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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第四章

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恐るべし……鮭鮫鱈鯉システム……

飲酒運手はダメ絶対

 メインモニターに、新たなメッセージが表示された。

『運転手の酒気を感知しました。全機能を停止します』

 なんですとう!?

「ご主人様……まさか、お酒を飲んでいたのですか?」

「ちょ……ちょっとだけだよ」

「信じられません。お酒を飲んで運転するなんて、人でなしのやる事です」

「そ……そこまで言わなくても、ほんの一杯……いや、二杯だけだし……」

「二杯が、ちょっとと言えるのですか?」

「ちょっとだと思う……たぶん」

「まったくもう! それにしても、困りましたね。鮭鮫鱈鯉(さけさめたらこい)システムが発動してしまうとは」

「鮭鮫鱈鯉システム? なんだ、そりゃ?」

「運転手の酒気を検出すると、車の機能をすべて止めてしまうシステムです」

「なんで、そんなシステムが?」

「ご主人様がデータを取られてから十年後、今後製造する新車には、これを装備するよう自動車メーカーに法律で義務化されたのですよ」

「ところで今、すべて止めてしまうとか言ってたけど……モーター以外の機能もだめって事かな?」

「そうです。これが一度発動すると、カーステレオもカーナビもエアコンも止まります」

「それ酷すぎだろ」

 いや、酒気帯び運転しようとした僕が悪いわけだが、それにしたって止めるならモーターだけにすればいいのに……

 なんで日本のメーカーは、こういう無駄機能つけるんだ。ヘッドライトをつけると、カーナビのバックライトが消えるなんて迷惑な機能もあったな。

「ご主人様。これを」

 Pちゃんがキーボードを差し出した。

「キーボードなんか、どうするんだ?」

「これで、反省文を打ち込んで下さい」

「反省文?」

「『お酒飲んで運転しようとしてごめんなさい。二度としません。許して下さい』と百回書き込むのです。そうすれば、モーター以外の機能は回復します」

「なんで、そんな事を?」

「運転手の反省を促すためです」

「Pちゃん、代わりに打ってくれないかな……」

「無駄です。私が打っても、車載コンピューターには見破られます。ご主人様が、心を籠めてキーボードを打たない限り、機能は回復しません。後、コピーペーストもだめですよ」

 恐るべし……鮭鮫鱈鯉システム……

「これをしないと、絶対回復しないのか?」

「何もしなくても、五時間すれば全機能回復します」

「じゃあ、五時間寝てるよ」

 僕は、車のドアを開いて降り掛けた。

「ご主人様。言い忘れましたが、バッテリーからの電力供給も止まっています。ですから、今は冷蔵庫が止まっているのですよ。五時間も止めておくと、中の食材がダメになる危険があります」

「うおおお!!」

「カイト、ドウシタノ?」

 エシャーが、不思議そうに僕を見ていた。

 事情を話すと……

「ソレ、カイト、悪イ」

 お前まで、そんな事言うのかあ!!

「私タチモ、オ酒飲ンダラ、空飛ンデハダメ、掟アル。オ父サン、前ニ、ソレ破ッテ、長老ニ怒ラレタ」

「ああ、もう分かったよ! 打てばいいんだろ! 打てば……」

 僕は運転席に戻りキーボードを受け取った。

「ああ、そうだ。エシャー」

「ナアニ?」

「車は、しばらく動けない。レッドドラゴンの肝臓は、君が届けてくれないかな?」

「イイヨ。デモ、カイト、来ナイト、カイトガ何欲シイカワカラナイ。アタシニ乗ッテイク?」

「いや、僕はここを動けない。Pちゃんを連れて行ってくれないか? ああ、でも重いかな?」

「失礼ですね。私は超軽量素材で作られています。ご主人様より軽いですよ」

 エシャーがPちゃんを乗せて飛び立っていった後、僕はひたすらキーボードを打ち続けていた。

 残りはいくつだ?

 メインモニターに『残り三十三。頑張って反省して下さいね』と表示された。

 

 イラつく。

 

 こんなに延々と文章書き続けるのは、卒業研究以来だな。

 辛かったが、あれはあれで楽しかった。

 こんな心にもないことを延々と……いやいや……同じことを百枚も書くなんて苦痛でしかない。

 ようやく、最後の一つを書き込むとメインモニターにメッセージが表示された。

『反省文受理しました。モーター機能以外のロックを解除します。お疲れ様でした』

 ふひー! 疲れた!!

『なお、モーター機能のロックは四時間後まで解除されません。酒醒めたら来い』

 エアコンが動き出した。

 この周辺は地球の亜熱帯気候なので、エアコンがないとかなりきつい。

 反省文を打ってる間に、すっかり汗だくになってしまった。

 水浴びしてこよう。

 車を出て、少し歩いたところに清流が流れている。

 川幅は十メートルほどだが、かなり深い。

 さて、誰も見ていないな?

 いるわけないか。地球じゃないし……

 日本で裸になって川で泳いだりなんかしたら、たちまち警官がやってくるところだが……いや、ここは、ここで気をつけないと。

 映画『猿の惑星』の宇宙飛行士たちは、泳いでいる間に服を盗まれてしまったからな。

 ウエストポーチからドローンのコンローラーを出した。

 警戒のために、昨日から飛行船タイプのドローンを飛ばしていたのだ。

 コントローラーのモニターにドローンカメラの映像を出した。

 鬱蒼とした森が映っているだけ。

 念のため赤外線画像を重ねてみた。

 川の近くに赤外線源が一つ。

 これは僕だな。

 ん? よく見ると赤外線源が二つ?

 あまり近すぎて、一つに見えたんだ。

 映像拡大。

 横へ一歩動いてみる。

 映像の赤外線源が同じ様に動く。

 これが僕だとすると、背後一メートルほどのところにいる赤外線源は誰?

 てか、いつの間にこんな近くに?

 

 これって『わたしメリーさん。あなたの後にいるの』とかいうやつ……?


 いやいやいや……怖すぎるだろ……


 とにかく、背後に誰かがいる。

 今のところ、そいつは僕に察知された事には気が付いていない。

 僕は平静を装って、コンローラーをポーチに戻した。

 代わりにピストルを取り出す。

 前へ向かって大きくジャンプ。

 着地と同時に振り返り、ピストルを構える。

「誰だ!!」

 ん? 誰もいない。

 いや、いた。

 地面に人が倒れている。

 フード付きの白い貫頭衣を着ているが、その背中には僕の物と思われる足型が……

 そ……そういえば、さっき何か柔らかい物を踏んだような……

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