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逃げた神々と迎撃魔王 第一部 〜 集う冒険者たち 〜【完結済】  作者: モモル24号
レガト編

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孤児院の子供達

 リモニカ達はひとまず孤児院の子達の依頼を人数分集めて受付へ行く。


 色々と丸投げしたせいか、初心者や見習いの受付にはヒルテとは別の職員が対応していた。大変そうだけど頑張ってね、とだけ思う。


 依頼を受理してもらうと、ギルドの外で待っていた子供達に依頼を割り振る。

 今日からズリッチ達がいないため、今回はリモニカが孤児院の仲間達の年齢や能力を考えて渡していた。


「ズリッチ達は?」


「悪い事して捕まったの。明日からは、依頼は早く来た順に選んでもらうからね」


 リモニカの言葉にみんなの顔が明るくなる。僕と同じか少し歳下の子供達は、自分達の置かれている状況を察していた。


「仕事が終わったら、今日から自分で受付のお姉さんに報告して、お金を受け取る事。出来るよね?」


 リモニカが大人の邪魔にならないように、報酬をもらっても騒いだりはしゃいだりしないように注意する。


 統率が取れていて、幼い子でもみんなしっかりしている。ハープとホープは昨日の報酬を人数分で分け、みんなに手渡す。


「いっぱいお金を貰える仕事もあるけど、働いている人の所で仕事が出来ないと貰えるお金を減らされるからね」


 ズリッチ達の弟妹の報酬は半額以下だったそうだ。すぐサボるし、ずっと仕事を独占しているのに覚えないせいだ。


 ラグーンでは、必要なくともあえて依頼を出して子供達が職場体験出来るようにしている。


 もちろん向いている子供がいれば雇い入れるためでもある。

 そうした理由があるので、稼ぎがいいからといって不向きな仕事をやっても評価が得られず、報酬が減額される事もあった。


 半ば無償で育成の手助けをしているようなものなので、依頼側は意地悪や値切る事などせずに正当に評価してくれる。

 中には悪いやつもいるだろうけど、銅貨数枚をケチって領主に睨まれる危険性を考えると、かえって損するだけだからね。


 これらの制度上、子供たちの側が向いてなくとも、依頼を受けるのは自由なのが難点でもある。ズリッチ達の弟妹はその象徴的な形だ。あまりにも酷い時は、ギルドに報告され名指しで出禁にされた。


 そういうわけでズリッチの弟妹は出禁寸前だった。

 冒険者にも言える事だけど、依頼を満足にこなせなかったり失敗したりすると評価が下がる。


 その状況が続けばランクは当然下がる。ギルドが昇格に慎重なのも、力量を考えていてのことなのだ。


 リモニカ達の様子を見る限り、孤児院の子供にはそういう心配はいらなそうに見える。


 もっと小さい子供達の事を考えられる子ばかりだからだ。商店や工房に住み込みで雇い入れて貰えれば、その分孤児院の負担が減る事を理解している顔だった。


 依頼先へ子供達が行くのを見送ると、僕はリモニカ、ハープ、ホープと共にギルドのホールへ向かう。


 三人には冒険者になって、僕と一緒にパーティーを組んでもらおうと思っていたからだ。




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