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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第九章

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勇者カイトの噂 (過去編)

 カルカに着いて《天竜》の乗組員たちと会うことはできたが、結局そこにプリンターはなく通信機は修理できなかった。その後、香子と芽依はダモンの古い友人の屋敷に身を寄せていたのだが、香子は心労がたたって寝込んでしまったのだ。

 それでも、芽依の献身的な介護の甲斐あって、なんとか回復してきていた。そんなある日、芽依は町で妙なウワサを耳にした。


「勇者カイト!? なに……それ?」


 香子が目を丸くしてそう言ったのは、屋敷の一室での事。

 ベッドの上で、針灸医の治療を受けている最中だった。


 ちなみにこの針灸医は、《天竜》の乗組員の生き残りだが、三十年の間にナーモ族の身体を調べて、ナーモ族向けの鍼灸治療を開発したため、各地のナーモ族から引っ張りだこにされていた。

 今回は、芽依が拝み倒して、香子の治療に来てもらっていたのである。


「ベジドラゴンの間で広まっているウワサです。何でも、南の塩湖で塩を嘗めに行っていたベジドラゴンの家族が、レッドドラゴンに襲われたそうなのですが、空から降りてきた地球人がレッドドラゴンを退治して家族を救ってくれたそうなのです」

「そんな事があったの……でも、ベジドラゴンって、いつもウワサに尾ひれをつけまくるから……」

「分かっています。でも、ベジドラゴン達はその地球人をこう呼んでいるのです。勇者カイトと」

「まさか?」

「ベジドラゴンのウワサでは信憑性に欠けますが、ベジドラゴンが『カイト』という名前を偶然使うとは……」

「いや、分からないわよ。リトル東京でも、海斗はベジドラゴンに餌付けをして懐かれていたから……」

「そうですね」

「そもそも、勇者ってガラじゃないでしょ。海斗は」

「そうでしょうか?」

「え?」


 香子にとって海斗は、自分が着いていないと何もできない情けない弟というイメージだった。しかし、それは子供の頃の話。

 芽依にとっては、海斗は頼れる先輩というイメージ。未来(みく)にとっては、優しい兄というイメージ。


 そして、この惑星に降りた海斗は確かに勇者と言えた。

 金色のロボットスーツを身に纏い、悪しき侵略者を打ち倒す勇者。

 この惑星の住民にとって、海斗のイメージはまさに勇者だった。


 その時、香子はハッと気がついた。

 海斗が勇者と言われることに、不快感を覚えている自分に……

 以前に、香子は海斗に無茶な戦いをしないでと訴えた。

 海斗の身体が心配だからと。

 だが、それは半分本当で半分は別の理由があった。

 海斗が勇者になったら、自分から離れてしまうのではという恐れが心の片隅にあったのだ。

 勇者なんかになってほしくない。

 いつまでも海斗には自分を頼ってほしい。

 自分を必要としてほしい。

 だから、勇者なんかにならないで……

 それが本音だったのだ。


「私……いやな女ね」

「え? 何を言っているのですか? 香子さん」

「な……何でもないわ」

 

 その時、今まで黙っていた針灸医が話に割り込んで来た。


「なあ、お嬢さん、ワシも似たようなウワサを聞いたぞ」

「「え?」」

「ワシはよく往診にベジドラゴンを使うのだが、この前乗ったベジドラゴンの話では、勇者カイトがミケ村という村に現れたそうだ」

「ミケ村?」「どこですか?」

「ここから、西の方にある小さな村だ。何でも、帝国軍の襲撃を受けて占領されていたらしい。その帝国軍に、ベジドラゴンの女の子が捕らえられたそうなのだ。だが、そこへ黒い鎧を纏った勇者カイトが現れ、帝国軍を殲滅して女の子も村人も救ってくれたと」 

「黒い鎧? でも、海斗のロボットスーツは金色だし……」

「香子さん。ロボットスーツのカラーは特に希望がなければ黒になるはずです。生データから作られた北村さんなら、希望なんていう余裕はないかと……」

「じゃあ、やはり生データから作られた海斗は、この惑星に……」

「降りていると思われます」 

「そうだとすると、今はどこに……」


 海斗は、やはり再生されていた。

 もちろん、自分の婿として再生するなど許されない事だ。

 母船としては欠員補充のために、誰を再生するか議論した上で海斗を選択したに過ぎない。しかし、その新しい海斗と自分が新たに結びついても……


「もしかして……」


 香子の思索を、鍼灸医が遮った。


「お嬢さんの知り合いなのかな?」

「知り合い……かもしれないのです」

「なるほど、ベジドラゴンの噂では曖昧だからな。その知り合いとは、お嬢さんのいい人なのかな? だとすると、その男に会う方が、ワシの治療より効くかもしれんぞ」

「私の婚約者……でした」

「でした? 婚約を破棄したのか?」

「いえ……戦死したのです」

「まさか? 死者をプリンターで? それは禁忌だぞ! プリンターは、そっくり同じ人間を作れるが、それはあくまでも別人だ! そんな事をしたら余計に辛いことになるぞ」

「分かっています」

 

 香子は海斗との馴初めを、かいつまんで鍼灸医に話した。


「そういう事でしたか。余計な事を言ってしまったかな」

「いえ、先生が言ったのは当然のことです」


 それからしばらくして、香子と芽衣は新たな噂を耳にする。

 シーバ城を占領していた帝国軍が、勇者カイトに殲滅されたと……

Pちゃん「話が歪んで伝わっていますね。取引先で挨拶一つできずに倒れるようなコミュ障で、PCに猫耳娘のエロ画像を集める変態ケモナーで、好きな女性に『好き』だと言えないヘタレなご主人様のどこが勇者ですか?」

ミール「Pちゃん! どうして、カイトさんの事をそう悪く言うんですか? あなたがどう言おうと、あたしにとってカイトさんは勇者です」

Pちゃん「ミールさん。それは『あばたもえくぼ』というものです。惚れてしまうと欠点まで好ましく見えるのですよ」

ミール「そんな事ありません」

Pちゃん「ミールさんがご主人様に惚れたのだって、吊り橋効果による勘違いです。ご主人様にお姫様抱っこされた状態でジャンプされた時の緊張感を恋と誤解したのですよ」

ミール「そんな事ありません」

Pちゃん「それにしても、ダサエフ中隊をご主人様一人で殲滅したなんてデマどこから出てきたのでしょうね? ミールさんが広めたのですか?」

ミール「あたしじゃありませんよ。でも、確かにカイトさん一人でやったわけじゃないですよね。ダサエフ中隊戦死者で一番多いのはキラの暴走を含めた同士討ちで、二番目に多く殺したのはあたしで、カイトさんの殺害数は三番目です。誰が噂を広めたのでしょう?」

エシャー「エ? ソウタダッノ? アタシ、カイトガ、全部ヤッタト、思テタ」

ミール、Pちゃん「「お前かい!」」

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