遠征準備
ラグーンの領主邸とラグーンのギルド内には、お父さんの残した功績が細かく記録されていた。
ラグーンの領都がこれ程早く発展したのも、基礎となる工事でお父さんの力が遺憾なく発揮した結果だと評されていた。
領主様は冒険を共にした記念に、領主邸の前の広場に石像を造ろうとして断わられたと残念そうに言う。
お父さんの事を調べ終えると領主様が歓迎会を開こうとした。
わたし達はまだ何かをしたわけじゃないので断ると、間違いなくガウツの娘だと苦笑されたっけ。
かわりに都市国家群へ行くまでの地図と、『海竜の咆哮』が籍を置いたことのあるギルドへの紹介状をもらった。
わたしはわたしの我儘でお父さんの足跡を辿るけれど、ニルト達はそこまでついて来る必要はないと思っている。それを伝えるとニルトに怒られた。
「『鋼鉄の誓い』はリーダーは俺だが、君の為に動くパーティーだ。足手まといになろうとも、どこまでもついてゆくぞ」
「私達の恩人の事を調べるのに、ついて行かないわけないよ」
「レーナって、頭はいいのにバカだよな」
「私の妹を私が放っておくわけないでしょ。まったく」
ベッタだけ酷い。
『鋼鉄の誓い』のメンバーは揃ってついて来てくれる事になった。
都市国家群はダンジョンの魔物が強いし、冒険者も気性が荒い。
わたし達はクロードさんのお店で、身にあった装備を整えてから出発する事にした。
クロードさんはわたしの腰にある手斧を見ると何故かムッとしていたのだけど、理由は良くわからなかった。




