損害賠償?
残時間 200秒
ミールから離れすぎたな。
騎兵の足を掴んだまま、僕は元来た方向へ全速で引き返していた。
「@.!!?-~ぎゃー!!!」
地面を引きずっている騎兵が意味不明の言葉を叫んでいるが、今は気にしている暇はない。いや、翻訳ディバイスを使えば何を言ってるかわかるのだけど、聞くと精神衛生上よろしくない事が聞こえそうなので 日本語⇔ナーモ語 に設定を切り替えてある。
なあに、死にはしないよ。たぶん……
しばらく走っているうちに、騎兵は静かになった。
気を失ったかな?
ようやく、車を止めてある広場に戻った。
「ミール! 大丈夫……か……?」
その光景を見て、僕は唖然とした。
倒れていた騎兵達の、ほとんどが半裸になっているのだ。
何があったんだ?
奴らが着けていた鎧兜はどこだ?
あった。
トレーラーの上に、積み上げてある。
トレーラーの前では、ミールが騎兵から鎧兜を引っ剥がしている最中だった。
「ミール」
僕に声をかけられて、ミールはビクッと猫耳を震わせた。
「お早いお帰りで」
ぎこちない笑顔を浮かべる。
「何を……しているんだ?」
「なにって……身ぐるみを、剥いでいるところですが……ああ! 大丈夫です。全員ちゃんと、魔法で眠らせてありますから……」
ううむ……なんとリアクションすべきか……
「あああ! あたしの事、追い剥ぎか何かのように思っているでしょ!」
うん。思ってる。
「ち……違いますよ。これは、損害賠償の取り立てですからね」
「損害賠償?」
「そうですよ。こいつらのせいで、あたしも、あたしの仲間たちも、大きな被害を受けたんです。人だって、大勢殺されたんですよ。正直こんなガラクタじゃ、全然足りません」
なるほど。
しかし、そういう事は本来、裁判を経てやるべきだが……
「ミール」
「なんですか?」
僕は引きずってきた騎兵を、ミールの方に投げた。
「一人追加」
まあ、ここは地球じゃなし、いいか。
「そうこなくっちゃ!」
ミールは、嬉々として騎兵から金目の物を物色し始めた。
「こいつらを眠らせたって言ったけど、そんな魔法持っているのかい?」
ファンタジー小説ではありがちな魔法だけど……
「ええ。わりと基本的な魔法ですよ」
「そんな魔法あるなら、言っておいてほしかったな。そうしたら、心配して慌てて戻ってくる事もなかったのに」
「え? 心配してたんですか?」
「そりゃあするだろう。普通」
ん? ミールどうしたんだろう? 作業の手を止めてしまったけど……
「;@*+~=!」
ん? 背後から声が……
振り向くと帝国軍!
いけね。河原にいた奴らを忘れていた。
翻訳ディバイスを 日本語⇔帝国語 に。
「こんなところにいたか。ミール」
十人ほどか。
しゃーない。こいつらも片付け……
残時間 20秒
ヤバ! 充電を忘れてた!、




