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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レガト編

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酔っ払いは嘘をつくもの

「『星竜の翼』の次の目標はラグーン北の森の探索と、ラグーンでの拠点確保だね。」


 ゆっくり静養したあと、冒険者達で混む少し前に僕達はギルドの食堂に集まる。昨日は疲れて出来なかった、打ち上げの宴席を設けた。


 各自好きなものを頼む。いつもはおすすめを大皿で二つ分頼み分ける。でも今日は好きなものを好きなだけ小皿で頼む。


 次はどうするのか、スーリヤが尋ねて来たので僕は探索を提案する。

 拠点に関しては僕はギルドの宿、メニーニはクロードのおっちゃんの所、他の子は孤児院からとバラバラなので、出来ればまとまろうと考えていた。


 孤児院の近くに空き物件があったので狙っているけど、今後の収入がEランク相当に落ちるとなると、僕たちには維持が難しい。


「『土竜の宝物庫』には行かないの?」


メニーニはおっちゃん達と、ダンジョン採掘についていった事があるらしい。


「あそこは今、大規模クランが張ってるからダメだ」


 絶対に間違いなく絡まれる。リモニカやスーリヤは大人と扱われるかもしれないが、子供だらけのパーティーなど舐められるに決まっていて面倒臭い。

 お節介のふりして、こき使って搾取されるか、子供は来るもんじゃないと妨害を受けるだろうね。


「それにあのダンジョンは結局、採掘で鉱石を売るのが一番の収益になる」


 そう、僕らでは体力がないし、運ぶ量もたかが知れてる。

 少量でも希少なものが採れて稼ぐ事が出来るというなら行くが、さほど大したものは出てないようだ。


 それならライバルの少ない地域を探索しておきたい。貴重品も残しておいたから、ギルドに預けてある。

 アミュラは悲しむが売れば割りと良い金額になるそうだ。


 そういうわけで今日は慰労も兼ねて楽しんでもらう。

 じゃんじゃん頼んでたらふく食べてってやりたいけど、僕らのお腹はすでにパンパンだった。


「おいっ、そこの子供。お前達が『星竜の翼』か?」


 唐突なの面倒そうな子供に、子供扱いされた。


 リモニカが目配せする。子供の側に控える大人達は騎士だ。多分貴族の子供だろう。


「違います」


 トラブルになるのわかっているので知らんぷりをする。身分証なんて普段持ち歩いてないから、違うといわれればそれまで。

 楽しんでいる冒険者の宴を邪魔する野暮な奴に用はない。

 お腹はパンパンだけど、話しがあるなら一杯奢るなり、貴族の坊っちゃんらしく全員にご馳走振るまいなよ。もういらないけどさ。


「なっ、そんなわけないだろう」


 知っていて声をかけたなら聞くなと思う。


「知りませんよ。有名な冒険者なら、あちらの席の人達の方が強そうですし、きっと本物ですよ」


 スーリヤが笑いを堪えている。彼女は騎士に思い入れがあるので、自分に置き換えて考えたのだろう。


 貴族の子供は怒りを抑えるように震えている。酒の席で何を言おうと相手にすべきではないのが、冒険者の暗黙の了解だ。


 酔った相手に質問して嘘をつかれようと、そんな相手を信じて質問するな、って事だ。

酔っ払いの発言に一々目くじら立てて咎めるような真似はするなと言いたい。楽しい気分も台無しになる。


 まあ、お酒は誰も飲んでないけど。

あと言い方はともかくとして、認識が正しいのはあちらだけどね。




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