『鋼鉄の誓い』
ラズク村に逗留する冒険者達は、『鋼鉄の誓い』という名のDランクパーティーだった。
リーダーのニルトはまだ十五歳という若さだが、帝国の冒険者訓練学校を好成績で卒業して既に鉄級の階級を得ている逸材である。
明るく人懐っこい性格で、パーティーメンバーからも信頼されていた。
得意な武器は、剣だ。パーティー名の由来は彼の持つ剣から来ている。
副リーダーのウロドは大盾使いの、ベテラン冒険者だ。ダンジョン踏破の経験をいくつか持つ強者でもある。ベルク商会の専属になっていたが、指導を請われてパーティーメンバーになっていた。
ベッタは弓を使うニルトの同輩だ。
訓練学校の成績は並だったが、ニルトの親友としてパーティーに参加していた。お調子者の面があるものの、斥候役もこなす銅級の冒険者だ。
ナークもニルトの同輩で、槍の使い手だ。訓練学校ではニルト同様成績は良かったが、喧嘩っばやい性格でトラブルを起こしたため、冒険者ランクは銅となった。
最後の一人、アリルはニルトの妹だ。年齢は十歳とまだ子供だったが、剣を持たせると中々の使い手だと言われていた。
兄を慕ってついて来てしまったため、ニルトが仕方なく冒険者パーティーに加えたお転婆だった。
『鋼鉄の誓い』はベルク商会の依頼を専属に近い形で受けている。
ラズク村に来る行商人を隣り町まで迎えに行き、帰りはサラスナの町まで送ってゆくのだ。
ラズク村ではまともな依頼は殆どないのでラズク村にいる時はサンドラやウロドに、サラスナではレミールに指導を受け暇を潰していた。
ベルク氏も彼らを商会で雇うつもりでいるので、教育には熱心だった。




