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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第十章

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救助

 帝国軍は運河の上を敗走していく味方がいるにも関わらず水門を開いたのか?

 知っていてやったのか? 知らずにやったのかは分からないが……


「助けよう!」


 部屋を出ようとした僕の肩を、香子が掴んで引き留めた。


「海斗。あれは敵よ。それでも、助けるの?」

「違うよ。あれは、敵ではない。溺れて救助を待っている人達だ」

「まったく……あんたって、再生されても変わらないわね」

「前の僕はどうだったか知らないけど、僕は二百年前の人間だ。二百年の間に、ジュネーブ条約はなくなっちゃったのかい?」

「いいえ。無くなってはいないわ」

「それなら、条約は守らないと。宇宙条約を破った帝国を非難している僕らが、ジュネーブ条約を破るなんて、ダブルスタンダートは良くない」

「そうね。でも、敵はすぐにでも攻めてくるのよ。迎え撃つ準備をしなきゃならない」

「僕一人で行くよ。香子達は楊さんを手伝って戦闘の準備をしていてくれ」

「ご主人様。私も連れて行って下さい」

「Pちゃん」

「ご主人様のお手伝いをするのが、私の役目です。ご主人様が人命救助をするなら、私が行くのは当然です」

「あたしも行きます」

「ミール」

「あたしの分身は空を飛べませんが、カイトさんが拾い上げた人達を応急手当するぐらいならできます」

「北村さん。私も行きます」

「芽衣ちゃん」

「私が行けばロボットスーツは二機になります」

「それは助かる」

「お兄ちゃん。あたしも行くよ」

「ミク」

「オボロなら、ロボットスーツよりも早いよ」


 結局、Pちゃん、芽衣ちゃんとミール、ミク、それにキラとミーチャを伴って僕達は運河に出た。

 運河に出ると、水量は堤防ギリギリの高さまで増えている。

 その水流を人や馬が流されていた。


「出でよ! 式神」


 オボロを召還したミクが、水面から次々と人や馬を拾い上げて行った。

 少し、遅れて僕と芽衣ちゃんがロボットスーツで水面スレスレを飛行し、人や馬を拾い上げ、岸辺で待ち構えていたミールとPちゃんのところへ連れて行った。

 ミールは十二の分身を総動員して、犠牲者に人工呼吸や心臓マッサージを施していく。その一方で、PちゃんがAED使って蘇生処置を行っていた。

 意識を取り戻した人達から、キラとミーチャが事情を聞き出していた。 



「ご主人様」


 一人の犠牲者を引き渡した時、不意にPちゃんが話しかけてきた。


「香子様を、冷たい女だなんて思わないで下さい」

「分かっているよ。本当のあいつは、溺れている人を見捨てるような冷酷な人間じゃないことぐらい」


 昔、一緒にアニメを見たとき、キャラが死んだのを見て号泣した。それが、本当の香子だと思う。この惑星で戦争に関わっているうちに、だんだんおかしくしまったんだ。


「それに香子が本当は優しいという事は、Pちゃんが証明している」

「私が?」

「君のAIは、香子の記憶をベースにしている。反対もしないで僕についてきたのは、義務だけじゃないだろ。本当は溺れている人を助けたいという香子の本音が、君を動かしたんじゃないのか?」

「そうかもしれません」

「北村さん」


 背後から芽衣ちゃんに声をかけられ振り向いた。


「さっき、香子さんが北村さんを引き留めようとしたのは、トラウマがあるからです」

「トラウマ?」

「前の北村さんは、溺れている帝国兵を救助しようとして、撃たれた事があるのです」

「そんな事が……」

「あの時、北村さんは重症を負って、香子さんは病院の待合室でずっと泣いていました」

「そうだったのか」

「だから、もっとご自分を大切にして下さいね」


 そう言って、芽衣ちゃんは飛び立っていった。

 僕も、その後から飛び立つ。


 しばらく飛んで、目の前を流れてきた若い兵士を拾い上げた。

 

 これは!?


 見覚えのある顔だった。


 今朝の戦闘で見逃した砲兵隊の女の子。

 すでに息絶えていた。

 水面に目を向けると、さらに二人、女性兵士の死体が流れてきていた。

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