強化月間
ギルドに予算がないので、深層で得た素材は別の街で売却する事に決まる。
近々ベルク商会の隊商を組み、取引相手を探すとの事。
一つ目竜の素材はしばらくはクランの戦利品として保管される事になりそうだ。
『海竜の咆哮』の当面の目標は『黒魔の瞳』の深層踏破だ。
売却利益の内、一部を深層攻略の為に使おうという計画も立てられる。
攻略のメインは『海竜の咆哮』が担うのは変わらないが、浅層から中層を攻略し、拠点を築くためだ。
キールスのギルド仲間達の戦力の底上げになるのと、全力で深層に挑める時間を出来るだけ多くする為だ。
遠征には資金が必要なので、素材売却が終わるまでしばらくは各パーティー単位での戦力強化を図る。
俺のいる『海竜の爪』はパーティーメンバーのスカウトをするために、キールスから『黒魔の瞳』のあるダンジョンの反対側の街へと向かった。
深層を潜るのに俺達のパーティーはメンバーが少ない。出来れば魔法の使い手がいいが、魔法使いはどのパーティーにも重宝されるので、中々スカウトには応じない。
ポーターに関してはベネト達を呼び続けるわけにはいかないので、ラングのパーティーが捜す。直接の戦闘能力よりも信頼性が大事になるので、こちらも決まるまで時間がかかりそうだ。
ウロド達は単体パーティーで、『黒魔の瞳』 中層攻略を目指すという。ダンジョン経験をもう少し積むだけで、クランの力になれる。
深層パーティーの実力が、ベースキャンプのパーティーより下だと舐められるのが許せないのもあるのだろう。
「それで、エルヴァはパーティーから離れて単独行動してていいわけ?」
俺達のパーティーにエルヴァが何故か付いてきた。サンドラが不安そうに尋ねる。ラクトに対しては強気だが、エルヴァには尊敬の念があるのか大人しい。
「いいの。ラングは人集めと面接で忙しいし、キャロンやクロードは自分達の工房に籠もりっぱなしだもの。
それに人数ウチらも必要だしさ」
「優先順位はこっちで頼みますよ?」
ラクトが一番やりづらそうだ。エルヴァはクランの中では姉貴分なので、昔からからかわれたり遊ばれたりでトラウマを抱えていると言っていたしな。
あちらの先にあるダンジョンにも行くつもりなので、俺とクォラはエルヴァがいてくれた方が助かると賛成した。




