まさか、これで負けていないとは、思っていないだろうな?
ミサイルは、至近距離で爆発した。
爆風と破片を浴びて、菊花一号は大破。
辛うじて墜落は免れたものの、城の屋上に不時着した。
カルルからの通信が入る。
『まんまと引っかかったな。VТ信管を切ったミサイルを撃ったのは、まぐれ当たりを期待したわけではない。ミサイルを撃ち尽くして、お前をドックファイトに引きずり込むのが、目的だったのさ』
ああ、そうだったの。
『もちろん、お前の射撃の腕は知っているからな。ドックファイトなら勝てるなんて、自惚れてはいない。ドックファイトに専念させて、もう一機のドローンの事を忘れさせるのが目的だったのさ』
こいつ、自分の作戦を自慢したいんだな。
酒場で延々と自慢話をするタイプか?
不時着なんかしないで、墜落させておけばよかった。
そうすれば、こいつの自慢話など聞かないで済んだのに……
『どうだ、悔しいか!? 悔しいだろう』
ガキか? こいつは……
「別に悔しくないよ。見事な作戦だと、感心しているところさ」
『なんだ! その上から目線な言い方は! 本当は悔しいのだろ! 悔しいと言え! この卑怯者と言ってみろ! 言っておくが戦いには、卑怯もへったくれ?もないんだからな』
つくづく、こんな男の話に乗らなくてよかった。
「別に、卑怯なんて言ってないけど」
『言ってないけど、思っていたんだろう!?』
「思ってないって」
「ご主人様。二号機、戦闘宙域に到着しました」
「ありがとう。Pちゃん」
操縦系を二号機に切り替えて……
『北村海斗! おまえドローンを何機用意しているんだ!?』
「三機のドローンを、ローテーションして使っているのだが何か?」
『こっちは一機しかないのに、三対一とは卑怯だぞ』
「いや、おまえ、たった今、戦いに卑怯もへったくれ?もないって言ったばかりやん」
『俺は良いんだ』
「良いわけあるか!」
『ふん。どうせ、そいつも空対地ミサイルしか積んでいないのだろ。そんなもの当たるものか』
いや、今度は正真正銘の赤外線追尾式空対空ミサイルなんだけど……
『全部躱してやるから、とっとと撃ってこい』
「では、遠慮なく」
ポチッとな。
ミサイルが勢いよく飛び出していく。
『あははは! そんな物当たるものか!』
当たった。
カルルのドローンは爆炎に包まれ落ちていく。
さて、後は飛行船タイプを片付ければ終わりだな。
その前に……
「ミール」
ミールに通信を送った。
「敵のドローンは片付けた。もうすぐ、こっちのドローンも降ろすから、脱出の用意してて」
『待ってください。カイトさん。着替えるのを忘れてました』
「着替え? こんな時に……」
『帝国兵に変装したままだったのですよ。このままだと、鎧が重くてベジドラゴンが飛べません』
「そうか。早くして」
『それが鎧が引っかかってなかなか、とにかく急ぎます』
ミールとの通信が切れた。
直後にカルルから通信がくる。
『やい! 北村海斗!』
今度は飛行船タイプから通信を送ってきたようだ。
しつこいな。
『まさか、これで勝ったとは、思っていないだろうな?』
負け惜しみか?
「まさか、これで負けていないとは、思っていないだろうな?」
『ふん。お前は大きな勘違いをしているぞ。ドローン同士の戦いなんてものはな、ドローンの操縦者を倒せば勝ちなんだよ』
「なに!?」
『俺は、最初からお前の居場所を掴んでいた。ドローンでじゃれあっている間に、俺はお前に近づいていたんだよ。今から、そっちへ行くから首を洗って待っていろ』
なぜ、ここが分かったんだ?
いや、ローテク帝国軍と違って奴ならレーダーぐらい持っている。
ドローンの動きで、ここを突き止められたか?




