第31回配信 クマさんフルボッコ配信 その1
諦められずにあれからデッドエンドを繰り返し使用した結果いくつか分かったことがある。
まず発動するとすっごい敵視が溜まる。クマくんだけでなく視界に入っていなかった狼まで来るとは思わなかった。
ゴブリンキングの時はテンションおかしかったから良く分からなかったけどさ、発生までにアホほど時間がかかるんだ。
あとため中のスーパーアーマーなし。殴られたら即キャンセルになる。
以上のことからソロではまず使えない浪漫技ということが分かった。
姐御はどうやってあれを実戦で使ってたんだろうな。全く想像もつかないけど姐御ならその時不思議なことが起こった。とか言って普通に使えてそうな気がするな。あの人だけため時間短縮。スーパーアーマーあり。随時キャンセル有効みたいな壊れ性能になってても不思議じゃないしな。太陽の子的怪人バッタ男もビックリするぐらいのチート性能がありそうだ。
理解力の高い諸君ならもうおわかりだろう。これがわかるまで俺は検証を繰り返した。ということはだ。俺がたくさんクマくんの晩御飯になってしまったんだ。あのクマはもう冬になっても困らないぞ。
人の味を知ってしまったから人里に降りてくる危険熊になってしまうのか?
まぁ、つまりだ。今回の事で俺はフラストレーションがかなり溜まってしまったのだ。
なのでこれからクマくんを集団でボコりに行きたいと思います。
リベンジ?んな事はどうでもいいんだよ。まずはあいつを熊鍋にしてやってからゆっくり考えてやるよ。
「俺は自分の我欲のために己の主義主張を捻じ曲げても良いと思っているからな」
これぞ社会で汚れた正しい大人の在り方よ
「なんでその思考に至ったのかはわからないけど随分クズな発言をするわね」
「まぁ、澪だしな」
「分かってはいるけど澪だしね」
はい。いつものメンバー全員集合でございます。そして素敵な評価をありがとう。
「あら、澪装備変えたのね」
気づいちゃったか。気づいちゃったのな。
「その通り。今回はなんと兎さんローブだ」
ウサ耳フードを被ってその場で回転してアピールしてみる。
「可愛いのは認めるがお前の中身を知っている身としては…」
「うるさい。ここに現実を持ってくるな」
俺はここでは幼女である。それが全てだ。それだけだ。
「ここで全員集まるのはイベント以来だけど……」
ゴブプリを横目で見る。特に変わったところはなさそうだな。
「そうだね。全員で集まるのが随分久しぶりな気がするよ」
そう話すゴブプリを虎ちゃんと白桜がチラ見する。うん。俺の意思は二人には伝わっているな。
「けしからん系聖女に連れてかれたけど大丈夫そうだな」
けしからん系聖女というか周りのマッスルズに連行された感じだったけどな。
けしからん教育でも受けて頭がよりおかしくなってないか心配……はしてないけどちょっと気になってたからな。
「あぁ、あれね。うん。問題はないよ。そう、問題は………ないはず……だよ?」
ゴブプリが遠い目をしている。そしてとても不安になる言い方ありがとうございます。何故に疑問形なんだよ。
「これは深く聞かない方がいいやつじゃないか?」
「藪を突いて変なのが出ても困るし放置がいいんじゃないかしら」
「意義なし」
よし。ゴブプリのこの話題については放置でお願いします。
では、今回の本題に入ろう。
「皆さんにはこれから熊狩りを行ってもらいます」
「まぁ、聞いてたから知ってるわよ」
「お前の事だから急に変なことを言ってくる可能性も考えたけどな。予定通りでよかったよ」
二人ともドライな反応をありがとう。そして虎ちゃん変なことってなんだ?熊狩りやめて虎狩りにしてやろうか?このやろう。
「熊狩りだね。僕に任せておきたまえ」
遠い目をしていたゴブプリが復活した。棒っこを振り回して気合いを表している。
復活が早いな。こいつのメンタルは正にゴブリン級だな。
あぁ、勢いよく棒っ子振り回しちゃって。変にやる気になってるし。こいつ調子乗ると絶対やらかすんだよな。
あぁ、ゴブプリを見て二人ともジト目になってるし。うん。勿論俺もジト目になってるよ。
ダメだったら熊より先にゴブプリを処すしかないな。
「まぁ、いいわ。それより今回は配信はするの?」
白桜がゴブプリから視線を外す。ゴブプリを本格的に放置することにした模様です。その考えには激しく同意します。
「そういえばイベント終わってから配信してなかった」
うん。すっかり忘れていた。
「随分軽いノリでやってるわね」
何故か呆れられたような目で見られているのだが。
「お前のチャンネル結構人気あるんだぞ」
「えっ?そうなの」
誰も何も言わんから知らんかったわ。そうか俺は人気があるのか。
「配信者ランキングであなたのチャンネルは常に上位に入ってるのよ。ほら」
白桜が配信者ランキングなるものを見せてくる。
「はぁ、こんなのがあるんだな。世の中便利になってるんだな」
「発言が爺だぞ」
中身はおっさんだがまだ爺ではないぞ。初老でもないからな。
配信者ランキングには色々なチャンネルが載っているな。
色んな人が配信をしてるんだな。攻略組からネタ枠まで幅広くあるんだな。はぁ、生産組みたいなのもあるんだ。職人の一日みたいな感じなのかな。昔テレビでやってた職人24時みたいなのは好きでよく見てたな。地方だから去年の再放送みたいなのばっかだったけどな。
で俺のもあった。なんと総合ランキング3位ですって奥さん。しかしメインジャンルがバラエティってどういうことだ公式?
しかしサムネなんて作った記憶ないけどなんかいい感じのやつが出てるな。AIが作ってくれてんのかな?来てるな未来。
「しかし人気があろうがなかろうが俺のやることは変わらん」
周りの評価がどうであろうと俺は自分のやりたいことをやるんだ。
「人の意見を聞くのは現実世界だけで十分だ」
「いや、ここでも人の意見は聞けよ」
「ゴブプリもだけど澪もメンタル強いわよね」
ゴブプリと一緒にされるのは流石に不服なんですけど。
ゴブプリは全く話を聞かずに棒っこを振り回してるし。こいつと一緒は本当にちょっとさ……。
「これなら収益化も通りそうだけどどうなの?」
白桜が聞いてくるが収益化ねぇ。
「要件は満たしてるぞ」
うん。実は大分前に収益化の要件を満たしていたのは確認していたのだ。
「申請しないのか?」
「しない」
「それまた何で?」
「収益化するとある程度スポンサーに配慮した配信をしなきゃいけない気がしてな。それをすると俺の配信じゃない気がするするからな。だから俺は収益化はしない」
俺は俺のやりたい事をするんだ。だからそれの邪魔になることは極力排除したいんだよ。
「ふ〜ん」
あ、コイツらあんまり信じてない顔をしてるな。
「で、本当のところは何なの」
「いや、副業になるから職場への申請とか税金とか面倒だからやりたくない」
これ本当な。その手続きを経て得られるのが小銭だとなぁ。労力に合わんのよ。
「そんな事だろうと思ったわよ」
うん。さっきは格好つけたが事実はこんなものだ。
「まぁ、取り敢えず。配信するか」
え〜、メニューを開いて。配信を選んで〜。はい。これでOKです。よし。スタート。
配信中のアイコンが表示された。よし問題なく配信出来てるな。
「画面の向こうの諸君。こんにちわだ。本日は久々の配信になるな」
何事も挨拶から始まる。物事を円滑に進めるためのコツだな。新社会人は覚えておくように。
「急にテンション切り替えてきたわね」
「これも一種の才能だよな」
いや、二人ともそういう事言わなくていいからね。もう配信に乗ってるから。
「配信かい?ははは!みんな僕の活躍を楽しみにしていてくれたまえ」
ゴブプリが配信開始に気づいて動きが激しくなっている。
「なんか動きがカサカサしてるな」
「不快虫みたいね」
「これはGプリだな」
中身がこんなに残念なのに見た目は王子なんだよな。キャラクリの方向性間違えてんじゃないのか?
『配信でGOZARU!』
『待ってました!!』
『開幕から変わらないこの安定感w』
『ローブがっ!ローブが変わってる!!』
『ウサ耳だ!あれは古の秘宝ウサ耳だ!!』
『ちょっとフード被ってもらっていいですか!?』
早速コメントが書かれているな。そして早くもこのウサギさんローブにやられているな。
「フードを被るのは後だ」
俺は美味しいものは最後に食べる主義なんだ。
「それにしてもお前ら来るの早すぎないか?なに?暇なのか?」
配信予告なんてしてないのになんでこんな初っ端からいるんだ?
『通知機能をONにしているから始まったらすぐにわかるのさ』
『お兄ちゃんとしての当然の嗜みです』
お兄ちゃんってこいつらはあの時の奴等か。今俺の目の前には憎き怨敵がいるということか。
「澪。気持ちはわかるけど急に目のハイライト消すのやめて」
「目のハイライトが消えた幼女はホラーだからな」
「殺意で人が殺せたなら……」
「危ない発言はやめなさい」
「落ち着け澪。コイツらは冒険者ギルドでリオたちにシメられたんだろ」
そうだった。姐御と愉快なマッチョたちが俺の尊厳の仇を取ってくれていたんだったな。
『リオ……?』
『冒険者ギルド?』
『ヒギヤァああああ嗚呼嗚呼アア!!』
『無理無理無理無理無理』
『すみませんすみませんすみません』
『そこは出すところです。入りません入りません』
「一瞬でコメント欄が阿鼻叫喚になったわね」
「何があったんだ?」
詳しくは知らんけど俺の尊厳の仇はしっかり取られてたみたいだな。自業自得だな。
「まぁ、僕は彼らがどうなったのかなんとなく分かるよ」
またGプリが遠い目になっているし。
これは踏み込んじゃいけないやつだな。
よし。俺の心の安寧のためコメント表示をオフにしよう。見なければ問題はないしな。
はい。コメントオフにしま〜す。
「すまんな。コメントオフにしたからもう大丈夫だ」
コメント欄が消えてスッキリです。
「いいの?それで」
そう聞くが白桜はほっとした表情をしている。
「俺は汚物を見る趣味はない」
「リスナーのコメントを汚物って…」
いやあれは汚物のようなものだ。そんなものは無視だ。無視。
「もう少しリスナーを大事にしなさいよ」
「大事にと言われても俺は配信で生計を立ててる訳ではなく趣味で配信をしてるだけだからな」
酒の肴としてアーカイブに残すことが主な目的やし。俺は俺の好きにやるのだ!
「気を取り直して今日はこの4人で熊狩りをしていくぞ!」
「コメントはオフにするけど進行はしっかりやるんだな」
「変なところで律儀よね」
うっさいわ。




