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第29回配信 幼女(おっさん)は新しい武器を振り回す

 はい。やってきました東門!!

 武器も新しい。防具(おべべ)も新しい。

 この状態でテンションが上がらないヤツはいねぇぜ!いやっふー!!


「おい、嬢ちゃん。お前さん何やってるんだ?」

 あ?俺のテンション爆上がりの舞に水をさすヤツは誰だ?

 声がした方を見ると他の衛兵よりちょっと装飾のついた鎧を着ているおっさんがいた。

 確か東門の衛兵の隊長だったよな。確か名前は………。


「…………………」

「おい、どうした嬢ちゃん。急に黙って」

 おっさんが心配そうに覗き込んでくる。

「ちょっと静かにしてくれ。おっさんの名前を思い出すから」

 特に今話しかけられると思い出せなくなるから。


「お前さん。いきなり失礼なことを言うな」

 ダメだ。思い出せん。

「というかおっさんの名前って聞いたっけ?」

 聞いてない気がするな。聞いてなかったら知らないよな。

 ってことはだ、これは忘れてたんじゃない。知らなかったんだな。


「よし!俺は悪くない」

「いや、悪いからな。ちゃんと俺は名乗ってるからな。お前が忘れてるだけだからな」

 え〜、そんな事言われてもなぁ。

「記憶にございません」


「俺が覚えてるのはおっさんが姐御からシメられるって事だけなんだけど」

 あの後結局どうなったんだろうな?姐御シメる気満々だったよな。

「それは忘れてくれ……」

 おっさんが顔をしかめる。

 あ〜、この表情ですか。これはきっちりシメられたな。


「姐御からシメられるのはどうだった?」

「やめろ。思い出させるな」

 おっさんの顔が一気に青くなる。あぁ、これはよっぽどきつかったんだな。これはその内ショートストーリーで出てくる流れのやつか?


「はぁ、もういいや。もう一度言っとくけど、俺はユルダだ。ここ東門の衛兵で隊長をやってる」

 話の流れを強引に変えられてしまった。よっぽど思い出したくないんだな。まぁ、ここは深く追及しないでやるか。それにしても成る程。おっさんはそういう名前なのか。うん。覚えてる自信がないな。おっさんで覚えちゃったしなぁ。最近特に人の顔と名前一致しないからな。


「その顔は名前を聞いて思い出したとか、そんな感じじゃないな」

 おっさんがガックリと肩を落とす。

「すまん。名前を聞いても記憶にかすりもしなかった」

 いや、本当に申し訳ない。

「そこは正直に言わなくてもいいんだけどな」

 あぁ、あぁ。そんなに肩を落としちゃって、もう。


 まぁ、すまんとは思うがそれ以上はどうしようもないからな。うん。さっさと出て武器をブンブンしに行こう。

「よし。じゃあな。おっさん」

「おい、ちょっと待て嬢ちゃん」

 ちっ、止められたか。これ以上何の用事があるって言うんだ?


「小さい子が舌打ちなんてするなよ」

 残念だったな。俺の中身はおっさんだ!!まぁ、言わないけどな。 

「一体なんの用だ?」

 こっちは早く武器を振り回したくってウズウズしてるんだ。


「いや、どこに行くんだ?」

「どこって草原に行ってモンスターを狩ってくるんだけど」

「そうか。分かった」

 頷いて手にしていたノートに何かを書き込んでいる。


「何やってんだ?おっさん」

「ん?これは門から出たヤツがどこで何をするのか聞き取りして記録しておくんだ。もし何かあった時にすぐに助けに行けるようにな」

 はぁ。そんな事やってるんだ。門番も大変なんだな。門からモンスターとか不審者が入ってこないようにしてるだけかと思った。


「よし。これで大丈夫だ。時間をとらせて悪かったな。気をつけて言ってこいよ」

 おっさんがノートを懐に仕舞う。

「おう」

 今度こそ外に出れるな。もう誰も邪魔するなよ。



 うん。誰からも何も言われずにすんなり外に出られたな。

 よし。それでは竜子さんに乗って目的地まで出発じゃ。今回の目標は草原の狼どもじゃあ!


「では、よろしく竜子さん」

 竜子さんが乗りやすいように少し屈んでくれる。そのちょっとした行動が優しい(ジェントル)です。

 相変わらずのもふもふだぜ。乗るとこのもふもふを全身で感じられてグッド。

 しかしずっともふもふしてる訳にはいかんからな。


 ウサ耳フードをしっかり被って準備万端。

「よし。では出発!」

 竜子さんが走り始める。

 初めて乗った(ライドン)した時も思ったが竜子さん早いよな。

 結構早いけどウサ耳フードは外れない不思議。まぁ、被ってる方が可愛い(キュート)からいいんだけどな。


「気分爽快だぜ!」

 騎乗スキルを手に入れてからは辛くないからとても良い感じです。

 歩いていると結構時間がかかるのに竜子さんに乗ってる(ライドン)してるお陰ですぐに狼の出る草原に着いた。


「さて、狼はどこにいるかなぁ」

 周囲を見渡す。草原だから障害物がないから遠くまで見渡せる。まぁ、こっちもモンスターにすぐ見つかるって事でもあるけどな。


「おっ、いた」

 少し離れた位置に狼3頭発見。よし。最初の獲物はあいつらにしよう。

 本来なら(お前ら)ウサギ()を狩るんだけどな。今回は逆だ。狩るのはウサギ()の方だ。


 ん?ちょっと待て。このまま竜子さんに乗った(ライドン)まま突撃すればいいんじゃねぇか?

「竜子さん。このまま(あいつら)のところに突っ込める?」

 確認すると竜子さんは自信満々に頷く。流石だぜ竜子さん。

 ではやることは一つだ。 

 

「突撃〜!!」

 竜子さんに乗ったまま狼の群れに突っ込む。

 200m程の距離まで近づくと狼がこちらに気付いた。こちらを睨んで唸り声を上げている。

 気付かれようが何しようがやる事は一つ!

「竜子さん!このまま突っ込むぞ!!」

 更に速度を上げて狼の群れにぶつかる。


 狼の群れにぶつかる瞬間に一番近くにいた狼に対して星墜しで薙ぎ払う。薙ぎ払われた狼は短い叫び声を上げて吹き飛んで光になって消えた。

「流石姐御のお下がり武器。威力がパネェぜ」

 狼を一撃とか凄いな。


 そのまま速度を落とさずに狼の群れを通り過ぎる。

 竜子さんの早さについていけなかったようで他の狼は唸りはするがそれ以上の行動をみせてこない。

 狼からある程度が距離を取れたら反転する。そしてもう一度狼に突っ込む。


 今度は突っ込むこちらに反応し狼が飛びかかってくる。最初の1頭を軽く横に移動し避ける。続けて飛びかかってきた狼を星墜しを振り下ろし叩き斬る。

 叩き斬られて消えていく狼を見て怯えたのか最後の1頭が逃げ出す。


「逃がさねぇぞ!」

 逃げる狼を後ろから追いかける。竜子さんの方が圧倒的に早くどんどん距離が縮まっていく。

「ははは、待て待てぇ」

 気分は海岸で彼女を追いかける彼氏だ。

「そういうネタはたくさん聞くけど実際にそんなヤツら見た事ないけど、なっ!!」

 狼に追いつきそのまま後ろから叩き斬る。そして光になって消えていく。


 狼を全滅させたのを確認して一度竜子さんから降りる。

 3頭と少ない群れだったがあっという間に片付いてしまった。

「これは本当に良い武器をもらったな。これは姐御にお礼を言わないとな」

 菓子折とかも持ってた方が良いかな。 


 竜子さんが「私も役に立っただろ」と言いた気な目でこちらを見てくる。

「勿論竜子さんも大活躍だったぞ」

 竜子さんじゃなかったら今回の戦い方は出来なかったからな。

 よし。思う存分わしゃわしゃしよう。

 竜子さんが気持ち良さそうに目を細めている。

 もふもふをわしゃわしゃするのは俺にとってもご褒美です。大変ありがとうございます。


 しかし思い付きでやってみたけど出来るもんだな。

「これぞ男の子が一度は夢見た無双ゲーごっこよ!!」

 俺こそが万夫不当の豪傑よ!!

 うん。一度やってみたかったんだよ。通行の邪魔してる前方の集団とかにグルグルドーン!!みたいにして吹き飛ばしたいと思った事はないかい?ちなみ俺はあるぞ。


 その後も狼の群れを見つけては戦ってみた。竜子さんに乗って無双ゲーごっこして倒してみたり普通に降りて戦ったりしてみたが装備が良くなったからなのか4頭程度の群れなら危なげなく倒せた。5頭以上だと無傷で倒すのは厳しい感じだ。

 しかし以前よりも楽に倒せるようになったのは確実だ。


「これは来たんじゃないだろうか」

 今こそクマくんへリベンジマッチする時じゃないだろうか。

 よし。思ったら即行動だ。もう一度竜子さんに乗る(ライドン)


 どこにいるかわかんないからまずは探さないとな。

「待ってろよクマくん」

 待ちに待ったリベンジマッチの時だ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「ははは、待て待てぇ」のセリフが 「はっはっは、どこへ行こうというのかね」に見えた不思議w
[一言] クマー( ˘ω˘ )
[一言] スキルに騎乗とか騎乗攻撃とか有るのかな? こうなると竜子さんが騎獣で良かったのかも。 馬サイズの騎獣だと普通の斧じゃリーチが短くて使いにくいからポールアックスにする必要があるけど、竜子さんな…
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