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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十一章

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偵察(天竜過去編)

 人工知能(AI)ロンロンを作った事によって、生身の人間が出撃する必要はなくなったので、その後しばらくは僕達が出撃することはなかった。

 マトリョーシカ号から発進した宇宙機編隊は、僕の分身達(ロンロン)が操る宇宙機編隊によってあっさり殲滅できたのだ。

 さらに、宇宙機に人工知能(AI)を搭載した事によって二万キロの制約はなくなり、こっちからも攻撃が可能になった。

 そこで、攻撃隊を発進させて数日後、マトリョーシカ号に電磁バルス(EMP)攻撃を仕掛けた。

 こうして、レムの器であるマトリョーシカ号のコンピューターは破壊され、《天竜》の危機は去った。


 誰もがそう思っていた。


 だけど……





 その惑星は、地球とそっくりだった。だからこそ、太陽系外地球類似惑星というのだけど……

 重力は〇・九八G。大気組成は窒素八十%酸素二十パーセントその他二酸化炭素等々。

 海陸比は四対一と、地球より陸地が少ない。


「綺麗な惑星ですね」


 (リーウ) 魅音(ミオン)はうっとりとした顔をして言った。いや、そんな顔をしているのはアバターだが……

 その横で(チョウ) 麗華(リーホワ)のアバターが惑星を眺めてうっとりとしている。


「よかったわね。私達、ここに降りられる事になって」


 三日ほど前、《天竜》は惑星の周回軌道に入った。

 その後、先遣隊が地表に降りて現地人と交渉した結果、僕らの入植許可はあっさりと出たのだ。

 そんな訳で、今はシャトルに地上へ降ろす物資を積み込んでいるところ。物資のほとんどはプリンター用のマテリアルカートリッジだけどね。


 その前にマトリョーシカ号の様子を確認しようと、僕達朱雀隊が集められて再び宇宙に出る事になった。


 そんなわけで僕達は今、宇宙機にリンクしてマトリョーシカ号を目指している。

 その途中でこれから降りる惑星を眺めていたわけだ。


「おい! 見えて来たぞ」


 (ワン) 博文(ブォエン)の指差す先で、惑星の陰からマトリョーシカ号の船体が現れた。僕達の間で、一気に緊張感が漲る。

 マトリョーシカ号のすぐ後ろには、この惑星系の第一衛星があった。

 第一衛星のラグランジュ第一ポイントにマトリョーシカ号がいるからだ。

 映像を拡大してみたが、マトリョーシカ号にまったく動きがない。

 機械から発生する赤外線も確認できない。

 完全に機能を停止しているのか、あるいは停止しているフリをしているのか?

 僕達は減速かけてマトリョーシカ号のすぐそばで停止した。

 船体の外周をしばらく回ってみたが、まるで幽霊船のようだ。

 しばらくして、船首の辺りに集まった僕達に、《朱雀》にいる(ヤン)さんが呼びかけてきた。


「アーニャと白龍(パイロン)君は船内を探索して下さい。王君と趙さん、柳さんは外で待機を」


 僕とアーニャは、手動でエアロックを開いて船内に入って行った。

 ちなみに僕とアーニャがリンクしているのは戦闘宇宙機ではない。武装の無い、偵察宇宙機。戦闘宇宙機では大きすぎて船内に入れないからだ。他の三人は戦闘宇宙機なので、大きくて船内に入れない。


「白龍君。実は私が出る時に、一人だけ船内に残った人がいるの。できれば、その人の生死を確認したいのだけど、いいかな?」


 生死の確認? たぶん、その人は生きてはいないだろうな。


「分かった。でも……辛くないかい?」

「たぶん……見たら辛いと思う。でも、私は確認しなければならないの」

「それだけ、大切な人なのだね?」

「ええ」


 船内は暗闇と静寂に包まれていた。

 今にもゾンビが襲い掛かってきそうな雰囲気だ。

 念のためいくつかの機械を調べてみたが、どれも回路が焼き切れていた。

 死んだふりなんかではなく、本当にこの船は死んでいるんだ。

 アーニャの話では船内には人工重力が効いていたはず。しかし、今は無重力状態だ。

 重力制御装置も電磁パルス(EMP)攻撃に耐えられなかったのだろう。


「船内には、電脳空間(サイバースペース)からは確認できない区画がいくつかあるの。ブリンターから出た私達は、しばらくの間そこに隠れていたのよ」


 通路を進んでいき、やがて僕達は一つの部屋の前に出る。

 扉を開くと、僕の眼前で、一人の男が空中に浮かんでいた。


「ひ!」


 思わず僕は、悲鳴を上げそうになるのをなんとか堪えた。

 男は生きているかのように見えたが、その身体からは赤外線が出ていない。

 明らかに死体だ。


 僕の隣ではアーニャが涙を浮かべていた。


「アーニャ。この人は?」

「お父さん」

「え?」


 というと、エースパイロットの……

 

「カプセルには一人しか乗れなかったの。本当は、お父さんが乗るはずだった。だけど、あの時……お父さんは、私をカプセルに押し込んで……」


 しばらくの間、暗闇の中でアーニャは嗚咽を漏らしていた。


「アーニャ。お父さんを、このままにして置いては可哀そうだよ。ここから出して、弔ってあげよう」


 アーニャは頷いて、お父さんの方を向いた。


「……!」


 突然アーニャの顔に驚愕の表情が浮かぶ。


「大変!」

「え?」


 アーニャの視線の先の壁には、何か文字が書いてあった。外国の文字で僕には読めないけど……


「白龍君! すぐにここを出るのよ!」

「でも……」

「このままだと《天竜》が危ない!」

「どういう事?」

「お父さんが、壁に書き残していたのよ。『奴は逃げた』って」

「奴……それって……」

「レムは、外部のコンピューターに逃げた後だったのよ! このまま惑星に近づいたら、《天竜》が攻撃される」

「なんだって!」


 僕達は外で待っていた三人と合流して急いで《朱雀》に戻った。

 

Pちゃん「第七章「奴は逃げた」の伏線をようやく回収できましたね」

ミール「という事は、あの時遺棄宇宙船の中にあった死体はアーニャさんのお父さんだったのですね」

Pちゃん「可哀想に、《イサナ》が到着するまで供養してもらえなかったのです」

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