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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第七章

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隕石攻撃

『死体は検疫を経て《イサナ》に回収された。検死の結果、直接の死因は凍死。だが、その前に飢餓状態にあり、致死レベル以下の放射線を浴びた形跡があった。いったい、あんな狭い部屋で彼は何をしていたのか? 彼の書き残したダイイング・メッセージの意味は分からずじまいだった。飢えと寒さで何かの妄想を見ただけかもしれない』


 また、僕の声。


『ここから、数日分を飛ばす。場面は会議室。惑星探査によって分かった事を発表している場面だ』


 僕は会議室のような部屋にいた。

 議長席に森田船長がいて、その横で芽衣ちゃんが緊張気味の顔で機器の操作をしている。


 人前に出るのがつらいんだな……


 議長席の後ろにある巨大モニターの前で、相模原月菜が何かを説明しているところだった。

「先ほど、ナーモ語の完璧な翻訳ソフトが完成しました。インペリアル語のソフトも数日中に完成します」

 そこで月菜は言葉を切った。


 そうか、翻訳ソフトは彼女が作っていたのか。


「ただ、インペリアル語を調べた結果、問題が出てきました」

「問題とは?」

 森田船長が、怪訝な表情を浮かべた。

「はい。この惑星には複数の知的生命体がいますが、その中で最大の種族がナーモ族。次に多いのがインペリアル族、次がブシダー族。『ナーモ』とか『プシダー』とかは、ともかく『インペリアル』という単語を聞いて、みなさんは何を連想しますか?」

「帝国」

 誰かが言った。

「そう帝国です」

「偶然だろ。たまたま発音が似ていただけで、意味は、まったく違うのではないのか?」

「私も、最初はそう思いました。しかし、単語を一つ一つ調べたのですが、インペリアル語の水を表す単語は『ウオタ』火は『ファイア』黒は『シュバルツ』ありがとうが『スパシーボ』こんにちわが『ニーハオ』」

 会議場がざわつき始めた。

 月菜はさらに続ける。

「そしてゴールドの事を……」


 なぜ、そこだけ英語?


「キン」

「日本語じゃないか!」

「そうです。インペリアル語……いえ、帝国語と言うべきでしょう。帝国語には、英語、仏語、ドイツ語、ロシア語、中国語、日本語の単語が含まれていました。こんな偶然があると思いますか? あるわけありません。帝国人の正体は地球人です」

 会議室は、大いにざわついた。

「地球人だとすると、いったいいつ、この惑星に?」

「《天竜》の人達だろうか?」

「いや、インペリアル人は、どうみても欧米人だ」

「だとすると、軌道に残されていた遺棄宇宙船?」

「しかし、数十年でここまで人口を増やせるだろうか?」

「おい。《天竜》の人達も、これに気が付いて」

「まさか! あの宇宙船の核でやられた?」

「あの船も、EMP攻撃でやられていたが、《天竜》と相打ちになったのじゃ?」

「じゃあ、《イサナ》が先に到着していたら……」

 森田船長が木槌を叩いた。

「諸君。静粛に」

 会議室が静まったところで森田船長が口を開いた。

「相模原君。よく調べてくれた」

「いえ」

「さて、諸君。インペリアルは現在ナーモ族の国々を侵略している。先住民同士の争いと思っていたが、インペリアルが地球人だとしたら放置はできない。これから、地表にコピー人間を調査員として送ろうと思う」

「コピー人間を送るのですか? ドローンではなく」

 森田船長は無言で頷く。

「しかし、先住民の許可を得ないで、コピー人間を降ろすことは禁止されています。まず、無人のドローンを降ろして、先住民から移民の許可をもらって……」

「ドローンを通じての意志疎通では、時間がかかり過ぎる。それに禁止されているのは、コピー人間を降ろすことではない。無断で入植する事だ」

「しかし、一度再生して地上に降ろしたコピー人間を、船に戻すことはできません。先住民の許可がなくても、地上に残るしかないのですよ」

「だから、コピー人間が地上に降りたら、ナーモ族に移民を認めてもらうように交渉するのだ」

「認めてもらえないときは?」

「だから、私のコピー人間だけを送る。入植を認めてもらえない時は、潔く腹を切る。それなら問題あるまい。地上に墓を作ることは認められている。もっとも、私の希望は散骨だがな」

「船長!」

「心配ない。切腹の作法は心得ている。介錯を任せるために、アンドロイドを連れて行く。それにコピー人間の私が死んでも電脳空間(サイバースペース)の私は生きているのだ」

「船長! 俺も行きます!」「私も連れて行って下さい」

「ありがとう君たち。だが、万が一の時、死ぬのは一人で十分だ。それに、ナーモ族は温厚な種族のようだ。きっと認めてくれるさ。それに今、我々がやらなければならない事は、この惑星の人達から、これ以上恨みを買わないようにすることだ」

「しかし、インペリアルが地球人だとしても、どうやって攻撃します? 《イサナ》のブリンターでは、正規の軍事兵器を作るためのデータがありません」

「ふむ。どんな武器なら作れるかね?」

「低出力のレーザーガン。拳銃、ショットガン。他に武装を外した軍用車両。ヘリコプター。戦闘用ドローンなど。それとロボットスーツがありますが、これは使える人間が限られています」

 途端に全員の視線が僕に集中した。


 ひょっとして、僕しか使えないのか?


「北村海斗君。ロボットスーツの使用法を、他の人にレクチャーできるかね?」

「ええっと……できる事はできますが、僕では出力の微調整ができません。僕と体型が近い人でないと、難しいかと思います」

「そうか。では、君と体型の近い人間をピックアップしておこう」

「船長。根本的な解決になっていません。調べたところ、インペリアルの文明は中世程度で、武器はフリントロック銃と青銅砲ですが、やつらが実は地球人なら、地球の武器だって隠し持っているかもしれない。それになにより数が多い」

「大丈夫だ。我々には、もう一つ強力な武器がある」


 まさか、勇気とか言い出さないよな?


「位置エネルギーだ」


「位置エネルギー!? まさか! 隕石で攻撃を?」


「それは残酷すぎます。下手をすると、核並の破壊力です」

「威力は調整する。でないと、惑星が氷河期に入ってしまうからな」

「それでも……」

「他に方法がないのだよ。それにインペリアルだって、素直に我々の要求に応じて侵略行為を止めてくれるかもしれない」

 

 いや、絶対にありえない。

 

 一度侵略を始めた奴らが説得されて『はい、分かりました』と言ってやめるはずがないことは、地球の歴史を見ていれば明らか。

 

 ここで再生が一時停止した。


『この後、森田船長のコピーが地表に降りた結果、ナーモ族から大歓迎されて移民はあっさり認めて貰えたんだ。そして、ナーモ族から事情を聴取して結果、インペリアル……いや帝国人の正体は遺棄宇宙船から降りてきた地球人だという事が確定した。そして帝国には警告ビラがまかれたんだ。今、住んでいる土地の権利は保障するから、これ以上の侵略はやめろ。さもなくば帝国の都市をすべて破壊すると。そして、帝国はその警告を無視した』


 再生が始まった。

 またさっきの会議室のようだ。

 巨大モニターには、地表へ向かう隕石が映っていた。

 やがて、隕石は地表に激突して大爆発。

 爆発が収まった地表に送り込まれてプロープから送られてきた映像は、凄惨極まるものだった。

 建物はことごとく破壊され、瓦礫の山の間には大勢の死体が転がっていた。

「ひどい……ひど過ぎる」

 誰かが呟いた。

 会議室のあちこちから嗚咽が漏れる。

「俺達……ここまで……するつもりでは……」

「……なんて恐ろしいことを……」

「船長……もうやめましょう。これ以上の攻撃は……」

「ダメだ。次の隕石を用意しなさい」

「お父さん! もうやめてぇ!」

「芽衣! ここでは、船長と呼びなさい」

「船長やめて下さい! これじゃあ、あたし達ただの人殺しです!」

「やめるわけには、いかない。知的生命体のいる惑星を侵略してはならない。これは、宇宙へ出てきた地球人に課せられた鉄の掟。なのに、彼らは、それを破ってしまった。これを許してしまったら、いつの日か非侵略者が報復を開始したとき、すべての地球人が報復対象になってしまう」

 その後、三つの隕石が落とされた。

 それ以上落とすと、気候に悪影響が出るという理由で攻撃は中止されたが、この攻撃で帝国では五十万人の死者が出た。

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