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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第七章

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ボラーゾフ屋敷崩壊

「こいつらを捕えろ。殺してもいい」

「え? は……はい」

 小男に指示されて、門番は呼子を鳴らした。

 たちまち、門内から(いか)つい男たちがワラワラと出てくる。

 考える間もなく、僕は懐から二丁の拳銃を抜いていた。


「ミール! 戦闘モード!」

「はーい」

 ミールは薬を飲んだ。

「やっちまえ!」

 刀を抜いた男たちが、かかってくる。

 男たちが近づく前に、僕は拳銃を連射して次々と倒していった。

 しかし、数が多すぎる。

 一人が銃撃を掻い潜り、刀の間合いに入ってきた。

「アチョー!」

 男が刀を振り下ろす前に、レイホーのヌンチャクが顔面に食い込む。

 男はそのまま昏倒した。

「私に触るんじゃありません!」

 Pちゃんを捕まえようとした男が、電撃を浴びせられて倒れた。

 そんな機能もあったのか。

「ああ! ご主人様に買ってもらった服に汚れが! この! この! この!」

 倒れた男に、Pちゃんはゲシゲシと蹴りを入れ続ける。

「何をやっている! 早く片付けろ」

 小男の号令で、さらに門の中から男たちが出てくるが……

「うぎゃあ!」

 先頭の男の眉間に、矢が刺さった。

「お待たせしました!」

「援軍到着!」

 R18指定ギリギリの露出度高い鎧をまとった十二人の美少女軍団(ミールズ)が戦闘に介入して、形成は一気に逆転した。

「な……なんだ? このエロい姉ちゃんたちは?」「どわわ!」「許してくれ」

 不死身の美少女軍団(ミールズ)に抵抗する術もなく、男たちはたちまち制圧される。

 僕は小男の傍に歩み寄った。

「ひいい! く……来るな!」

 小男は後退ったが、すぐ背後の塀にぶつかり退路がなくなった。

「おい! お前、ドロノフの手下だったな。なぜ、ここにいる?」

「おまえの知った事ではない!」

「僕の仲間をさらっておいて、それで済むとでも思っているのか?」

「殺すなら殺せ。何も喋らんぞ」

「じゃあ、そうしようか」

 僕は拳銃を小男に向けた。

 安全装置を解除する。

 小男の顔が恐怖に歪む。

「だ……誰が言わないと言った。言う! 言うから、撃つな!」

「いや、おまえさっき『喋らんぞ』と言ったやん」

「喋ります。喋りますから、命だけは……」

「別にいいよ。どうせ、二重スパイか何かだろ。僕はドロノフの友達でもなんでもないから、おまえが二重スパイだろうと三重スパイだろうとどうでもいい。それより、なぜ僕の仲間を誘拐した?」

「仲間って……お前たちと一緒にいた娘の事か?」

「そうだ。僕らに、いったいなんの恨みがあってやった?」

「いや、おまえらに恨みはないが、あの娘は、ドロノフに対する人質にしようと……」


 何を言ってるんだ? こいつ…… 


「おまえ、あの娘を誰だと思っているんだ?」

「誰って? あの娘はドロノフの隠し子だろ? お前たちが、ドロノフに会わせるために連れてきたと……」


「はあ!?」


「ち……違うんで?」


 あ! 昨夜、ドロノフは、こいつに何かを囁いていたな。


「ドロノフが、そう言ったのか?」

「そうだが……」


 そういう事か。

 ドロノフは、この男が裏切っている事に薄々感づいていたんだな。

 昨夜、この男にミクを自分の娘だと偽情報を囁いた。

 それをまんまとと信じ込んだこいつは、僕らの後をつけて宿を見張っていたんだろう。

 そしたら、ミクが一人で散歩に出てきた。

 好機とばかりに、ミクを誘拐したんだな。

 ドロノフとしては、僕たちとライバル組織をぶつけて、潰し合わせようという魂胆だったのだろう。

 

「おまえ、裏切り者だって事、ドロノフにばれているよ」

「え? なぜ?」


 鈍い男だな。

 

「あの娘は、コピー人間だ。この惑星に、親なんかいない。お前はドロノフに騙されたんだよ」

「な……なぜ?」

「決まっているだろ」

 僕は小男の襟首を掴み、周囲を見せた。

 ボラーゾフの部下たちが、血まみれになって倒れている。

 新たに門から出てくる者もいるが、出てくる傍から分身達(ミールズ)に倒されていた。

「お前たちに、あの娘を誘拐された僕達が、頭にきてこういう事をすることを期待したんだろうな」

「ええ!?」

「たぶん、ドロノフは、どっかで見張っていたんだろう。おまえがあの娘に手を出すかどうかを。手を出した時点で、おまえが裏切り者と確信しただろうな。もう、ドロノフの前に現れない方が身のためだぞ」

「そんなあ……」

「さて、どうする?」

「すみません! 娘さんはお返しします。なので、一つここは穏便に……」

「ふざけないで下さい」

 ミール(本体)が、小男の胸倉を掴んだ。

「騙されたとはいえ、あたし達に喧嘩を売ったのですよ。ただで許して貰えるとでも、思っているのですか?」

「ど……どうしろと?」

「誠意を見せなさい」

「誠意とは?」

「そのぐらい自分で考えなさい」

 小男の顔が恐怖で歪む。

「ミールさん。まるでヤーさんですね」

「ありがとう。もっと誉めて」

 いや、Pちゃんは誉めてないぞ。

 

 ドゴーン!


 突然、轟音が鳴り響いた。

 さらに塀の向こうから、悲鳴が沸き起こる。


 何があったんだ?


「あ! そういえば、あたし」

「どうしたんだ? ミール」

「ミクちゃんに、魔力回復薬を一粒渡しておきました」

「え?」

 Pちゃんの方を向いた。

「ミールの魔力回復薬って、地球人の体質に合うの?」

「先日分析しましたが、問題はありませんでした」


 という事は……


「使ったな」

「使いましたね」


 塀の中に入ると、中は瓦礫の山と化していた。

 ボラーゾフの部下たちが大勢倒れている。

 それをやった巨大な鬼は、まだ暴れていた。

 まだ、残っているボラーゾフの手下たちが、銃撃したり矢を射かけたりしているが、もちろんそんな物が通じるはずがない。


「きゃははは! 行けぇ! アクロ! もっと、やっちゃえ!」


 暴れさせている本人は、瓦礫の山の上で大笑いしていた。


「わしが、悪かった! 許してくれ」


 ミクの前で、でっぷりと太ったおっさんが土下座して詫びていた。

 どうやら、このおっさんがボラーゾフらしい。


「ん~どうしようかな? そうだ! オジさんの財産、全部くれたら許してあげる」

 

「そんなあ」

 ボラーゾフの背後に僕達が立った。

 僕達の姿に気が付いたミクはビクっと硬直する。

「お……お兄ちゃん!? どうしてここに?」

「ミク、なぜ、朝ごはんまでに、帰ってこなかった?」

「ええっとね……」

 ミクは少し考えてから、ミールが捕まえている小男をビシ! と指差した。

「こいつが悪いんだよ! こいつが、あたしをヒモでグルグル巻きに縛って、無理やり連れてきたんだよ」

 僕は小男に視線を向けた。

「ああ言ってるが、そうなのか?」

 小男は、慌てて否定する。

「め……滅相もない! お菓子をやると言ったら、ホイホイと着いてきました」

「そうか」

 僕はミクに視線を向けた。

「後で、お仕置きだな」

「ちょっと! お仕置きって何するの? お尻叩くの? お兄ちゃんのエッチ」

「大丈夫。それはPちゃんとミールにやってもらう」


 僕はミールとPちゃんの方を向いた。


「いいよね?」

「はい。ご主人様の命令とあらば」「あたしも喜んで協力しますわ」

「ああ! やめて! 喜んで協力なんかしないで!」

「じゃあ、なんでホイホイ着いて行ったりした? 小さな子供じゃないなら、誘拐だって分かるだろ」

「あたしだって、そのくらい分かるわよ。分かった上で着いていったのだから」

「なんで着いて行った?」

「だってさあ。ここであたしが助かっても、今度は他の子が狙われるじゃない。だったら、あたしが騙されたフリして着いていって、こいつらのアジトを突き止めて、アクロを呼び出して、こいつらまとめて成敗しちゃえば、もう子供が誘拐されるなんて事はなくなるじゃない」


 こいつらの目的はミクを人質にするつもりであって、営利誘拐ではないのだが、ミクはそう思っているようだな。


「なるほど。一理あるな」

「でしょ」

「でも、問題がある」

「なによ?」

「僕達が、どれだけ心配したと思っているんだ?」

「え? 心配していたの? あたしの事」

「当たり前だろ」

「ごめんなさい」


 意外と素直だな。


「でもさ、こいつらをやっつける事は、いいことでしょ?」

「いい事だけど、僕たちに連絡ぐらいできただろ」

「通信機、忘れてきちゃったもん」

「赤目は?」

 そう言った途端に、ミクは明後日の方を向いた。

 そのミクの背後にミールが回り込み、ミクのリュックの蓋を開く。 

 リュックの中から赤目が飛び出してきた。

「酷いよ! ミクちゃん。僕を閉じ込めるなんて」

「やだ。赤目。閉じ込めてなんかいないわよ。あんたが中にいるなんて気が付かなくて、蓋を閉めちゃっただけだから」

 赤目は僕の方を向いた。

「嘘ですよ。僕はミクちゃんに、こんな奴らに着いて言っちゃダメだって言ったのです。どうしても着いていくなら、僕は宿に戻って北村海斗様に報告すると。そしたら、僕をリュックに閉じ込めて……」

「ほう」


 この娘、虚言癖があるな。


「なぜ、僕らに黙ってやろうとした?」

「と……止められると思って……」

「止めたりしないから、今度からは一言いってからにしてくれ」

「うん。今度からはそうする」


 瓦礫の上に、へたり込んでいるボラーゾフの方を向いた。

 

「この娘が、ドロノフの娘というのは真っ赤な嘘だ。それは理解してもらえたかな?」

「り……理解しました。わしも騙されて……」

「だけど、僕らに意趣返ししようとか考えているだろう?」

「か……考えていません」


 こりゃあ、考えているな。


「Pちゃん。注射器持ってる?」

「はい。持っていますよ」

「じゃあ、こいつの首に注射して」

「はい」

「な……何をする?」

 分身達(ミールズ)に押さえつけられたボラーゾフの首筋にPちゃんが注射した。

「な……わしに何をした!?」

「これが見えるかい?」

 ボラーゾフに、小さなカプセルを見せた。

 そのカプセルを空中に放り投げ、手元のスイッチを押す。

 カプセルは空中で爆発した。

「これと同じ物を、あんたの首に入れた」

「なんだと!?」


 嘘だけどね。

 注射器でこんな物は入らない。

 あの注射も、ただのビタミン剤だ。


「この惑星のどこにいても、僕はあんたを殺せる。次に僕らにちょっかいを出したら、容赦なくスイッチを押す。わかったかい?」


 ボラーゾフはコクコクと頷いた。


「ご主人様。ここで殺しておいた方がいいのでは」

「こいつを殺したら、どこかで生き残っているこいつの部下に狙われる。それなら、こいつを生かしておいて、報復を止めさせた方が安全だ」

「なるほど。確かにそうですね」

 時計に目をやる。

 分身達が消えるまで、あと十分ほど……

「よし、引き上げよう」

 僕たちは瓦礫の山を後にした。

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