帰環報告
一つ目竜の首が落ち仲間達は重圧感から解放され倒れ込む。
俺も鎧の重さが元に戻り足が地面を踏みしめる感覚がした。
「どうなっているんだ?」
疲労感から回復したラングが問いかけて来た。
「俺にもよくわからん。ただ中層、深層と進む程身体が軽くなった気がする」
極めつけは一つ目竜の重力負荷だ。
「その鎧のせいじゃな」
クロードの目がキラキラしている。
前にも言っていたが何かわかったらしい。
「アルミナタイトは圧力がかかると浮き、低いと重くなると言われているんじゃ」
どのくらいの負荷が必要か、他の金属との複合なのか、まだ未知の部分も多いらしい。
錬金術師などが血眼になって研究しているが、世の中の流出量が少なく、試作を重ねるとなると莫大な資金がかかるという。
「不思議なやつだよな、ガウツは。おかげで助かったけどよ」
ラクトがボンっと肩を叩いてくる。
「ほんとに、もう駄目かと覚悟したよ」
エルヴァ達も次々とやってくる。
みんな死を覚悟したらしい。ソロンやラニアなどはまだ腰を抜かして立てないのでウロド達が背負って集まって来た。
俺は面映ゆいので、反省や検証は無事に戻ってからしようと、一つ目竜を指差す。
竜族の素材は間違いなく貴重だ。
浅層の素材を置いて交換して取れる素材と大きな魔晶石を持ち帰った。
帰路は疲労もあるので急がずに行きよりも慎重に戻った。
一つ目竜を前に生き残れたのに浅層、中層で油断して大怪我なんて笑われる。
安全性を重視し、休息の回数を増やしながら地上へと帰環した。
キールスに戻った『海竜の咆哮』メンバーは旅装を解くと各自部屋に向かい倒れるように眠った。
クランの盟主であるラングとラクトはベルク氏に報告して、ダンジョン探索で得た品を預ける。
貴重素材等は倉庫の中の施錠された区画へ運ぶ。冒険者ギルドに報告は入れるが、素材採取の依頼以外は黙っておく事になった。
深層へ到達した証は巨大ウルバットやタウロスデーモンの素材を売却がてら提出すればいい。
クランの貢献度も各パーティーの評価もそれで上がるだろうし、深層へ行き戻っただけで個人の評価も高まる。
おそらくクランを率いるラングは昇級する。三パーティーとはいえ、銀級冒険者抜きで深層から戻ったパーティーは殆どいないからだ。
冒険者ギルドマスターの集まりで、報告を上げても反対されない自信もあり、キールスのギルドとしても落ち目からはい上がれるだろう。
依頼報酬、素材の売却と、成果報酬を受け取りラング達はクランハウスへと戻る。二人ともまだ色々話す事はあったが、まずは身体を休めた。




