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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レーナ編

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払いきれない授業料

 剣を構えて指示を受けようとすると、王国の銀級冒険者達は、刃を交えることなく逃げ出した。


 あいつらを囮にして逃げろ! と叫ぶ声が聞こえる。

 騙された。


 陣形を組むなら強いパーティーを前に置く。

 弱いパーティーが前で崩されると、戦闘の邪魔にしかならないからだ。


『鋼鉄の誓い』を前に出したのは、銀級パーティーも、もう一つのパーティーも後衛主体だからと言われていた。


 まさか一目散に逃げ出すとは思わなかった。縄張りに侵入されて、グリズリーディノスは怒り狂う。


『鋼鉄の誓い』がすぐに襲われず助かったのは戦う姿勢を取ったからだ。


 縄張りに来た以上逃がす気はないだろう。グリズリーディノスは逃げ出した冒険者を次々追いかけ屠ってゆく。


 雪山の悪魔と呼ばれているが、雪がない分余計に速く強い。

 慎重に探索を進めていれば縄張りと見抜けたはずだ。

 気が大きくなって、チェックすら疎かにするなんて冒険者失格だ。


「どうする、リーダー?」


 斥候として失態を悔いるベッタが弓を構える。


「そうやって構えながら少しずつ戻ろう」


 運良く生き延びたなら、領兵隊が救援に来るだろう。

 殆ど絶望しかないが、『鋼鉄の誓い』は自分たちを見捨てて逃げた残骸から漂う血臭を身にまとい後退を開始する。


 血の匂いに紛れて俺達を見失ってくれれば、と無駄な足掻きをする。

 銀級冒険者はもうどうでもいいが、ガウツとレーナそれにサンドラが心配だ。

 自分たちのやらかしで大事な人達を巻き込んでしまった。


 普段強気で喧嘩っ早いナークが涙を堪える。

 グローデン山脈は魔の領域。

 帝国だって、実際は地道な下調べを続けて来ている。


 英雄物語は英雄達がすぐに何かを成し遂げてしまうが、そこに至るまでの過程というのは存在する。

 俺達は払いきれない高い授業料の対価に、自分たちの生命をかけるしかなかった。


 グリズリーディノスの足跡を追う。

ただ変に逃げ回るよりも、帰路へ向かう魔物のあとを追うほうが不意に攻撃されずに済む。


 仲間達は武器を構えたまま、静かに器用に歩く。恐怖で疲労の蓄積が早いだろうに。

 時折ある肉塊が犠牲者の数を知らせ、同時に逃げおおせたものがまだいる事を知らせている。


 おそらく銀級パーティーだろう。

『鋼鉄の誓い』や自分たちの仲間を囮に最後まで逃げ通す気だ。


 やつらは領兵隊や村人も巻き込んで逃げるつもりだ。

 人があまりに多い所までは、警戒して魔物も追って来ないことがある。

 怒り過ぎるとわからないが、冒険者達が逃げたためグリズリーディノスには余裕を感じた。



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