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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
おまけの番外編

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脳筋男の憂鬱 ③

 勝敗は一瞬で決着が着いた。九歳になったとはいえ、まだまだ子供の力で大剣を振るうのは難しい。それをわかっているから、元領主の息子は盾を構えて不用意にニヤつきながら寄って来た。


 俺は剣先が地についたままの大剣を、力一杯横薙ぎにぶつける。盾があろうが関係ない。

 ただただ力にまかせて、大剣の重さと遠心力で斬るのではなく、ぶっ叩く。


 まさに相手は俺に剣で突き刺そうとした瞬間だったので、大剣の勢いにぶつかってよろけた。


 元領主の息子は、剣を落としこそしなかったが、刺突の勢いを止められて驚く。剣を構え直す瞬間に、一回転した大剣が盾を持つ左腕の肩あたりに入り、元領主の息子ごと斬り倒す。

 子供の力とはいえ、大剣の勢いで鎧のない部位から鮮血が流れる。


 模擬戦ならば中止になるが、これは決闘なのだ。剣を落とし膝をついて痛がる元領主の息子の、その無防備な頭に俺は大剣を叩き込んだ。


 勝負がついたのに手を止めず攻撃を加えた事で、冷やかしていた領主の息子仲間達からの声が止まった。

 見物人たちもそこまでやると思ってなかったのか、シーンとしている。


 でも、これは名誉をかけた生命がけの決闘なのだ。相手が降参して自分の非を認め這いつくばって詫びを入れようと、傷つけられ失ったものは、戻っては来ない。


 俺はシャリアーナ様の騎士だ。見習いだろうと、正規のものだろうと関係ない。主と見定めた方が、親友を不当に貶められ深く傷ついている。


 たったそれだけの事で人の生命を奪うのかと言う奴らに、俺は全力で吠える。主の事を傷つけるのは許さないと。


 なにより、シャリアーナ様の騎士でもないお前らが、たったそれだけの事と勝手に決めつけるんじゃねえよ。


 トドメを刺す前に立会人の銀級冒険者が俺を止めた。決着はついたが、元領主の息子は死んではいない。

 公爵様から決闘の勝者が俺である事を認められ、元領主の息子や仲間達の罪状が告げられた。

 

 俺や父上が不当に貶められた罪と、主である公爵様やシャリアーナ様の周囲を嘘を並べて不当に惑わせた罪により、元領主親子はしばり首になる。

 領主の息子の仲間達は、除籍の上に帝国外への追放処分が下された。実際は国外へ辿り着く前に始末されるものだが。

 

 元領主親子は別として、小領主の息子たちに厳しい処分をすれば反感や反発されかねない。

 しかし公爵様は己の欲望のために相手を見下し不正に貶めようとする輩は、いずれ害になると断じ、気にくわないのならば離反すればいいとまで言い切った。


 過激な発言だと俺は思ったが、あらかじめ小領主達には根回しが済んでいて、不満についてはすでに話し合いで解決していたらしい。

 シャリアーナ様に後で話しを聞かされて、俺は政治の奥深さを知ったが自分には不向きな世界だと理解した。

 

 断罪された元領主親子は、しばり首になり領地没収された。

 新しい領主は息子の忠義と正しさの証明するために、騎士位を剥奪された父上がつくことになった。

 公爵様を相手にしても、口を割らず忠義を通した頑固者として、領民からは逆に尊敬され愛されているようだ。


 俺はというと、待遇は今までと変わらず見習い護衛騎士のままだ。

 決闘は結局の所は私闘で本来なら罰せられるものだが、護衛騎士の内定を取り消すという罰が与えられて、一からやり直すよう伝えられたのだ。


 立場は何も変わらないけれど、今どきありえないくらいの忠義バカとして評判になってしまった。

 

 

 

 御来訪ありがとうございます。


 本編は既に完結済みですが、おまけの番外編を追記中です。



 

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