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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
帝国動乱編

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混乱する帝都

 帝都は大混乱になっていた。

『黄金の郷』『神恵の広場』の二箇所のダンジョンが炎に包まれ魔法で身を守る術を持つものしか中に入る事が出来なくなっていた。


 炎の壁は幅と高さが十M程。魔法で出来ているためか、近くに寄っても熱くないが、触れると本物の炎に包まれる。


 緊急で魔法の使える冒険者に解呪依頼が入ったものの、高い魔力に阻まれ魔法技術を解析出来ず全て失敗に終わる。帝都の魔導隊もやって来たが、やはり解呪出来ずに失敗した。


 経験豊富な有力クランから炎の魔法には罠が掛けられており、解呪に失敗したり、魔法で無理に通り抜けたりしようとすると、その魔力を吸収して術の効果が伸びてしまうとわかった。

 放っておけば三日ほどで消えたはずだと言われ更にショックが広がった。


 急遽、櫓が組み進入経路の確保が行われたが、数ヶ所の進入口と運搬作業の手間が重なる。

 とても今まで通りに帝都の人口を支える食糧供給を確保出来ず、新皇帝が行った最初の帝国民への布告は食料品規制となった。


 新皇帝誕生を祝う華やかなパレードの後だった事もあって、帝都の民衆の不満は大きく跳ね上がった。


「レガトのお母様って、やってる事はめちゃくちゃなのに凄く合理的よね」


 報告を受けた公爵も耳を疑ったようだ。母さんなら完全に閉ざす事も出来たのにしなかった。絶妙に欠陥があるとか嫌らしい罠だよね。


「そうしちゃうと、第二皇子達の仕業だと責任転嫁されるからよ。魔法を使えば出入り出来る、櫓を組めば進入は出来る。抜け道があると、利用したくなるものよね」


 糧道を完全に絶たなかったおかげで命綱は繋がっている。しかしそのせいで、新皇帝側は対応を急ぐ必要にせまられ、就任早々から不満の高まる布告をする羽目になった。


 それでも有力クランの助言を聞き入れていれば問題が長引く事はなかった。


 母さんは新皇帝と、取り巻きの派閥を試したのだ。抜け道があると必ずと言っていい程、抜けがけをする輩が現れるものだ。


 とくに今回の罠は実力があれば問題なく、お金があれば解決する。

 問題を早々に解決する気があれば、取り締まりを強化し、抜け駆けをするものがいれば厳しく罰する姿勢で挑むだけでいい。


 だけど新皇帝も中央貴族達も自分達がそれほど困るわけではなかった為、抜け道を許した。


 ダンジョンからの収穫は大幅に減った。でも政情不安から盗賊が出没しはじめ輸送費用はあがったものの、物流そのものは止まっていない。


 新皇帝は自分達の派閥貴族に食料支援要請をかけた。


 新皇帝派の貴族達は、第二皇子派の貴族と争いの最中で懐事情も厳しい。

 要請に対して新皇帝派貴族が行ったのは輸送費用高騰に便乗した、食料品の値段価格の更なる上乗せだった。


 わずか数十日の間に帝都の物価は高騰し続けた。銅貨一枚で買えたものが小銀貨一枚でも買えない状況で民衆の不満は高まる。


 新皇帝側の打ち出す布告は輸送費用の制限や販売価格の一律可など、派閥貴族や商人の負担を強いるものばかりだった為、急速に支持を失っていった。


「お父様が感心していたわ。第二皇子派の貴族が正規の価格で物を売るだけで、新皇帝派閥の貴族を取り込め、商人達には恩を民衆には感謝をもらえるのだから」


 母さんがどこまで展開を読んでいたのか聞いてみたいものだけど、今は沿海州地方へ偵察に行ってもらっていた。


「イングベイ新皇帝の時代はなかった事になりそうだね」


 あれだけ入念に下準備をして新皇帝の側近についたわりに、政権発足後の対応がお粗末過ぎるのが気になった。





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