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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レーナ編

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商業ギルドの引き抜き

「あれ? なんか寂れてないか?」


 わたし達が冒険者ギルドへ入ると町中の賑わいに比べて、冒険者の数が思ったより少なく思えた。


 ダンジョンこそ近場にはないけれど、帝国との交易の玄関口として商人の出入りも多いはずなのに。

 護衛依頼が絶えずあるので、必然的に冒険者が多くいるはずなのよねぇ?


「見ない顔だが護衛依頼でも探しに来たのか?ここじゃろくに仕事は受けられないぞ」


 護衛よりも山賊側にでもいそうなゴッツイ男が顔に似合わず親切に教えてくれた。


「十年以上前にこちらで活動していた知り合いの話しと、ずいぶん様子が違うようですね」


 ニルトがせっかくなので情報をもらおうと丁寧に話す。


「十年前か。ならちょうどピークの頃だな」


 ゴツイ男は、トールドの砦町がいまどういう状況かわたし達に教えてくれた。


「簡単に言うと乗っ取りに近いな。

帝国の貴族共が送り込んで来た商業ギルドの連中が、トールドの大半の隊商護衛依頼を指名に切り替えたのさ」


 商業ギルドが荷物の運搬の護衛に指名した冒険者を使う事はよくあること。

『鋼鉄の誓い』も指名をもらっていたものね。


 ただ余程貴重だったり重要だったりしない限りは、指名してまで依頼をして余計な依頼報酬を払いはしないはずだった。


「まぁ、普通はな。ただやつら仕事を独占させるかわりに指名による追加を減らしてやがるんだ」


「専属に近い形って事ですね?」


「そうだ。指名しようが専属にしようが自由ちゃ自由だが、あれは乗っ取りに近いやり方だからな」


 指名で釣って移籍させ、報酬は元に戻す。嫌なら出ていけとなるようね。

 冒険者ギルド側は戻って来ても一応は受け入れてくれる。

 でも帝国の商業ギルド絡みの仕事が減っているし、他の商会の仕事は信頼性の関係で元からいるもの達が優遇されるみたいね。


 そうなると結局他の街へ仕事を探しに行くか、報酬を下げられても商業ギルドの仕事を続けるしかなくなる。

 ある程度の年齢になるとダンジョン探索はキツくなるから、仕事を干されると年配の人はとくに困るでしょうね。


 隊商の護衛は信頼関係があれば多少歳がいっても重宝される。

 仕事が減っても我慢するか、安くなっても続けるしかないなんて。


「自業自得と言えなくもないが、やつらが来なければ元からこんなもんだったってわけだよ」


 ゴツイ男は諦めたようにいう。

 

 一度落ちぶれたことのあるというキールスのギルドと違って、トールドの砦町のような主力産業もダンジョンもない街は自力で盛り返す要素がないに等しい。


 それでもトールドの砦町は交易の要所のために維持してゆく必要があるそう。

 ここがなくなると、帝国方面と交易を重ねていたいくつかの都市に影響するからね。


「帝国の中央貴族は噂以上に酷いようだな」


「サーラズの貴族といい勝負だわね」


 ゴツイ男に御礼を言ってわたし達はトールドの商業ギルドも覗いてみた。

 トールドで仕事をするわけではなくても、こうした情報は知っておいて損はないものだからね。


 競合する帝国絡みのギルドのせいで、トールドの砦町の商業ギルドは冒険者ギルドより荒れている気がする。

 お父さん達が助けた娘は不在みたい。また政治絡みで狙われないようにロドスの訓練学校へ行かせているようだった。

 現状を見るとそれは正しい判断だとわたしも思った。

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