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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
おまけの番外編

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脳筋男の憂鬱 ②

 俺の届け出を受ける前に、シャリアーナ様とイルミア、それに俺は公爵様に呼び出された。俺の噂話しはとっくに公爵様のお耳に入っていた。


 父上もすでに呼び出されていて、クビになった経緯を聞かれたらしいが、息子の忠義の心を尊重するための一点張りでさすがに公爵様もお困りになったらしい。

 

 ただ父上の様子から噂の出どころを察した所で、当の息子から決闘の話しが届いた。

 智慧者と称される公爵様は何があったのかすぐに察して、俺と領主の息子の決闘を許可して下さった。


 元領主様も公爵様に呼び出されて事情を聞き、公都で起きている騒ぎの顛末と、クビにされた騎士の息子と自分の息子の決闘の話しを聞かされたらしい。


 元領主様は悪い人間ではない。一方的に息子の話しを信じ、忠義の騎士をクビにしてしまった事に気づいた。

 元領主様は息子の事を信じたい所だろう。しかし肝心のシャリアーナ様が俺を信じていて、決闘に敗れようと俺を重用すると宣言して下さったあとだった。


 禍根を残さぬために、公爵様は元領主様の息子が決闘の勝者となったなら、彼の言を是としてクビにされた騎士と俺をしばり首にすると告げた。

 シャリアーナ様が抗議したが、公爵様は両者の意見を公正に受け止めるためと突っぱねた。


 当然、俺が勝てばあらぬ噂をたてた挙げ句、忠義な騎士と忠義を誓う未来の騎士を陥れようとした者達の罪を問わねばならない。

 シャリアーナ様のためにも、誇りをかけて戦うなら勝って証明してみせよと言われた気がした。


 俺はまだ見習いだけど、騎士として扱い、騎士の誇りをかけて戦う事を許してくれた公爵様に感謝した。


 元領主の息子は、決闘騒ぎに発展しても悪びれた様子がなかった。これがどういう決闘の場なのかを、まだ理解してないのだろう。

 減らず口を叩き、領主の息子仲間達から手加減してやれよと笑い合っていたくらいだ。


 別にふざけあうのは勝手だ。俺はただイルミアの名誉を保ち、シャリアーナ様の心を傷めない様に挑むだけだから。


 青ざめた顔の元領主様が、自分の息子に対して真剣に戦うように厳しく注意していた。

 しかしこれから戦う息子の方は話し半分に聞いていて、言われずとも実力の違いを見せつけ叩きのめしてやりますよとヘラヘラしながら請け負っていた。


 決闘は公爵邸近くの広い空き地で行われる。冒険者ギルドの協力で、噂を聞きつけた人は遠目から見学出来るように場所が設けられていた。

 決闘後に処分が言い渡されるため、衛兵も多く配置されている。これは負けた側が、逃げ出せないようにするためなのだろう。


 立会人には銀級冒険者の女剣士の人が務めた。この空き地は将来、この立会いを行う冒険者のために邸が用意されるという。女性なのに、もの凄く腕が立つ人らしい。


 俺は大剣、元領主の息子は剣と盾を構えた。速度と守りでは、俺より元領主の息子の方が強いだろう。

 だから俺は大剣を、ただ力一杯ふることだけを考えた。決闘と言い出したのは俺だったけれど、生命をかけて剣を振るうのは初めての事で、震えが止まらなかったからだ。

 

 名誉をかけた戦いの代償は互いの首。決闘の時刻を知らせる鐘が鳴り、俺と元領主の息子は剣を構えた。

 




 


 

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