開拓開始
翌日、療養中のリグは留守番、アミュラはニーシャの所に用があるからと、今日は別行動になった。
メニーニも父親のクロードのおっちゃんと新装備の作成中だ。
残る仲間はギルドのガラクタ屋で買ったありあわせの装備を身に着け北の門へ向かう。
北門にはラクトスに、お付きの騎士達が三人いた。
農村の子供達に何か言い聞かせている感じだ。
新ダンジョンの開発に成功すれば、出し抜こうとして失敗した恥は注ぐ事が出来るとあって気合いが入っている感じだ。
ズリッチ達は以前よりやつれていた。大変だったのは孤児院の子供達なので、同情はしない。
罰を受けた分をしっかり働いてくれるならハープ達も何も言わないだろう。
四男坊は領主様に、ズリッチ達は牢番の衛兵に強く言い聞かされたのか、僕らを見ても騒ぐことはなかった。
ハープとホープにスーリヤ、それとゴブリンスタークの二体が生活用品や食料を積んだ荷車を引いて先頭を進む。
四男坊と騎士達がその後に続いた。
ズリッチとマーズクが互いの弟妹を守るように挟んでその後に続く。僕、リモニカ、シャリアーナ、イルミアは最後尾だ。
領兵隊のおかげでトロールの駐屯地までは道が広げられて整備が進んでいる。道を切り開いて出来た資材は、そのまま駐屯地まで運んでおいてくれていた。
「まずは駐屯地を完成させるまでの居住用の建物を作るんだ。ラクトス、騎士の三人とズリッチとマーズクで設計に従って作ってくれ」
僕らはズリッチ達の弟妹とその間に水路を引く。ゴブリンの二体は作業場の警戒にあたってくれる。
「シャリアーナ様も作業を?」
公女自ら汚れ作業をするとあって、誇り高い騎士達や、わがままな弟妹達も大人しく従った。
「あれが普通の反応よ」
僕達はもうシャリアーナを特別扱いしなくなっていたので、騎士たちの狼狽えぶりは新鮮な反応に感じだ。
上下水路をそれぞれ掘り進め、イルミアの魔法で固めていく。途中オークの群に襲われたがリモニカとスーリヤがあっさりと倒す。
二人の戦いぶりに弟妹達の目が少し純粋さを取り戻して見ていた。




