表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

277/690

宇宙機vs宇宙機(天竜過去編)

 《青龍》《朱雀》《白虎》《玄武》の各一隻から五機ずつ、合計二十機の宇宙機が出撃した。

 向かってくる敵の前衛をやり過ごし、僕達は後衛二十五機へと向かっていく。

 先に送り出した無人索敵機から情報が送られてきた。

 敵後衛は、五機のレーザー機を中心にして、二十機の護衛機で取り囲む球形陣を取っている。

 

 当初の作戦では、こっちの編隊は四つのグループに分かれて四方向からの同時攻撃をかけ、敵後衛を四つの方向から爆散円で包み込んで、一気に殲滅するはずだった。しかし、敵だってレーダーでこちらの動きを捉えている。

 大人しく、取り囲まれるはずがない。

 敵は軌道を大きく変更して、囲みから逃れてしまった。

 

「作戦を、プランBに変更」


 姿は見えないが、(ヤン)さんの指示が聞こえてきた。

 プランBは、包囲が不可能となった場合、各隊の判断で攻撃ということ。

 僕ら朱雀隊の指揮は、アーニャが取っていた。

 僕は一番年下だし、(ワン)だと(チョウ)が言う事を聞かないし、趙だと王が言う事を聞かない。

 (リーウ)は気が弱い。

 アーニャをリーダーにするのが妥当だろうな。


「みんな。球形陣の中心を狙って」

 

 アーニャの指示に従い、僕達は電磁砲(レールキャノン)の照準を球形陣の中心にいるレーザー機に合わせた。


「射撃と同時に、全員各自の判断で回避運動。すぐに攻撃が来るわよ」


 合図と同時に僕はトリガーを引いた。

 口径三十ミリの砲弾三十発が数秒で撃ち尽くされる。

 反対方向に同じ質量の砲弾が射出され、反動は完全に打ち消されていた。


 射撃終了と同時に、僕は機体を反転させメインエンジンを点火。

 最大加速で逃げる。

 電子(エレクトロン)陽電子(ポジトロン)の対消滅反応が生み出す膨大エネルギーに押し出されて、僕の機体は二十Gの加速度で敵の弾丸から遠ざかっていく。

 それでも完全には逃げ切れないようだ。


「メインエンジン停止、進路反転百八十度、エアバック展開」


 機体は加速を止めて、迫り来る砲弾に正面を向けた。

 エアバックが膨らむ。

 レーダー画面の中で砲弾が数キロ手前で爆発した。

 砲弾のまき散らした破片を表す爆散円が迫る。


 やがてレーダー上で爆散円と僕の機体が重なった。

 激しい振動が伝わってくる。

 振動が収まった時、エアバックはズタズタに引き裂かれていたが、機体は無事だった。

 姿の見えない揚さんの声が聞こえてくる。


「柳 魅音機大破」


 見回すと柳魅音のアバターが見当たらない。

 避けきれなかったのか。

 各隊の損害が文字情報で表示される。


 青龍隊 大破 二  小破 一


 朱雀隊 大破 一  小破 〇


 白虎隊 大破 三  小破 二


 玄武隊 大破 四  小破 〇


「俺達の損害が一番少なかったようだな」


 僕の隣で王のアバターがガッツボーズをしていた。


「もう一機、デブも落とされればよかったのに」


 余計な事を呟く趙麗華。王はこめかみに青筋に浮かべる。こういう感情表現までできるなんて、よくできたアバターだな……て、感心している場合じゃない。


「王、押さえて、押さえて」

「大丈夫だ、章。俺は冷静だぜ」

「そう……ならいいけど……」


 僕は趙麗華の方を振り向く。


「趙さんも、無意味な挑発はやめて。今は戦闘中だよ。下手したら僕達死ぬんだよ」

「馬鹿じゃないの。これは所詮アバターよ。私達が遠隔操作している宇宙機がやられても、母船の中の私達は何ともないのよ」

「そりゃあそうだけど……」

「それとも怖いの? 臆病者ね。章君。あなた女の子みたいな可愛い顔しているけど、中身も、本当は女の子なんじゃないの」

「なんだと!」

「章、おまえも落ち着け」


 は! 僕までカッとなってしまった。


 不意にアーニャのアバターが趙麗華の前に出る。


「な……何よ。アーニャ。何か文句でもあるの?」

「趙麗華さん。あなた認識が甘いわね」

「どういう事よ?」

「私たちが今、どれだけ危険な状況があるか分かっていないようね」

「危険? 宇宙機がやられても、母船の中にいる私達は……」

「母船の中が安全だなんて、いつから錯覚していたの?」

「は?」

「宇宙機を操作できるのは二万キロが限界。だけど、敵のグレーザー砲の有効射程は五万キロ。《天竜》を守るためには、五万キロ以上離れた宙域で迎撃する必要がある。だから、宇宙機母船を作った。その母船に乗っている私達は、グレーザー砲の有効射程内にいるのよ」


 趙のアバターの顔が青くなった。まさか、今まで気がついていなかったのか?


「それぐらい知っているわよ。でも、グレーザー砲は《天竜》攻撃用よ。私達相手に使うわけ……」

「レーザー機は五機あるわ。その中の一機だけでも、《天竜》に十分な損害を与えることができる。残りの四機は予備なのよ。その予備機を、私達が乗っている母船攻撃に使う可能性は十分にあるのよ」

「そ……そんな……私達……死ぬの?」


 ショックを受けている趙麗華の顔を、王が覗き込む。


「なあ、趙麗華。気が付いていなかったのか?」

「気が付いてないわよ! 宇宙機を遠隔操作するだけの、安全な仕事って聞いていたのよ。普通、分からないわよ!」

「いや、ちょっと考えれば分かるだろ」


 次に趙麗華は僕に詰め寄った。


「こんな事、分かるわけ、ないよね? あんたも知らなかったでしょ?」

「いや、僕は最初から知っていたけど……」

「うそ……私だけ気が付いていなかったってこと……」


 趙麗華がショックを受けている間に、こちらの戦果が伝わってきた。


 護衛機三機大破、二機小破。レーザー機損害なし。


 あれだけ攻撃したのに、たったこれだけの損害しか与えられなかったのか。


 不意に僕達の前に、楊さんのアバターが出る。さっきまで声だけだったのに……


「今、柳魅音が予備機を起動させました。この予備機が君達の予備機四機を曳航して、次の攻撃ポイントに向かっています。他の母船からも予備機を出して攻撃ポイント向かっています。攻撃ポイントに着き次第、あなた達は現在使用している機体を遺棄して予備機にリンクして下さい。それまでは、アーニャの指示に従って敵を牽制してね」


 趙麗華が楊さんの前に出る。


「楊さん、私達……死ぬのですか?」

「はあ? 何を言っているの? 今更」

「だって、宇宙機がやられても大丈夫だけど、母船が攻撃されたら……」

「母船はそんな簡単にはやられないから。それと、玄武隊の生き残りを君達と合流させるから、短い間だけど仲良く戦ってね」

「あ! ちょっと」


 楊さんのアバターがパッと消えた。


「おおい! 朱雀隊の人達」


 遠くから声が聞こえてきたのはその時……


 声の方を見ると女の子が一人駆けてくる。


 どうやら、彼女が玄武隊の生き残りのようだな。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ