表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

269/690

夢の中の少女(天竜過去編)

「助けて!」


 暗闇の中で、女の子の声……

 何があったのだろう?

 とにかく、助けなきゃ……

 僕は声の聞こえた方へ向かった。


「助けて! 奴がやってくる」


 奴? 奴って?


 突然、周囲が明るくなる。


 白人の女の子が、僕の方へ駆けてくる。


 女の子と言っても、僕より年上。十五~六ぐらいだろうか?


 女の子は僕の背後に隠れて、背中にしがみつく。


「助けて! 奴が来る!」

「奴って?」

「みんな、奴に飲み込まれた」

 

 飲み込まれた? ていうか、それじゃあ、答えになっていないよ。


 と言おうとした時、奴が現れた。


 奴には形が無かった。ただ黒くて巨大な何か。ただ、僕には分かった。奴は恐ろしい存在と……


 奴が襲いかかって来る。圧倒的な強さに、僕は地面に押し倒された。

 奴はそのままに僕にのしかかってくる。


 重い!


 何か柔らかいものに顔が覆われた。


 息ができない。苦しい! しかし、なぜか暖かくて気持ちいい。


 目を開いた。あれ? なんだ夢か?


 しかし、夢だと分かったけど、重くて息が苦しいのはなぜ?


「おはよう。白龍(パイロン)君」


 重いはずだ。揚さんが僕の上にのしかかっているのだから。ていうか、顔を覆っている温かくて柔らかい物って……うわ! ヤバイ!


「モガモガ」

「ああ、ごめん。息ができなかったか」


 楊さんは半身を起こしたので、巨乳からは解放されたが……もう少し味わっていたかったような…… 


 僕のいる場所は観測ドームだった。

 そういえば、昨夜の宴会の後、シャトルに帰った覚えがない。

 そのまま雑魚寝してしまったのか。それはいいとして……


「なんで、揚さんが僕の上いるのですか?」

「それが分からないから、困っている。昨夜飲み過ぎてそのまま寝てしまい、目が覚めたら君の上にいた」

「なんで?」

「うつ伏せに寝ている私の下に、君が潜り込んだのか?」

「んなわけない」

「いやまて……記憶が戻ってきた。昨夜は、ほろ酔い気分で過ごしていたのだが……」


 訂正  ほろ酔い ×  泥酔 ○


「ふと、白龍君を見ると、床で眠り込んでいるではないか。風邪をひいてはいけないので、何かかけてやろうと思ったのだが、適当なものが見あたらない。そこで私が身を挺して君の毛布になったのだ」


 あのねえ……


「それはどうも」

「どうだ。温かかったかい? 私は……」

「そりゃあ……もお……」

「なぜ目をそらす?」


 そんなの、恥ずかしいからに決まっているだろ!


「む! もしかして」

「なんですか?」

「私の事を重いとか思っているのか?」

「思っていません」

「そうか。ひょっとして私の体重で君が潰れてしまうのではないかと心配していたのだが、杞憂だったようだな。では、もうしばらく君の毛布になっていてあげよう」

「いえ、いいです! もう起きるので」


 これ以上やっていたら、R18になっちゃうでしょ……


「ん? なんだ? あれは」


 僕から離れた楊さんが、不意に上を指差した。


「え?」


 つられて、僕も上を見上げる。透明なドームの向こう……つまり、宇宙空間で光が瞬いていた。


 星? いや、人工物だ。


 光は次第に近づいてきた。程なくして、それが作業用宇宙機と分かる。機体には『天竜』のロゴが入っているから、天竜号から発進した物だと分かるけど、そのマニピュレーターは円筒形の物体を掴んでいた。


「楊さん。なんだろ? あれ」

「あれは、脱出カプセル? 誰かが飛び出したのかな?」


 この時、僕達は知らなかった。

 僕達が眠っている間に《天竜》は救難信号をキャッチしたのだ。しかも、それは地球で昔から使われているモールス信号によるSOS。

 こんなところに、なぜ地球人が? と、みんな疑問に思ったらしい。

 タウ・セチ恒星系には、これまで無人宇宙機は何度も送られたが、有人船は《天竜》が最初だったはず。

 本当なら《イサナ》のはずだったのだけど、途中で追い抜いてしまったので《天竜》が一番乗りになったのだ。

 僕達より先に来ている地球人はいないと思っていたのに……


「マトリョーシカ号かもしれない」


 無重力の通路を進みながら、楊さんは呟くように言った。


「マトリョーシカ号? なんですか? それ」


 楊さんの手に掴まりながら、僕は聞いた。


「三十年ぐらい前に消息不明になった船。《天竜》や《イサナ》と同じように、そのコンピューターの電脳空間(サイバースペース)にも多くの人間のデータを入っていたけど、生きている人間は乗っていなかった。だから、消息不明になってもすぐに忘れ去られてしまった。恒星間空間で遭難したと言われているけど、もしそうでなかったとしたら、タウ・セチに着いているはず」

「その船が、マトリョーシカ号?」

「あるいは、私達が到着する前に、タウ・セチにつながるワームホールが開いてしまったか」

「でも、いくらやっても、タウ・セチにつながるワームホールが開かないので、亜光速船を出すことになったのでしょ?」

「まあ、なんにせよ。会ってみれば分かるさ」

「でも、楊さん。勝手に宇宙機用のエアロックに行って怒られないかな」

「白龍君。怖いのかい?」

「べ……別に怖くなんかないよ」


 怖いけど……


 そうしているうちに、僕達はエアロックの前に着いた。

 来てみると、僕達の他に野次馬が数人集まっている。

 その中の一人の男性が僕達の方を振り返った。


「君達、良いときに来たな。これから、内扉が開くところなんだ」


 そう言っている男性の後で、内扉がゆっくりと開く。

 

「どいて下さい。通り道を開けて下さい」


 救急隊員が無重力ストレッチャーを押してエアロックから出てきた。


 そのストレッチャーには、一人の白人の女の子が横たわっている。


 この顔は!?


 夢の中で会った女の子?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ