はじめてのギルド2
フォルンのギルドに緊張が走る。ギルドでは比較的有名なパーティーが、他所から来たパーティーに絡もうとしているのが分かるからだ。
俺としては、キールスのギルドで似た体験をすでにやっているので、この手のイベントはもうお腹一杯だ。
何より以前と違って、背中にはオーガの斧がある。明らかに重たそう、実際クソ重い武器を持つ相手に絡むなんてどうかしてる。
俺なら例え美人でも、エルヴァやサンドラに絡もうなんて思わない。一緒に依頼を受けたり攻略に向かったりしてわかったが、エルヴァは魔法の力だけでなく剣の腕前もラクト達よりあるのだ。
サンドラも、見かけよりも重い槍を使っている。戦国時代の兵士ばりに、突くよりも叩く事が多い。見た目以上に腕力とか筋力があるので、言い方に気をつけないとラクトのような目に合う。
あんな自信満々に、他所のギルドに入って堂々たる態度な時点で察しろと言いたい。
なんか眼前まで来て喋っている髭面を見て、俺はふと閃く。俺はスッと、背中から斧を手にする。
「武器を抜いたぞ?!」
見物人達が、見間違った発言をする。
「やるのか?」
ニヤつく髭面は、腕に自信があるようで仲間達も楽しげだ。
「これを持ってみろ」
そう言って斧を片手で持って、髭面の前に突き出した。
平和的解決はいくつかあるが、キールスと違ってここでは鋼級程度では引いてくれない。
現に髭面は同じ階級だ。それならば力量差を見せる手段で納得させるのが一番だ。
オーガの斧は、サンドラの槍の十本分はある。クランのメンバーに持たせたが片手で持てるのはクロードくらいで、力持ちのドワーフでも唸る重さだ。
俺が片手で軽々持って渡そうとするので、ニヤついた髭面は更に悪い顔になる。逃げはしないが、言いがかりをつけて奪わうつもりだろう。
「しっかり持っていろよ」
俺は髭面が斧を持ったのを見てそう言い、自分の手を離した。
「うぉっ!?」
髭面は急な重さにバランスを失い、斧と一緒に前のめりになって派手に転んだ。床に穴が開く前に斧だけは俺が掴む。
「何やってんだよ?」
仲間達が呆れたように髭面に言う。
「いやコイツの斧が重いんだよ」
情けない声で言い訳をする髭面を、仲間達が再び呆れる。俺が片手で持っているのを見ているので信じられないようだ。
「嘘だと思うならお前らも持ってみろよ」
髭面がそう言うと三人組の仲間達が顔を見合わせ、俺に斧を貸してくれと頼む。何となく空気を察したらしい。
三人は髭面の様子を見ていたので、三人で斧を持つ。
「離すぞ?」
そう言って俺が合図して斧から手を離す。三人がかりでもバランスを崩すが何とか持ち上げようと奮闘した。
「ちょっかいをかけられて、この斧が落ちるとさ、危ないんだよ。わかるよな?」
俺は三人から斧を回収して、軽く告げる。恫喝役の彼らから話しが伝われば、ちょっかいをかけてくる連中は減るはずだ。
我ながらうまくいったと思ったが、ラクト達には笑われた。得意そうな俺の顔が可笑しかったらしい。




