Bランクパーティーへ
『鋼鉄の誓い』はわたしが銀級、残り全員が鋼級の冒険者になりパーティーランクも、Cランクに昇格した。
『黒魔の瞳』は再び未攻略のダンジョンとなってしまった。
ただキールスのギルド側としては、攻略のためには大規模なパーティー編成が必要になるとわかって、すごく喜んでいた。
噂を聞きつけ集まる冒険者は確実に増える。攻略に挑むために、多数のパーティーやクラン設立が必要になるだろうから。
「ギルドも再び前線側に移動して、街も大きくなるよ。冒険者の宿屋も、クランの為の敷地もいるからね」
ギルドマスターのカリスさんは自分の代で、キールスの街を発展させられそうだと気合が入っている。
全員銀級に上げようと言っていたのは、ニルト達が断った。
わたしは全員の力があってこそと思っているのに、ニルトはあくまでも、わたしの魔法の力に底上げされた為だと遠慮したのだ。
わたし達はキールスでダンジョンの疲れを癒やした後、『異界の勇者』の跡を追った。
しかし、あちらこちらでトラブルを引き起こしたために別な大陸へ再び去ってしまったようだった。
わたし達は去ったものたちをあてもなく探すよりも、このままムーリア大陸各地を巡る旅に出た。
年を重ねると、なかなか世界を見て回る機会など持てないからという、ささやかな理由で。
冒険というより、旅行みたいな感じだけど、そういうのいいわよね。
いくつかのダンジョンも探索し、わたしには『双炎の魔女』の名がついた。
あえて炎な魔法使いという感じを出して、イメージを作ったからだ。
お父さんの仲間だったエルヴァさんや、銀級と認めたカリスさんが炎の得意な魔法使いなので、わたしはその弟子でもあると喧伝したのも良かった。
わたしが若すぎるせいで妬まれるのを、そうした有名冒険者の存在が防いでくれるのよね。
サーラズ王国に戻ってくる頃にはニルトが銀級に上がり、『鋼鉄の誓い』もBランクパーティーに昇格していた。
階級は個人の評価、功績を示す。
ランクはパーティー単位の評価、功績を示す。




