第2回配信 幼女(おっさん)とエルフ(おっさん)先にちょこっとプレイする
ボードまで来たがデカイな。見上げても上の方の依頼が分からん。首を痛めそうだ。まぁ、メニューから確認できるから良いんだけど。というか凄い見られてるんだが何があった?全員が幼女好きで注目の的なのかと思ったが見てくるプレイヤーの顔を見るとそうでもない。驚愕というか困惑というか。一体どうした?
「おっ、幼女がいるって聞こえて見に来てみれば。やっぱりお前か」
「ん?」
声をかけられたので見てみると金髪エルフがいた。服装が俺と一緒のシャツとズボンだ。初期プレイヤーだな。正直似合わないんだよな。初期服もある程度選べると嬉しかったな。
「俺だ。俺白桜」
オレオレ詐欺はもう流行らんぞ。そして俺も人の事言えないけど見た目と言葉使いの違和感よ。
「白桜?白桜って島?」
「リアルネームやめろ」
「おう、本物か。今日仕事休みだったんか」
まさか約束の日の前に遭遇するとは思わなかったな。
「おう、今日休みだったから始めてみた」
考えることは同じか。
「にしても、金髪エルフ。しかもお淑やか系か。中身知ってるっていうのもあるけど。似合わねぇな」
思わず笑ってしまう。でもあれだ、白桜の趣味全開なやつだな。俺も趣味全開だけどな。むしろこういう時は趣味全開で逝けと俺は思うぞ。
「そういうお前はまた幼女か。よく幼女なんて出来るな」
「おっ?何だ?幼女に文句あるのか?」
こいつのアバターで分かる通りこいつは幼女に何とも思わない人種だったな。この素晴らしさが分からない残念なやつだ。
「多分お前が思ってるのと違う意味で言ったんだが」
「?どういう意味だ?」
違う意味?幼女は素晴らしい以外に意味があるのか。いや、ない!
「いくらサイズ無視してキャラ作れるっていってもな、そんなに差があると普通違和感が強すぎてゲームにならんだろ。そのアバターは最早苦行だろ」
何を言ってるんだこいつは。
「そんなの愛の前には無意味よ」
「それで済ませられるお前は本当に凄いわ」
VRでのプレイで多少の違和感を感じるのは当たり前の話だと思うんだがな。
「よく分からんが、凄いだろ!」
取りあえず褒められたようだから胸を張っておこう。
「褒めてはいないんだがな。それよりもフレンド登録しておくか」
白桜とのフレンド登録完了。
「で、ここにいるって事は依頼見に来た感じか?」
「ん?そうそう。冒険者登録も終わったから何かやってみようかと思ってな」
だったやる事は一つか。
「では一緒に何かやるかね?」
「いいね。何やる?」
うん、こいつも乗り気でいいね。さて何をやるか。依頼を見てみるか。
「やるなら討伐系が良いよな」
「2人でお使いクエはやだな」
「巨大石とか恐竜の卵運搬みたいなのがあったら複数でやるのが1番だけどな」
あのクエスト本当にだるかったな。
「あれはもうやりたくないな」
「途中で道が塞がれるとか悪意しか感じなかった」
何か良い依頼ないかねぇ。
「これなんてどうだ?」
白桜がボードに貼ってある依頼票を取って見せてくる。クソゥ、身長が高いからって。お前が取ったやつだからメニューで見れないんだよ。
依頼 ウサギ肉納品
内容 東の草原にいる一角ウサギの肉の納品
報酬 50ソル✖️一角ウサギの肉数
備考 当日に狩った一角ウサギの肉に限ります
「良いんじゃないか」
ウサギならやれるだろ。
「じゃあ、受注して行くべ」
受注は受付行かなくてもいいのね。その場で受注できたわ。ここら辺が楽なのは大変よし。
東の草原ってことは最初にいた場所から出ればいいか。またおっさんに遭遇するのか。
「そういや、今回は名前何にしたんだ?」
そういえばまだ名乗ってなかったな。
「澪」
「今回も同じなのな」
「お前も同じじゃないか」
「新しい名前を考えるのが面倒臭くてな」
うん、白桜。お前もおっさんだな。俺もだけど。
「白桜は職業何にした?」
「シーフ」
「だからエルフにしたんか」
エルフといえば弓と魔法って感じだもんな。
「逆。この格好にしたから弓にした」
「魔法は?」
「ちょっと難しかったから弓にした」
成る程。
「澪は何にしたんだ?」
「戦士で両手斧にした」
「これまた極端なやつにしたな」
「使いたい武器はあったんだけどなかったからな。次点で両手斧になった」
「何使いたかったんだ?」
「パイルバンカー。もしくはドリル」
ロマンだよなパイルバンカー。ドリルなんてロマンでしかない。ドリル=ロマンだ。
「この世界観である訳ないだろ」
白桜が白けた目で見ている。そんな目で見なくてもいいじゃないか。
「ワンチャンあるかと思ったんだ。しかし無かった。だから両手斧にした。これならデッカい武器を振り回せるからな」
「お前は前からそれ好きだよね」
うむ。付き合いが長いから俺の趣味をよくわかっていらっしゃる。
東の門に着いたが街から出る分には何もないのね。門番に普通にスルーされた。
そして出たらすぐ草原なのね。迷わなくていいね。
「一角ウサギはどこにいるんだ?」
「流石に門から出てすぐにモンスターとエンカウントはダメだろ」
「そういうもんか?」
「ある程度リアルに出来てるからな。もし出てきたとしても門にいる衛兵がすぐに狩るんじゃないのか」
「あり得るな」
「もう少し奥に行けば出て来るだろ」
はい、本当に少し奥に行ったらいました。
「まだ門見えるけど普通にいるな」
「門から出てすぐとは一体」
丁度近くに一角ウサギが1匹いる。うん、見た目は普通サイズのウサギに角が生えただけだな。奥には複数いるのが見える。これは狩るのに探す心配はないな。
「どうする?俺が殴りに行く?お前が弓で撃つか?」
「ちょっと練習したいから初撃はくれ。流石にまだ一撃では倒せないだろうから近づいてきたらやってくれ」
「はいよ」
両手斧を構える。初期武器は石の斧。見た目は完全に打撃属性だなこれ。
「お前が持ってるのが原因なんだろうけど。武器が大きく見えるな」
石の斧のサイズは俺の倍近くあるからな。武器のサイズは普通なんだろうけど俺が小さいから余計に大きく見えるわな。
「だが、これがいいんだ」
小さい体で大きな武器を振り回す。そこにはロマンしかない。
「左様ですか。じゃあ始めるか」
白桜が弓を構える。弓の初期武器は木の弓だそうだ。ウサギ小さいけど当たるのか?普通だったら絶対当たらんよな。
矢が放たれると真っ直ぐに一角ウサギに飛んでいき普通に刺さる。刺さった矢はすぐに消えました。うん、そこはゲームだな。攻撃に反応して一角ウサギが此方に突っ込んでくる。白桜に敵視がいっているので俺は完全に無視されている。これはチャンス!
「はい、いらっしゃい!」
一角ウサギが目の前に来たタイミングで両手斧を振り下ろす。流石にこれだけでは倒せなかった。今の一撃で一角ウサギの敵視が此方に移ってしまった。一角ウサギが角を突き出して突っ込んでくる。降り下ろしたタイミングだったので避けられない。
「痛っ!」
痛覚判定はないので痛くはないが気分的に痛い。しかも今の一撃でHPが2割ほど減ってしまった。結構減るのな。
「ほいっと」
一角ウサギが俺に攻撃した隙に白桜が弓で撃ってくる。3発矢が当たって一角ウサギが光になって消える。ドロップで一角ウサギの角が手に入った。肉ではなかったか。それよりも早速反省点が出たな。
「降り下ろした後の隙がデカイな」
「動けないの?」
「いや、動けると思う。多分プレイングスキルの問題」
俺が油断して硬直してただけの可能性が高い。要検証だな。
「弓はどんな?」
「当てるだけなら問題ないわ。狙った所に飛ぶから。相手の弱点を狙うとかになるとまた別なような気がする」
攻撃が当たるなら取りあえずいいか。
「ちょっと練習してみるか?」
「そうだな。ちょっと練習させてくれ。このままだと複数に囲まれたらボコられてあっという間にやられてしまう」
「OK。俺が1匹ずつ撃てば釣れるだろ。それで練習するか」
何回か練習した結果やはり攻撃後は問題なく動けた。だが現実と同じように大振りな攻撃の後はすぐに動けないから隙が大きくなるな。細かい攻撃で立ち回るのは趣味に反するからこれは今後も要練習だな。
「レベル上がった」
一角ウサギを5匹倒したらレベルが上がった。
「おっ、俺も上がったわ」
上がったのはプレイヤーレベルだけか。ステータスはどうなったかね。
名前 澪
種族 人間 女性
LV2/1↑
職業 メイン 戦士LV1
サブ ーーーーー
ステータス
HP 65/15↑
MP 8/2↑
STR 18/4↑
VIT 16/2↑
DEX 15/3↑
INT 7/0
MIN 9/1↑
AGI 12/2↑
LUC 14/3↑
スキル
斧術LV1 NEW
脳筋仕様万歳。このままのステータス上昇でいくと今後絶対魔法対策必要になるな。そして新スキルゲット!斧術って何だ?まぁ、調べりゃ分かるか。
斧術LV1
LV1 斧装備時攻撃力UP小
はい、よく分からん。取りあえず攻撃力アップは有難うございます。
「どんなだった?」
「ステータスアップが早くも脳筋仕様なのは分かった。後スキルで斧術が手に入ったがよく分からん」
「調べてないんか」
「勿論だ!」
笑顔でサムズアップ。
「調べもしないでよく俺たちにやろうぜって勧められたな。クソゲーだったらどうするんだ?」
「いや、こういう時は直感で決めるのが1番だ。俺の場合調べてもなんかゲームの粗探しみたいになって嫌なんだよ。よく分かんねぇけどやってて楽しいっていうのが1番だよ」
「そういう猪突猛進系は相変わらずだな」
俺はなんでも調べればいいって事ではないと思っている。だからやりたいゲームとかの情報とかは極力見ないようにしている。知ると安心するし楽かもしれないが面白さが半減してしまう気がするんだ。詰まってどうしようもなくなってから情報を調べるぐらいで丁度いいと思うんだがね。
「スキルについてはメニューのヘルプにも載ってるから説明してやる」
「それはどうも」
ゲームをするために必要な情報は流石に知っとかないとな。攻略に必要な情報はいらんけど。
「スキルはあれだ。武器だったらそれを使い続けてたらそれ専用のスキルが手に入るな。魔法だと魔法使いになると基本属性の魔法が手に入る。そしてそれを使い続けるとレベルが上がる仕組みだ。レベルが上がってくと色々な技が使えるようになったり、威力が上がったり、使用MPが減ったりとかするな。で、レベルが10になるとそのスキルが職業による使用制限が解除される。お前だと今なら両手斧は戦士しか装備出来ないけど斧術LV10になると魔法使いになっても両手斧が装備できるようになる。魔法とかだと戦士なのに魔法が使えるとかそんな感じだな。でその技を全部ひっくるめてアーツって呼んでる」
「長文説明乙」
「お前は普通にお礼を言えないのか?」
実際説明が長かったんでつい。
「取りあえず好きなやつは使っておけって事だな」
「はぁ、まぁ、お前の場合はそれでいいか」
何故か深いため息を吐かれた。俺の解釈に問題はないと思うんだが。
「これから用事があるから納品して落ちるわ」
「肉出た?」
「3つな。澪は?」
「1つ」
角と皮しか出ねぇ。
「いきなり物欲センサーが仕事したな」
「1つ出たし。これから狩ればたくさん肉出るし」
白桜の発言は全力で否定させてもらう。
「はいはい。じゃあ、戻るぞ」
「本当だぞ。これから出るんだからな」
「俺が落ちたら澪はどうするんだ」
こいつ話を聞きやがらねぇ。
「俺も1回落ちるか」
「次は約束の日に集合かね」
「俺は西がちゃんと準備できてるか心配だ」
あいつは正直ちょっと……な所があるからな。
「大丈夫だろ。凄い乗り気だったぞ」
だからこそ心配なんだがな。
東の門から街に入る。今回はおっさんはいなかった。カードを見せてすぐに入れた。
街にいるプレイヤーを見ると頭上に何かマークが点いてる人がいるな。なんだろうな、あれ?
「澪、さっさと納品するぞ」
「はいはい」
まぁ、そのうち分かるか。
肉4つ納品して200ソル。1人100ソル。白桜の方が多く納品してるけど均等に報酬をくれた。白桜は基本良い奴なんだよな。そしてそのまま解散となった。
次は4人でか。面白いことになるとは思うが一体どうなるんかね。




