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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レガト編

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職人父娘

 ダンジョン探索はリグの怪我が完治するまで休止する事になった。

 本人は平気って言うけど、シャリアーナが許可しなかった。

 どのみちトロールの駐屯地の開発が始まるので、休養所になる所の確認や装備を新しくする必要もあった。


 僕達は手分けして行動する事になった。

 トロールの駐屯地の休養所には、ハープとスーリヤが新しく召喚したゴブリンスタークのラザンとリズンを連れて視察に行く。

 大まかな要望と設計は出しているので、確認や調整のためだ。


 装備に関しては僕とメニーニがクロードのおっちゃんの所に行く。

 リモニカとホープはギルドに赴き、古びた金貨を十枚だけ持っての査定をしに行ってもらった。


 アミュラ、シャリアーナ、イルミアの三人は買い出しと、ニーシャの薬屋に行く。

 リグの薬も必要で探索用に良い薬があれば購入を頼んでおいた。


 遺跡の素材の大半はパーティーホームへ持ち帰っていた。

 情報のあるエビルマムートやトリアケローの素材は売却してもいいと思うけど、グレムバイパーはゴブリン戦隊にも使いたいので確保する事に決まったのだ。


 パーティーランクも通達があってDランクに上がった。

 新人が入るかもしれないので有用な素材は取っておきたいのだ。


 宝石類や古びた金貨など初心者パーティーの財産にしては豪華だよ、売却が難しいけど。


 金貨なら質がよければ同等量の金貨の価値になるのであって困るもんじゃない。


 僕とメニーニは孤児院から小型の荷車を借りて、壊れた装備や使いたい素材を積んでクロードのおっちゃんの所に向かった。


「また派手にやられたな」


 一つ目竜は地竜の亜種というから、あの蛇は竜族の鱗も溶かす酸を浴びせて来たのか。


「それレガトと私でコーティングしたのにも関わらず、だよ」


 強度が上がっていても溶かすとか、皮膚も爛れるはずだ。

 イルミアの治癒魔法とニーシャの傷薬がなければ傷跡が残ったかもしれない。


「子供なんだ、もう少し大人しくなんていう気はないが、無茶し過ぎもよくないぞ」


「はい。今回リグが酷い怪我を負ってしまって、反省してます」


 最後の魔力暴走も、賭みたいなものだった。

 うまくいかなければ自分達が巻き込まれていたかもしれないし、倒し切れず最悪の事態になったかもしれない。


「わかっとるならいい。なんだかんだ結果が出たのなら、冒険者としての成功体験なわけじゃからな」


 起きた事にいつまでもこだわるなとクロードのおっちゃんは笑った。


「でも、こいつはいいな。ドラゴン系には劣るかもしれんが魔法耐性は勝ってる」


 ドラゴンの鱗と違い、弾力性が高いので打撃を吸収してくれる。


「それにその石は月光石じゃな。ルナマグネとも呼ばれとる、ミスリルよりも硬く魔力が高い石じゃよ。

月の光を吸収し魔力にするという代物じゃと聞いたことがある」


 おっちゃんは珍しいものを見たと喜び、魔力吸収効果を上げる配合を考えはじめた。


「せっかくじゃ、クロチタンとアダマンタイトを混ぜ剣と鎧をセットにするか」


 おっちゃんの中で装備の一つが確定した。

 剣ならスーリヤとシャリアーナだ。


「魔法を使うシャリアーナの方が良さそうだよ」


 僕もメニーニの意見には賛成だ。

 スーリヤは遺跡で見つけた魔法剣が気に入ってるのもある。


「後の鎧は何か案があるのか?」


「リグには全身鎧が欲しいんです。ただ体力はあるけどなるべく軽めになるように。ゴブリン用には逆に重くても平気です。仲間達のは前のレザーメイルのような感じが動きやすくて良かったです」


 ハープの大盾、ホープの盾にもグレムバイパーの皮を張る事にした。

 防御効果が上がるので、本体を軽く出来る。


 他にもリモニカの弓やアミュラの槍など細々と注文をつけた。

 おっちゃんは一つ一つメモを取ってなるべく個人の技量に合わせたものに仕上げようとしてくれた。

 メニーニも自分のものは自分で作成したいとそのままクロードのおっちゃんの元へ残った。


 僕は空になった荷車を引いて孤児院へと戻る。

 時間が余ったのでギルドへ向かい調べものをしようと思った。


 ギルドへ行くとリモニカ達がいて、ミラさんと何やら話している所だった。

 ホープが僕に気づき声をかけて来た。


「ちょうど良かったレガト。なんか、領主様から相談があるみたいよ」


 領主様のような偉い人からのちょうどいいタイミングは、なんとなくトラブルの予感がしかしない気がした。

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