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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
ガウツ編

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『黒魔の瞳』

 ダークネスヒドラは頭が一つ、尻尾が複数のヒドラの亜種だ。一つ目竜もそうだがこのダンジョンは竜種は亜種が多いのかもしれない。


 尾の数が多い程、長く生き、強くなる。ヒドラが複数の頭の数を活かすように、ダークネスヒドラも、尻尾による攻撃が得意だ。


 尻尾の先には毒、麻痺など、獲物を弱らせる状態異常をもたらす棘がいくつもついていた。


 ダークネスヒドラの吐く息は闇の霧と呼ばれ獲物の魔力を弱らせたり、吸い出すという。


 一つ目竜もそうだが、ダークネスヒドラについても全部後で他のダンジョン情報から知った事で『黒魔の瞳』では未確認の魔物だった。


 ダンジョンの名前からして記録にないだけで、コイツを暗示している気がしないでもない。


 ダークネスヒドラがのっそりと動き出す。尾の数は七本、かなり強い部類な気がする。


「ポーター隊は入口まで下がれ! 弓隊も下がって支援と背後の警戒を!」


 大型の魔物が出た時にどう対処するかはミーティングを重ねて何度も検討していた。一つ目竜との経験から、固まって魔法を喰らうのが一番不味い。


 荷物を抱えて戦闘能力の低いポーターは真っ先に下がるように言われている。戦闘力の弱い『海竜の鱗』のラニアやニーシャはポーターと共に下がり彼らの護衛につく。


 弓隊はそれぞれ有効射程のラインまで後退する。直接戦闘の苦手なキャロンも魔法の届く位置まで下がる。

 エルヴァは前衛もこなすのでラング達といる。


 俺達はラクトと左に、ウロドも仲間達と右に展開する。一つ目竜の全体攻撃には弱いが左右に展開して少しでも狙いを散らす。


 一つ目竜の経験は大きく、仲間達はみんな冷静にダークネスヒドラを囲む。ダークネスヒドラは怒りながら大きく息を吸い闇の霧を正面に向けて吐き出す。


 初見では毒の霧にも見えるため正面に陣取るラング達は解毒薬をいつでも取り出せる準備をする。


 ラクトとウロドは攻撃が正面に向けたものとわかる時点でダークネスヒドラにせまる。

 弓隊も正面寄りに動いて、ラング達の援護と左右の攻撃陣の支援のため矢を放って注意をそらした。

 連携がうまくいき、攻撃が届く所で気づいたダークネスヒドラが尻尾で頭を包むように丸くなる。


 攻撃陣の刃は尻尾のいくつかに傷をつけただけで終わった。俺の攻撃は胴を狙っていたが、丸くなる動きで外されてしまう。


 ダークネスヒドラはそのまま俺達に転がって来た。なんだかダンジョンに付きものの鉄球みたいだが、跳ね飛ばされ踏みつけられるとダメージが大きい。


 動きはそこまで速くないので、重装のラングやウロド以外は攻撃範囲からすぐに逃げ出せた。


 ダークネスヒドラが尻尾のガードを解くと、その隙を狙って弓隊と魔法使いが集中砲火を浴びせる。弓矢は硬い鱗に弾かれたが魔法がダークネスヒドラの片目を襲う。


 エルヴァの勘が働いたと言っていたが、片目を潰したおかげでダークネスヒドラの切り札『黒邪の呪い』の発動の効果が弱まった。


 ダークネスヒドラは、逃げ遅れて近くにいたラングとウロドに向けて邪眼を輝かせた。二人は急速に冷え込んだ人のように自分の身体を抱きしめるように倒れる。


 絶命?! と最悪の事態を皆が一瞬考えてしまったが、二人とも息はある。


「クロード、デニク!」


 ラングにかわりラクトが二人に声をかける。二人共、意図を察してラングとウロドを救出し後退する。

 弓隊が邪眼の隙を付いて攻撃し、俺たちもダークネスヒドラへと詰める。


 今度は外さない。


 横殴りに当てることだけを優先し、ダークネスヒドラに深いダメージを与えると、傷口を狙うようにエルヴァが炎の魔法を叩き込んだ。

 のたうつダークネスヒドラに『海竜の咆哮』は追撃の手を緩めない。


 竜族というか蛇系の魔物はしぶとい。再生をする魔物も多くヒドラなら頭を潰しても死なないと言われている。


 めちゃくちゃに暴れまわる時は引き、攻撃に転じようとした際に集中砲火を加えダークネスヒドラはようやく沈んだ。

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