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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レーナ編

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ガウツの功績

 お父さんが残してくれたものを、わたしは大事にしたい。

 だから、泣くのはもう止めだ。


 ガウツが守ったニルト達、『鋼鉄の誓い』のメンバーは、ボロボロだ。

 責任を感じ何も言えなくなっている。でも、悲しんでばかりいられないの。


 わたしはお父さんの身体からそっと離れるとニルトに手をかざす。

 今まで使う必要はなかったけれど、使えるのはわかっていた。


 暖かな光。

 傷を浄化してふさぐ。

 不思議そうな顔をしていたニルトは自分の痛みが和らぐのを感じ驚く。


 わたしはニルトにお父さんの身体をそのまま任せると、アリルとベッタの順に回復させる。

 ナークは変に曲がった骨を再生しながら矯正して治す。

 激痛に気を失ったナークが目を覚まして呻くが身体の傷と共に痛みは消えたはずだ。


「レーナ、この力はいったい?」


 ニルトが尋ねてくる。


「話しは後。証拠を確保して」


 わたしはグリズリーディノスの解体をする。


 サンドラさんの話しでは領主と組んでいる胡散臭い商会が、ベルク商会を嗅ぎ回っていると言っていた。


 銀級冒険者は逃げた。

 事の顚末をベルク商会に関わりの深い『鋼鉄の誓い』に押し付けるのは自明の理だろう。

 証拠を確保して、あいつらの筋書きを変えてやらないと。


 グリズリーディノスの素材を回収し魔晶石を取るとわたしは『鋼鉄の誓い』の置かれている状況を簡単に説明した。


「いや、原因は依頼をかけた領主達じゃないか?」


「倒したのもガウツさんだし、私達は助けられただけで何も出来なかった」


 口々に『鋼鉄の誓い』のメンバーが否定するのをわたしは首を振って止めた。


 レミールから習った貴族の礼儀作法や嗜みは何も挨拶や食事のマナーだけじゃない。

 貴族というのは身を守る為に平気で裏切るし、不利になれば弱者に責任を押し付けて尻尾を切る。

 逃げた銀級冒険者が、領主の人物像をよくあらわしているもの。


 いくら領主が強い立場の王国でも、都市のギルドなら人目があってゴリ押しは難しい。

 でもラズク村のギルドはあくまで臨時の支部。


「あいつらが村付きの冒険者とやりました」


 そう銀級冒険者あたりが証言すれば、調査もなく済まされてしまう。


「そんなの、おかしいだろ!」


 ベッタが叫ぶ。


「落ち着け、ベッタ。レーナはそうさせない為に話しているんだ」


 ニルトは冷静に話しを聞いてくれた。わたしの心情を察してベッタも黙る。


 わたしの考えた筋書きはこうだ。


『鋼鉄の誓い』はグリズリーディノスの縄張りに入り込んだわたしを助けるために、お父さんと一緒に魔物を倒した。


 わたしも『鋼鉄の誓い』も、元『海竜の咆哮』のおかげで助けられたけれど、グリズリーディノスを倒した後、お父さんも亡くなった。


 悲しみを堪えてわたしはわたし達のために、お父さんに最後の偉業を加えた。


 父、ガウツがグリズリーディノスを倒したのは事実だ。

 不用意にグローデン山脈の魔物の領域に入り込み、ラズク村や近隣の街に被害をもたらしかねなかった状況だ。

 失敗を悟られたくないならば、この事実を受け入れて失態を帳消しにするはずだ。



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