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モニターに応募したら、系外惑星にきてしまった。~どうせ地球には帰れないし、ロボ娘と猫耳魔法少女を連れて、惑星侵略を企む帝国軍と戦います。  作者: 津嶋朋靖
第七章

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流れ星に願いを

ここから海斗の視点に戻ります

 停車したトレーラーの上で、僕は星空を見上げていた。

 あらためて眺めると、ここが地球じゃない事を実感させられる。

 月が三つあるというもそうだが、星座の形が微妙にずれていた。

 遠方の恒星は、それほど変化はないが、シリウスやプロキオン、アルタイルなど、比較的近い恒星の位置はかなりずれている。

 この星々の中に太陽はないだろうかと、さっきから目を凝らして黄色い星を探しているのだが、さっぱり見つからない。

 まあ、見えたところで今さら帰る事はできないし、帰りたいとも思わないけどね。 


 テーブルに手を伸ばしてグラスを掴んだ。


 しかし、中に残っていたのは氷だけ。


 軽く落胆……


「カイトさん、お注ぎします」


 幼女が背を伸ばして、グラスに酒を注いでくれた。


「お! よく、Pちゃんに見つからずに持って来れたな」


「いや、これは関所の厨房に残っていた酒を、あたしがこっそり隠し持っていたのですよ」


 八歳ぐらいの幼女が酒を隠し持っているなんて言うと、非行の始まりのように聞こえるけど、この幼女の中身はれっきとした大人……あれ? ミールって何歳だったっけ?


 見かけは女子高生ぐらいに見えたが……


「ナーモ族は、何歳から酒を飲んでいいの?」

「十六からです。あたしは十七だから、お付き合いできますよ」

 と言って、ミールはもう一つグラスを出して注いだ。

「いや、まてまて! 本体は十七でも、その分身体で酒を飲むのは……」

「大丈夫ですよ。分身は酒を飲もうが、毒を飲もうがなんともありません」

 そう言ってミールは、グラスに口をつける。

「美味しい」

 幼女が酒を飲んで『美味しい』と言ってる光景は、僕の中の倫理観が納得しないのだが……


「ところで、ダモン様が急いでカルカに向かった理由が分かりました」

「なんだった?」

「シーバ城を脱出した王妃と王子が、カルカの町に潜伏しているらしいのですよ。ところが、カルカの近くに帝国軍が来ているそうなのです。帝国軍の目的はわかりませんが、とにかく急いで二人を見つけて、もっと安全なところへ逃がそうという事でした」


 そういう事だったのか……しかし、それならダモンさんが僕と別れる前に『カルカへ来い』と言ったのは、どういうことだったのだろ?


「ご主人様。ミールさん。何をしているのです?」


 ギクゥゥゥ!

 

 いつの間にか、Pちゃんがトレーラーの屋根に上がってきていた。

「や……やあ……Pちゃん。星見酒だと言ったろ」

「私が用意したお酒は、もう飲み終わった頃だと思いますが」


 ちなみにPちゃんが用意した酒は、グラスに目いっぱい氷を詰め込んで酒を注いだもの。


 酒に氷が入っているというより、氷の隙間に酒があるといった感じだ。


 こんなので酔えるか!


「そ……そんな事はないぞ……ゆっくり飲んでいたから……」

「明日の朝になって、鮭鮫鱈鯉(さけさめたらこい)システム(運転手の酒気を感知すると車の全機能を停止する安全システム)が発動したら、困るのはご主人様ですよ」

「少しぐらい、いいじゃないですか。融通の利かないお人形さんですね。カイトさんは疲れているのですよ。出発は昼ごろにしても……」

「ミールさん。その分身体は、あとどのぐらいもつのですか? 確か、明日の朝出発しないと、分身体が消えるまでに、カルカに到着できないのでは?」

「う……そうでした」

「おい、ミール」

 突然ミールは僕の手からグラスを奪い取り、中身を一気に飲み干してしまった。

「カイトさん。カルカの町で美味しいお酒を用意して待っていますから、今は我慢して下さい」

「ああ……そうするよ……」

 と言いつつ、ミールが飲みかけていたグラスに手を伸ばす……

 

 あかん! Pちゃんに先に取り上げられた。

 

 そのまま、酒はPちゃんの口の中に消えていく……


 ていうか、ロボットのくせに飲めるのか?

「Pちゃん。飲んで大丈夫なの?」

「当たり前じゃないですか。某宇宙アニメのセクハラロボットのように、酔っぱらうとでも思いましたか?」

「いや……故障とかするのではないと……」

「大丈夫です。私は完全防水ですから」

「それで飲んだ酒は、どうなるのかな?」

「いつでも体外に排出できますが、飲みたいですか?」

「い……いらない!」

 

 いかん! 恐ろしいことを想像してしまった……ん?


 夜空に強い光が……流れ星?


 思わず僕は、流れ星に手を合わせていた。


「酒が飲めますように。酒が飲めますように。酒が飲めますように」


 よし! 消える前に三回言えた。


「カイトさん。何をしているのですか?」


 ミールが不思議そうに僕の方を見ている。


「いや、なに。地球のお呪いだよ。流れ星が消える前に三回願い事を言うと、願い事がかなうと言う……」


「なんですって!? それでは」


 ミールも流れ星に手を合わせる。


「カイトさんと結婚。カイトさんと結婚。カイトさんと結婚」


 いや、そういう願いは、本人に聞こえないように……ひょっとして、僕はプレッシャーをかけられているのか?


 それにしても、しつこい流れ星だな。

 まだ消えない。

 ていうか、だんだん大きく……これって、まさか!?


「隕石!?」


「え? 隕石なのですか?」


「いかん! 逃げるんだ!」


 僕はトレーラーから飛び降りた。


「ご主人様! ダメです!」


 Pちゃんが止めるのも聞かず、僕は運転席へ駆けこむ。

 

 そして……


 言うまでもない事だが……鮭鮫鱈鯉システムを発動させてしまい、その夜、僕は延々と反省文を書く羽目になった。


 ちなみに、隕石は僕らの頭上を通り過ぎていっただけだった。


飲酒運転ダメ! 絶対


鮭鮫鱈鯉(さけさめたらこい)システムは第四章に出てきた安全システムです。

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