ダンジョン攻略に挑む
お父さんの情報はキールスのギルドにも大して残ってなかった。手がかりがあるとするならば、『異界の勇者』達だ。
お父さん達が攻略して以降、『黒魔の瞳』のダンジョン攻略を達成したクランもパーティーもいない。
キールスに来た異界の勇者達が単独で深層の十層あたりまで進んだらしい。
その後は都市国家群のダンジョンを回っているようで、噂はチラホラのぼっていた。
「俺達が話しかけても相手にされない可能性は高い。あまり良くない噂も聞くからな」
ニルトは各街のギルドで集めた情報から、彼らがどういう人物なのかを想定していた。
「褒められたタイプじゃねぇのは確かだな」
ベッタもいくつかのトラブルの話しを聞いたようで、眉をしかめていた。
「話しかけるなら、それに近い実力を示す必要がありそうだ」
せめてパーティーメンバーに銀級以上は一人か二人は欲しい。それと実績だ。
「『黒魔の瞳』に挑み、『異界の勇者』達よりも先へ、出来れば攻略をしたい」
ニルトがそういうと、仲間達が無理だろうと口にした。
「俺達だけじゃ無理なのはわかっているさ。攻略をするのは俺達じゃない、レーナだ」
「わたしが?」
「俺達も行くが攻略はあくまでレーナ、君がいたからという形にする。
実際、レーナ抜きで攻略は無理だからな」
己の実力は、仲間達が騒がなくてもよくわかっているつもり。
ロドスのダンジョンで試した時の実力が、他の仲間だけではなく他の冒険者からも突出していたから。
ラグーンでも魔法使いのエルヴァさんに話しを聞いた。
わたしの魔法は一般の魔法使いと別格だとわかったのだ。
「単独パーティーで偉業を成せば、ギルドも実力を認めるしかないからな。おまけの俺達も一段階上に、レーナは二つか三つは上がるはずだよ」
心配なのは奇異な目や嫉妬まじりの目で見られる事だと思う。でも、あのガウツの娘だとわかれば、高い実力を勝手に納得するとはず。
「それに『海竜の咆哮』が残した記録が気になる。調べてみたいと思わないか?」
ニルトの言葉に仲間達は頷き、『鋼鉄の誓い』はダンジョン攻略に挑む事に決めた。




