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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十一章

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六年持ち堪えれば……(天竜過去編)

天竜過去編はここまでです。

今回の話の途中から海斗の一人称に戻ります。(海斗視点)の後から。

 この惑星の知生体は、頭に猫耳がある以外は、地球人と変わらない姿をしていた。

 先に聞いていたが、ナーモ族という種族らしい。

 そのナーモ族の少女が、僕と(チョー) 麗華(レイホー)に水を差し出してくれた。

 

「ありがとう」


 礼もそこそこに僕達は水を一気に飲み干す。


「ごめんなさい。二人を置き去りにしちゃって」


 (ヤン)さんが僕達に詫びた。


「いえ。良いですよ。助けを呼びに行っていたのでしょ」

「そうじゃないのよ」

「え?」


 楊さんは後ろに控えているナーモ族の一団を指差した。


「船から出たところを、この人達に捕まってしまったの」

「捕まった?」「だって、現地人との話はついていたのでしょ?」

「代表者とはね。でも、末端に兵士には伝わっていなくて。私達の姿を見た偵察兵が、私達を帝国の人間と誤解したのよ。翻訳機の用意をしていなかったので意思疎通ができなくて、私達はカルカ国の首都へ連行されたの」

「あの……帝国って?」

「マトリョーシカ号から降りたコピー人間達が作った国よ。カルカ国は、まだ直接の被害は受けていないけど、帝国に土地を追われた避難民がかなりこの国に来ていたの。偵察兵の中にはその避難民がいたのよ」

「しかし、どうやって誤解を解いたのです?」

「首都に行ったら《天竜》の使節団がいたわ。おかげで、すぐに誤解は解けたの。でも、その後が大変だった。《朱雀》がどこにも見当たらなくて」


 砂に埋もれちゃったからね。


 趙 麗華が楊さんの前に進み出た。


「置き去りされたのは仕方ないとして、私達だけどうして目覚めなかったのです?」

「月面基地を攻撃した直後に、あなた達の機体を通じてハッキング攻撃をかけられたのよ」

「ハッキングですって!?」

「でも、洞窟内ではニュートリノを使っていたから……」

「それが、幸いしたの。ニュートリノ通信はすぐに切れてしまったから、最初のハッキングには失敗したけど。今度は《朱雀》内のあなた達のBMIに直接ハッキングをかけて来たわ。すぐにブロックしたけど、その影響であなた達の意識が戻るのに時間がかかってしまったのよ」


 そんな事が……


「それから、《天竜》は海に落ちたわ。その前に必要な物と人間はすべてシャトルに積み込んで置いたけど。しばらく私達は、カルカ国の庇護下に入ることになるわよ」

「そうですか」


 分かっていた事なのに、《天竜》が失われた事を聞いて、僕は少なからぬショックを受けていた。《天竜》は、ただの船じゃない。僕達の家だったのだ。


 その家を守るために、青竜隊白虎隊の人達は死んでいったというのに……


「二人とも、落ち込んでいる場合じゃないわ。これからが大変よ」


 え?


「私達はこれから、現地の人達と手を組んで、レムがこの惑星に築いた帝国と戦わなきゃならない。落ち込んでいる場合じゃないわ」

「その前に、聞きたい事があるのですけど……」

「なあに趙 麗華さん」

「レムから、降伏勧告があったと言うのは、本当ですか?」


 楊さんは一瞬押し黙った。


「なぜ……それを」

「事実ですか?」

「事実よ」

「それを公表しなかったのですね?」

「ええ」

「正しい判断です」

「え?」

「公表していたら、きっと私の馬鹿叔父が騒ぎ立てたでしょう」


 いや、叔父さんの事を馬鹿呼ばわりしなくても……


「だけど、どうしてその事を……」

「それは、章君に聞いて下さい」


 そして、僕はレムと接触した事を話した。


「そんな事が……」

「楊さん。僕はレムと接触して分かったんです。上手く言えないけど、あいつはすごく危険な奴だって。降伏なんて、絶対しちゃいけない」

「分かったわ。とにかく、今の話、カルカの首都に着いたら、船長達の前でも話してもらうけど、いいわね?」

「はい」


 僕達は、楊さんが運転するサンドバギーに乗り込んだ。


 車が走り出してから、僕は楊さんに尋ねる。


「楊さん。僕達、帝国に勝てるのでしょうか?」


 楊さんは、首を横にふった。


「無理ね。敵は数が多すぎる。今の私達だけでは勝てない」

「そんな……」

「でも、希望はあるわ」

「え?」

「六年よ。六年持ち堪えるの。六年持ち堪えれば《イサナ》が来てくれる」

「《イサナ》が……」

未来(ミク)ちゃんとも、再会できるわね」

「え?」


 横から、趙 麗華が揶揄してきた。


「あらあ? 章君どうしたの? 顔が赤いわよ」

「え!?」


 慌てて僕は頬を手で押さえた。


「なんて嘘。で、その未来ちゃんって誰?」


 そう言えば、こいつには話したことなかったな。


「君には関係ない」

「なによ! 教えなさいよ」

「減るから、ヤダ」

「減らないわよ! 教えさないよ。ケチ!」


(海斗視点)


「……だが、この惑星に降りて五年目、カルカ国は核攻撃を受けた。我々はシェルターに避難したが、外部との情報を遮断されてしまった。シェルターから出ても、宇宙との交信手段がなく、《イサナ》の到着をずっと確認できないでいたんだ」


 そこまで、話したところで章 白龍は俯いた。


「すまないが、疲れた。少し、眠らしてもらおう」


 そのまま彼は、ベッドの上で目を閉じる。


「待って! 白龍君」


 ミクがベッドに近寄った。


 章 白龍は、再び目を開いた。


「あたし、ふったんじゃないから。白龍君にプロポーズされて、本当は嬉しかったんだから……でも、急に結婚って言われて、びっくりしちゃって……だから、お友達から始めたいって……そういう意味で言ったんだから……」


 章 白龍はにっこりと微笑み、ミクの頭を撫でた。


「ありがとう。その言葉をずっと聞きたかった。今から、君と結ばれる事は出来ないが、この惑星に降りてから君との再会をずっと夢見ていた。夢見ていたからこそ、僕はレムと戦い続ける事ができたのだ。ありがとう」

「白龍君……」


 章 白龍は再び目を閉じる。

 ミクはその手を握りしめて涙を流し嗚咽を漏らしていた。

 

 一瞬、臨終かと思ったが、眠っただけのようだ。


 僕は楊 美雨に顔を向けた。


「彼は、なんの病気なのですか?」

「原爆症です」

「原爆……それじゃあ、カルカが核攻撃を受けた時に……」

「ええ。その時に被爆しました。それでもその時はなんともなかったのです。それが、数年前に突然発症しまして……」


 気の毒に……


「本当に……彼は助からないのですか?」

「医者が言うには、十分なナノマシンが揃わなかったのです」

「だって……ナノマシンはプリンターで……」

「ええ。ただ、夫に投与するナノマシンの製造を途中で止めて、兵器の製造を始めました。その兵器を作ったために、ナノマシンの製造に必要な数種類のレアメタルが足りなくなったのです」

「レアメタル! それなら、僕の車の中に……」

「申し訳ありません。北村さんが、持って来たレアメタルにも手を付けてしまったのです。鹿取香子さんの許可は、取りましたが……」

「あちゃー」


 不意にミクがこっちへ駆け寄る。


「《イサナ》に問い合わせてみて。まだ、レアメタルが残っているかも……」

「綾小路さん。すでに問い合わせました。《イサナ》にもリトル東京にも残っていないそうです」


 それじゃあ、章 白龍を助ける事はもうできないのか? レアメタルさえあれば助かると言うのに……



 ……いや、まだ可能性はある。


(第十一章 終了)

ミール「ようやく、過去編終わりましたね。でも、カイトさんは最後に何を思いついたのでしょう?」

Pちゃん「それは次章のお楽しみです。次章開始前にキャラ表を載せます」

ミール「今後も「モニ系」をよろしくお願いします」

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