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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
おまけの番外編

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脳筋男の憂鬱 ⑤

 冒険者とはいつもこんなに緊張感に溢れた戦いをし続けるのかと、俺は感心した。パーティーの仲間たちは、自分たちの得意な武器や魔法をよくわかっていて、流れるように連携を重ねて魔物を倒してゆく。


 レガトはシャリアーナ様より一つ年下なのに、物凄く知識が豊富だ。

 冒険者だから年齢は別として、魔物やダンジョンの事に詳しいのはわかる。


 だが政治の事なんて長年シャリアーナ様のもとにいた俺は、今だよくわかってない。

 それなのに、あんなに貴族を嫌いながらも貴族のやり方を良く知っていた。


 レガトに一番驚かされたのは、ダンジョンの発見の手柄をシャリアーナ様に譲った事だ。冒険者なら喉から手が出るほどの名誉。


 発見者というだけで名声は上がるし、領主様やギルドへの貢献も高まる。将来的に考えた時に名を残す偉業があるかないかは、冒険者の箔が違ってくる。


 俺なら譲るなんてとんでもないと思う。騎士ほど名誉を重んじるものはいないからな。

 ただ俺は護衛騎士だ。名誉と主のどちらが大事かなんて、問うまでもない。

 

 それでも実利を得て、名を連ねるくらいは考えてしまう。レガトのやり方は、個人の名誉を放棄したに等しい。


 シャリアーナ様も本当にいいのか、ずっと躊躇い悩んでいた。

 パーティーメンバーは、レガトのやる事にとくに気にした様子は見せない。強いていうならリモニカとアミュラが、心配そうに成り行きを見ていたくらいだ。

 スーリヤなど元騎士の娘と聞いたが、名声より強さの変わった女だった。


 辺境伯様はシャリアーナ様の提案を受け入れた。その上で、発案をレガトだと見破り褒美を聞いていた。


 シャリアーナ様に名声がつくのは、シャリアーナ様自身よりも辺境伯様の方が助かるのだと後で聞いた。

 血縁関係にあるので公爵様も辺境伯様だってあまり婚姻など望んでいなかった。


 シャリアーナ様の名声が高まるなら、身内より中央や東部の貴族への布石に使いたいそうだ。


 そういう貴族のやり取りは良くわからないが、レガトのおかげでシャリアーナ様はある程度自分自身の自由を得たと感謝していた。

 それに対してレガトの望みが小さいと、辺境伯様は唸っていた。


 レガト達は、政治の事よりダンジョンの探索で頭が一杯だった。

 それでも古代遺跡を見つけてその利益を独占するために謙虚なくらい引いてみせたのだと知った時、シャリアーナ様は唖然としていたし俺は軽く混乱した。


 そのせいではないが、古代遺跡の手強い魔物により、俺は負傷した。

 二十Mを越す魔物と戦うとか正気の沙汰ではない。装備は溶かされ、魔法を封じられ、視界まで奪われて戦う意思を衰えさせない仲間たちに俺は笑われたくなくて意地を見せた。


 本当は倒れこんで休みたかった。でも、あんなデカい魔物相手にシャリアーナ様もイルミアも必死で応戦しているのに、少しくらいの怪我で怯む姿を見せられるか! ってなった。


 無理がたたって戦いのあと動けず、外出禁止にされたが、俺は誇らしい仲間と出会い共に戦えて満足していた。


 



 

 お読みいただきありがとうございます。本編は既に完結済みです。



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