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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第八章

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捕虜

 少年兵は、今にも泣き出しそうな顔をして地面に膝をつき、ブルブル震えながら白いハンカチを掲げていた。

 僕は後部シートに振り返って、キラに尋ねる。


「キラ。この子のやっている事は、降伏の意思表示と考えていいのかい?」

「確かに、私も日本に降伏する時は、白い布を掲げるように言われていた」

「では、攻撃する必要はないな。Pちゃん、どうしてこういう状況になったの?」

「話すより、見てもらった方がいいでしょう。映像を五分前に戻します」


 廃墟と廃墟に挟まれた道路を進んでいく映像が、メインモニターに現れた。

 道路はむき出しの地面などではなく、アスファルトのようなもので舗装されている。

 痛みが少ないところを見ると、最近まで手入れされていたようだ。


 しばらく、進んでいると、廃墟の陰から少年兵が頭を出す。

 少年兵は最初、こっちとは反対側を向いていたのでドローンに気が付かない。

 どうも、向こうからくる何者かを警戒しているようだ。

 誰もいない事に安心したのか、廃墟の陰から少年兵は出てくる。


 そして、こっちを向いてドローンに気が付いたようだ。

 

 よっぽど驚いたのか、少年兵はその場にへたり込み、しばらく震えていた。

 映像は、少年兵のすぐ前で停止する。

 女の子のような愛らしい顔が、恐怖にゆがんでいた。

 少年兵はポケットから、震える手で白いハンカチを出して掲げる。


 この状況から判断すると、脱走兵か?


 僕はマイクの内蔵翻訳機を 日本語⇔帝国語 にセットした。


「君。その白いハンカチは、降伏の意思表示と解釈していいのかい?」


『そ……そうです。い……命だけは、取らないで下さい』


 いや、取らないから……


『あの……あなた、ナルセさんですか?』


 ナルセ? ああ! この子、このドローンを成瀬真須美(なるせますみ)の操縦するドローンと思っているのか?

 成瀬真須美と思って少し安堵したのか、少年の震えは止まった。

 ううむ、このまま成瀬真須美と思わせておいた方が楽かもしれないが……やはりネカマはよくない。

 ネカマとは違うか?


「違うよ」


 正直にそう言った途端、少年はまた恐怖に震え始めた。


『ヤナさん! 違うんです!』


 どうやら、今度は矢那課長と間違えられたようだな。


『僕、道に迷っただけで……けっして、脱走なんて……』


 やはり脱走か。

 まあ、それは良いのだが、こんなに怖がるなんて……矢納課長……あなた、こんな子供に何をやったのですか?


「どっちでもないから、安心しな」

『では、あなたは?』

「君達の、敵対勢力の者だ」


『なあんだそうだったのか……ええ!? 敵対勢力? じゃ……リトル東京?』

「まあ、そんなところだな。分かると思うが、君をこのまま帰すわけにいいかない。大人しく我々の……」

『捕虜になります!』

「……捕虜になるなら、命の保証は……え? なるの?」

『なります! 捕虜にして下さい!』


 ううむ、話が早くてよかった……のだろうか?


「分かった。このドローンの下部から、ケーブルが伸びているのは見えるかい」

『はい! 見えます』

「では、このケーブルに沿って進んでくれ。その先に我々はいる」

『分かりました』


 ちなみにこのケーブル、ドローンのコントロールに使っているものだ。

 電波誘導にすると敵に気づかれるので、今回は有線誘導にしたわけだが……


「カイトさん。信用して大丈夫なのですか?」

 

 ミールが、不安気な眼差しを僕に向けていた。


「大丈夫って、何が?」

「なんか、話が上手すぎる気がするのです。あたし達、あの少年兵が虐待されているところをドローンから見ました。その直後に、その少年兵がドローンの前に飛び出してくるなんて、偶然でしょうか?」

「ううん」

「あたし達に見られている事を知っていて、その上で少年兵を虐待し。あたし達の同情を買ってから、ドローンの前に少年兵を飛び出させたのではないでしょうか? スパイとして送り込むために」

「ううん……それもありうる」

「でしょ。それに、ナルセとヤナって、今は帝国側じゃないですか。ナルセかヤナの操縦しているかもしれないドローンに白い布を出すなんて……」

「いや、二人とも元は日本人だ。日本人に敵意が無いことを示すつもりで出したのだと思う」

「そうでしょうか? 捕虜になると言って、スパイをする気では……」

「だけど、僕達としてはあの少年兵を帰すわけにはいかない。かといって、降伏している者を殺すと言うのもどうかと……」

「そうですね」

「もしも、罠だとするなら、罠ごとぶち破ればいい。心配はないよ」

「分かりました。カイトさんがそう言うのなら」


 Pちゃんが外からドアをノックした。


「ご主人様。蛇型ドローンの設置終わりました。飛行船タイプドローンを一度こっちへ戻しますが、あの少年兵をドローンで運びますか?」

「Pちゃん。そんな事できるの?」

「もちろん、乗る事はできませんが、ドローンから下がっているロープに捕まってもらえば運ぶことも可能です」

「分かった。そうしてくれ」


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