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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レーナ編

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隊長の選択

『鋼鉄の誓い』パーティーリーダーのニルトから詳しい状況を聞き、領兵隊隊長は一先ずホッとする。


 騙されている事も知らない『鋼鉄の誓い』の話しから、銀級冒険者達ともう一つのパーティーは裏切っていないし、命令通り『鋼鉄の誓い』を見捨てていた。


 むしろ魔物のあまりの強さと、銀級冒険者達の逃げっぷりの見事さに感心してしまう。

 腹ただしいが領兵隊達も、彼らに囮扱いにされ見捨てられたのだ。


 サーロンド侯爵やギルドに報告された後に何を言っても既に遅く、彼らがキッチリ仕事を果たした事が褒められるだけだろう。


『鋼鉄の誓い』から手柄を奪う事も考えた。

 しかし銀級冒険者達Bランクパーティーが、一目散に逃げ出したという魔物から生還を果たしたパーティーと戦い勝てる可能性は低い。

 部下達は事情を知らず素直に称賛の眼差しで見ているのが明らかだからだ。


 グリズリーディノスを倒したパーティーを貶めようにも、銀級冒険者達が逃げて生き延びたせいで嘘をつくための辻褄もあわない。


 脅威が去って彼らを始末する理由もなく、無理に害するなら部下達に納得させて戦う事になる。

 それか、部下ごと始末するか、だ。


 何も得ていないのに、そんなお粗末な真似をサーロンド侯爵がするはずがない。

 一人の英雄の手柄に乗っかって、事実を捻じ曲げ便乗した方が得だろう。


 グリズリーディノス、もの言わぬ証明を前にすると娘を思い、見事に守り抜き散った男の偉業を称えた方が良い。


 少なくともガウツという男は既になく、彼を持ち上げる程、銀級冒険者達の失態と、『鋼鉄の誓い』の名声は消えてゆくからだ。


 領兵隊の隊長はサーロンド侯爵に説明を行う為に、後の事を部下達に指示してサーロンド侯爵の報告に自ら赴くことにした。


 今回の依頼自体は有耶無耶にされたが、レーナの思考誘導でガウツの功績は残り、『鋼鉄の誓い』もガウツと戦った事実だけが伝わった。


 サーロンド侯爵の御用商人だけが手駒を失い騒ぎ立てたが、侯爵の手により密かに処分されてしまう。


 銀級冒険者達も自分達の立場を失うのを恐れて、この件に関しては沈黙を貫く。

 騒いだ所で恥を晒し、御用商人の二の舞いになるだけだと、彼らもわかっているからだ。

 むしろ積極的に彼らがガウツを称えた為に、ラズク村を巡る陰謀はなにもなかった形で落ち着いた。


 グリズリーディノスの素材はナルジク川をガウツの筏で下り、一旦サラスナのギルドで証明書を発行してから帝国のギルドへ運ばれ、ガウツ最後の偉業として記録される事になった。


 急いだのは、サーロンド侯爵の気がかわる前に帝国へ運びギルドを味方にしておきたかったのと、侯爵領内での強奪を避けるためだった。


『鋼鉄の誓い』とレーナが落ち着いて話し合えたのは、それからさらに三日が過ぎた後だった。








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