後はどうします?」
「エシャーの居場所が分かったら、そこから離れた場所に爆弾を仕掛けて爆破する。そうすれば帝国兵が集まってくるだろう。そこへ分身たちが帝国兵に銃撃をして、敵襲だと思わせ、エシャーの周辺をがら空きにする。その隙に助け出すんだ」
Pちゃんは少し考えこんでから言った。
「その作戦には、問題があります」
「問題?」
「エシャーさんは……というより、ベジドラゴンは夜目が効かないのですよ。この暗闇で助け出しても、エシャーさんは自力で逃げる事ができません」
「すみません。あたしもその事を忘れていました。となると、救出は夜明けを待たなきゃだめですね」
「そうか」
「それと、夜明けまで待っていたら、分身たちが消えてしまいます」
「分身はあとどのくらい持つの?」
「六時間ほどです」
「よし。救出は夜明けを待つとして、分身たちには偵察に行かせてくれ」
数十分後、ウェアラブルカメラを受け取った騎兵たちは暗闇に消えていった。




