表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第七章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

163/690

そんな目で僕を睨むな!

「それじゃあ、私、屋台があるから帰るね。夜になったら店来てね」

 そう言って、レイホーは駆け去って行った。


「ご主人様。母船から通信です」

 Pちゃんがそう言ったのは、先ほど服を買った店の前まで来た時のこと。

「丁度いい。そこのカフェに入って交信しよう」

 こんな人通りの多いところで、プロジェクションマッピングを使うわけにいかない。

 ウェアラブル通信機も、立ち止まって使っていては通行の邪魔。

 カフェの中なら邪魔にならないだろう。

 ミールも入りたがっていたし、ミクも朝食まだだから、ちょうどいいだろう。


 しかし、携帯禁止の店じゃないだろうな?


 いやいや、地球じゃないのだから携帯そのものがないんだった。


 とりあえず、メニューを……なんだこりゃ? 翻訳ディバイスには『翻訳不能』のメッセージが……

 文字は南方ナーモ語のようだが……『意味だけなら翻訳可能。ただし、テータにある飲食物名と一致するものがありません』

 こりゃあ、あまり一般的ではないオリジナルメニューだな。

 何も知らない人が『白い恋人』と聞いても、それが北海道土産のチョコレート菓子だなんて分からない。それと同じことなんだろう。


「ミール。このメニュー見て、どんな物が出てくるか分かる?」

「え? ああ、もちろん分かりますよ」

「悪いけど、翻訳ディバイスが翻訳できないんだ。何か適当に冷たい飲み物を頼んでおいてくれないかな」

「いいですよ」

「それと、ミクに食事を。まだ朝ご飯食べてないし」

「はーい。カイトさん。飲み物ですけど、甘いのと、酸っぱいのと、苦いのとどれがいいですか?」

「じゃあ、甘いので」

「ミールさん。くれぐれもアルコール入りは避けて下さい」


 どうせ、今日は運転しないんだから少しぐらい……まさか?


「Pちゃん。ひょっとして、僕に酒を飲ませないように命令されているのか?」

「はい。ご主人様が飲み過ぎないように行動するよう、プログラムされています」


 芽衣ちゃん。余計なことを……


「お客様。何になさいます?」

 ウエイトレスが注文を取りに来た。

 対応はミールに任せて、僕は通信機を袖から外してテーブルの上に置く。

「Pちゃん。データを送って」

「はい」

 Pちゃんのアンテナがピコピコと動いた。

 通信機のディスプレイに電脳空間(サイバースペース)のミクが映る。

『お兄ちゃん。あたしのコピーは見つかった?』

「ああ、見つかった。やはり、誘拐されていたよ」

『やっぱりね。美少女は辛いわ』

 

 あまり辛そうな顔していないな。


「今、途中のカフェで食事をしているところだ」

『そう。宿に戻ったら、慰めてあげてね』

「いや。お仕置きを、検討している」

『ええ!! やめてよ! 可哀そう!』

「今回は許す。ところで、そっちから通信の呼びかけがあったのだが」

『そうそう。今、代わるね。芽衣ちゃん。お兄ちゃん出たよ』


 芽衣ちゃん?


 大きなメガネの女の子がミクと代わった。

『お……おはようございます。北村さん』


 そろそろ昼だけどな……


「おはよう」

『船長からの通達がありまして……それで私が……あ! 生データの北村さんは、私の事知りませんよね。私は……』

「ああ! 自己紹介はいいよ! 芽衣ちゃん」

『私の事、ご存じでした?』

「ブレインレターで見たから。それにPちゃん……P0371に君が託したメッセージも見たから」

『ええ!? あのメッセージ見ちゃいました! ごめんなさい! ごめんなさい! ごめんなさい!』


 しまった! メッセージを見た事は、黙っていればよかった。

 

 芽衣ちゃんの謝罪が延々と続いた。

「芽衣ちゃん。怒ってないから」

『本当に怒っていませんか?』

「怒ってないから……本題に入って。船長からの通達って?」

『実は、リトル東京ではカルル・エステスさんのコピーの他に、内通者が何人かいまして……そのリストを送りますので確認してください』

 ディスプレイに人名と顔写真、職種などの一覧が表示された。

 それぞれの左端に『内偵中』『逃亡』『捕縛』『死亡』と表示されている。

『昨夜の通信の後、捕縛中の人の脳内をスキャンしたところ、ブレインレターによる洗脳が確認されました』

「そうか。念のために聞くけど、洗脳された人を元に戻すことは……」

 芽衣ちゃんは悲しげな顔で首を横に振る。

『無理です』

「そうか」

『ここまで文明が退化した帝国が、まさかブレインレターを使っていたなんて、誰も予想していませんでした。残念ですが、被害者は一生拘束するしかありません』


 むごい運命だ……


『そのリストに『逃亡中』と書いてある人が四人いますね』

「ああ、いるね」

『その四人が逃亡したのは二ヶ月ほど前です』


 二か月前? それって、僕のシャトルが落とされた時……


『四人はヘリコプターとカートリッジと戦闘用ドローンを盗み出して行きました。今はどこにいるか分かりませんが、北村さんを狙っている可能性があります。くれぐれも気を付けて下さい』

「分かった。もしかして、僕のシャトルを落としたドローンは、こいつらが持ち出したのか?」

『そうです』

 

 そうか。カルルの他にドローンを操作していたのは、こいつらだったのか。


『それと、この写真を見て下さい』

 衛星軌道からの映像が表示された。

 映像が拡大されていく。

 砂漠に不時着したヘリコプターが映っていた。

「これは?」

『シーバ城を脱出した香子さんのヘリです。恐らく燃料が無くなって不時着したのだと思いますが、拡大してみると銃撃をかなり受けていたようです。もちろん、帝国軍のフリントロック銃では、装甲を貫通される事はありません。しかし、極超短波(マイクロウェーブ)用のアンテナが破壊されていたのです。香子さんが母船と連絡を取れなくなったのは、このためだったのです。だから、香子さんは生きているはずです。探して下さい』

「分かった。もちろん、僕はそのためにカルカに来たんだ」

『よかった。それと、私のコピーも一緒にいるはずなので、ついででいいですから探して下さい』

「分かった」

『できれば、急いでほしいのです』

「どうして?」

『これを見て下さい』

 別の衛星写真だ。

 砂漠の中を一本の川が流れている。

 川の周囲だけが緑に染まっていた。

 写真の一か所に×印。

『この場所に、帝国軍が駐屯しているのです。規模は二個中隊ほどですが』

 そんな大軍ではなかったんだな。

『このあたりで、何かを探しているらしいのです。もし香子さんが奴らに見つかったら……』

「分かった。明日にでも出発する。それと、僕からも聞きたいのだけど、《天竜》の捜索状況はどうなっているの?」

『《天竜》ですか。懐かしいですね。あの、交流会。嫌々ながら、出席したのですけど、カーテンの裏に隠れていたら、北村さんの来てくれて……ちょっと嬉しかったかな』

「思い出話はいいから、《天竜》の消息は?」

『すみません。《天竜》の事は、星系中にプロープをばらまいたのですが、発見できませんでした。でも、香子さんが最後の通信で『《天竜》を見つけた!』と言っていたのです。ですが、詳しい話を聞く前に……』


 やはりそうか。


「これを見てほしい」

 レイホーに、もらったメモをカメラの前にかざした。

『それは? 繁体字(はんたいじ)!』

「ナーモ族に聞いたのだが、帝国に滅ぼされたカルカの国に地球人がいたらしい。そこから逃れてきたと思われる人と会って、このメモをもらったんだ」

『それじゃあ、《天竜》の人たちは生きていたのですか?』

「ああ。今夜、その人と会う事になっているから、その時に詳しい事を聞いてみるよ」

『分かりました。よろしくお願いします』


 だけど、その夜、店を訪ねてみると、レイホーの姿はなかった。

「北村海斗様ですね。お待ちしておりました」

 僕らを出迎えたのは、ナーモ族の店員。

「まことに申し訳ないのですが、お嬢様と店長は急用ができまして」

「急用?」

「何でも、病気で臥せっていた旦那様の様態が急変しまして」

「それはお気の毒に……この店には他に地球人は?」

「地球人の店員もいたのですが、みんな旦那様のお見舞いに行きまして……」

「いつ帰ってくるかは……分からないでしょうね」

「ええ……明日になればお嬢様だけでも帰ってくるかもしれませんが……」

 

 さて、どうしたものか?


「ご主人様。明日には旧カルカ国に出発する予定ですが、どうします? 延期されますか?」

「いや、予定通り出発する。砂漠にいる帝国軍の動きも気がかりだし」

「分かりました。では、今夜は明日に備えてお酒は抜きですね」

「ああ! やっぱり、もう一日伸ばそうかな」

「ご主人様」「カイトさん」「お兄ちゃん」


 はいはい……酒は我慢します。だからPちゃんも、ミールも、ミクも、キラもそんな目で僕を睨むな!


(第七章 終了)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ