キールスのクランハウスその後
お父さんが昔襲われたという話しを聞いていたので、帝国の中央貴族は嫌いだった。
貴族だからって、ろくでもない連中ばかりじゃないのは辺境伯を見てわかったわ。
でも大半がそういうのばかりだと思っていてもよさそうね。
わたし達はアルンやホルンドールのギルドで都市国家群の現状を調べつつお父さんの情報も探った。
わたしがガウツの娘だとわかると、昔の話しを覚えてる人もいて、お父さんの事をいまだに称賛してて嬉しかった。
キールスにつくと、『海竜の咆哮』ゆかりのお店へ行く。
そこはかつてのクランハウスで、今はベルク商会が倉庫と従業員の居住地として使っていた。
ベルク商会から、わたし達の情報が来ていたようで見学をさせてもらった。
何も新しい情報はなかったけれど、キールスのギルド記録に残る伝説的クランの栄光をあやかりに、倉庫を眺めに来る冒険者はいるそうだ。
同列に扱ってほしくないけど、そういう冒険者に憧れる気持ちはよくわかる。
街中を進むと武器屋が目につく。無駄遣いするなよ、とニルトが気配で言っているけど、わたしは構わずに中に入る。
なんとなく知った感じがした店なのよね。




