第20回配信 イベント ゴブリン王の帰還 ③
「あ〜、うん。これは少し待機かね」
『これはね』
『流石にあれの間に入る勇気はない』
『自業自得だしな』
『取り敢えず澪ちゃんと虎紳士さんは見える範囲でゴブリンを倒してた方がいいんじゃないか?』
理解あるコメント諸君で助かるよ。あれから何かあったのかと言うとだな。まぁ、今俺の目の前に正座したゴブプリとそれに公開ガチ説教している白桜がいるんだけどな。この状況を見れば何があったか大体は理解出来ると思うんだ。
はい。ゴブプリ弾を発射した後もゴブプリはゴブリンムーブを続けたんだ。まぁ、俺らやゴブプリの生態を知ってるロリコンドリアならある程度は笑って制裁するだけで済ますんだけどさ。今はイベント中じゃないか。ゴブプリ何それ?討伐対象?な他のプレイヤーもいる訳だよ。
それなのにゴブプリはお構いなしでゴブリンムーブを繰り返したんだよ。その結果周囲に多大な御迷惑をおかけしてしまったんだ。そうなるとどうなるかは賢い諸君なら分かるな。そうだ。白桜がブチギレてしまったんだ。そしたら後はこの状況だ。
「虎ちゃんどうする?」
「コメントにあった様に白桜の説教の邪魔にならないように周囲のゴブリンを狩ってるのがいいんじゃないか?」
それが無難かね。離れたら離れたで後が怖い気がするし。何もしてないと巻き込まれそうな気もするしな。
「じゃあ、ちょっと白桜の説教が終わるまで狩ってるか」
「それがいい。あれの邪魔して自分に被害が来たら嫌だからな」
虎ちゃんも俺と同じこと思ってたのね。
「白桜の説教は心を抉ってくるからなぁ」
俺の発言に虎ちゃんは頷く。本当にあいつの説教ってこう内角に抉ってくるからなぁ。まぁ、これでゴブプリが少しでも反省してくれればいいんだけどな。無理かなぁ。無理だろうなぁ。
〈イベント ゴブリン王の帰還 初級エリア 最終フェイズ フェイズ4開始〉
はい。実はフェイズ3だったんですよ。ゴブリンの数が増えて上位種もチラホラ見えるねって感じだったね。しかしフェイズ3は見どころは特に無く終わってしまったな。ゴブプリがゴブリンムーブする。白桜キレる。ぐらいしか言う事ないんだよ。白桜のRPが綺麗に剥がれてたのがハイライトだったな。
そしてフェイズ3が終わった今でもまだ説教されてるゴブプリよ。最終フェイズになっちまったけど大丈夫か?
「まだ俺たち二人で狩ってればいいんだよな?」
「白桜の説教が終わらないしな。4人でやるにはもう少し待つ必要があるな」
白桜の説教を受けたゴブプリがマトモに動けるか疑問ではあるけどな。抉ってくるからなぁ。
流石最終フェイズだ。無限湧きとは言わないけどかなりの数が来るな。増えてもゴブリンなら一撃でやれるな。現状なら二人でも問題なしだな。
バトルアックスでゴブリンを薙ぎ払う。かなりの数がいるから足を止めるとすぐに囲まれそうになる。俺はただのゴブリンの攻撃でも結構ダメージを受ける紙装甲っぷりだからな。囲まれたらすぐに死ぬな。動き回ってゴブリンを倒していく。
虎ちゃんは俺の戦い方とは真逆で足を止めて戦っている。流石メインタンクだ。ゴブリン程度じゃどうって事ないぜ!囲まれても冷静に処理してるな。しかもアーツを使って敵視も稼いでくれてるから結構な数のゴブリンが虎ちゃんに向かって行く。
うん。俺がフリーになったな。そうなるとゴブリン狩り放題じゃあ!!俺が幾ら攻撃してもゴブリン共は虎ちゃんの方に向かって行く。何というイージーモード。ご馳走様です!!
「虎ちゃん攻撃受けてるけどHP大丈夫か?うちはヒーラーがいないから持久戦はキツいからな」
メインタンクで防御力が高くてもずっと囲まれてたらダメージは蓄積するだろ。ゴブリンの攻撃力は低いけどさ。まぁ、俺はその低い攻撃力でHP吹っ飛ぶけどな!
『ヒーラー、ゴブプリ……、うっ、頭が……』
『ゴブプリの意義w』
『ゴブプリはヒーラーじゃなかったか?』
『何言ってるんだ?ゴブプリはゴブリンだろ』
『澪ちゃんのパーティはメインタンクと物理、魔法アタッカーの二人。後はゴブリンで構成されてるからな』
『職業ゴブリンw』
「この程度なら問題ないな。自然回復力UPのスキルもあるからな」
「そんなスキルあるんか」
メインタンク必須能力っぽいな。いいスキルだけど俺は一撃でHP消し飛ぶからあんまり意味ないな。
「まぁ、まだレベルが低いから回復量は低いけどな」
これからスキルレベルが上がって回復量も上がるんだろうな。
「はい。お待たせ」
お、白桜が来た。ゴブプリの説教が終わったか。これで3人+ゴブリンでやれるな。
「今回は随分長かったな」
確かに今回の説教は長かったな。白桜の怒りっぷりが知れるな。
「流石に今回は人様に迷惑をかけたからね。しっかりとお話しさせてもらったわ」
この白桜の黒笑顔よ。実はこいつ白桜じゃなくて黒桜なんじゃないのか?
「まぁ、これでしっかり反省したんだろ。そうだろ?ゴブプ……リ?」
白桜の後から来たのがゴブプリのはずだが誰だこいつ?目が完全に死んでやがる。なんか全体的に萎れて変なモヤみたいなのが出てないか?
「ゴ、ゴブプリだよな?お前大丈夫か?」
「……………………………」
何かボソボソ言ってるけど何を言ってるか分からん。ちょっと近づいてみるか。何言ってんだこいつ?
「本当に申し訳ありませんでした。私は皆様にご迷惑をお掛けしたゴブリンです。皆様にはこの場で謝罪させて頂き………」
大丈夫か!?ゴブプリ!?精神が逝ってる!
「流石にやり過ぎじゃないか?」
あまりにもあまりにもなゴブプリの様子に虎ちゃんもドン引きしてるし。
「これぐらいやらないとこれは理解出来ないのよ。そうよね?」
ゴブプリがすごい勢いで頷いている。あぁ、今回はガッツリOHANASIAIされたんだな。
「と、取り敢えずイベントをやろうか」
これ以上触れない様にしよう。うん。俺たちのパーティにはゴブリンムーブをするヤツなんていなかったんだ。俺たちは基本3人のパーティなんだよ。ゴブプリなんて生き物はいなかったんだよ。いいね。
「そうね。無駄な事に時間を使ってしまったわね」
白桜のため息にゴブプリがビクってしてる。本当にOHANASIAIしただけだよな?
『あれだ。白桜さんには逆らっちゃいけない』
『微笑みの悪魔だな』
『澪ちゃんのパーティは大斧幼女、虎タンク、微笑み悪魔、ゴブプリの4名で構成されている』
『改めて見ると濃いメンツだな』
『見た目が目立つ虎紳士さんが一番マトモなのか?』
『待て、まだ虎紳士さんは内なる野生をまだ解き放っていないだけかもしれない』
『まぁ、紳士って言っても虎だもんな』
「最終フェイズだけあって無限湧きとは言わないでも結構くるな」
バトルアックスでゴブリンを薙ぎ払う。本当ワラワラ出てくるな。今何匹いるよ?軽く周りを見ても3桁はいるよな。しかも上位種もチラホラと見えるし。最終フェイズだけ難易度の上がり方が激しいな。
こういう時は虎ちゃんの敵視集めが非常に有り難いぜ。流石メインタンク。
「しかしそれでも数が多いよな」
幾ら虎ちゃんが敵視を集めてもこの数だと漏れが出てくるよなぁ。
「確かにこれは多いわね。一度纏まってるところを魔法で吹き飛ばすわ」
「えっ?纏まってるところって?今虎ちゃんが敵視集めてる集団しかいないけど?」
勿論その集団の中心には虎ちゃんがいる訳だよ。それ以外のゴブリンズは周りにいないよな。
「大丈夫よ。FFはないんだから」
いや、そういう問題じゃないんだ。ちょっ、何か白桜の足元に魔法陣が出てきたんですけど?
「全力で行くわよ。ファイアストーム!!」
白桜の持っている杖が真っ赤に光る。冗談抜きで全力じゃないですか!!
「虎ちゃん逃げてぇ!!」
「え?」
虎ちゃんを中心に炎の嵐が出現する。周囲のゴブリンが焼かれていってるな。あぁ、これは消し炭も残らないやつじゃないのか?
炎が消えると中心には呆然とした虎ちゃん一人。周りのゴブリン?勿論全滅してますよ。
「虎ちゃん大丈夫か?」
ずっと固まってるけど大丈夫か?瞳孔開いてるし、イカ耳になってピンってなってるけど。それ本当にマスク?
「すっごいビックリした」
でしょうよ。見てた俺もビックリしたもの。
「あまりの衝撃に毛が逆立ってしまったぜ」
いや、逆立ってしまったぜって。
「なぁ、虎ちゃん。お前って本当は猫なんじゃないのか?」
猫だよな。人がメインじゃなくて猫がメインなんだろ?そのキャラクター。
「澪知ってるか?虎って猫科なんだぜ」
「知ってるよ!知ってるけどさっ!!」
俺が言いたいのはそうじゃないんだよ。何したり顔なんだよ。表情豊かだなその顔。
「漫才してるところ悪いけれど次がもう来てるわよ」
「「えっ?」」
おう、お代わりゴブリンがもう来てるじゃないか。虎ちゃんのアーツがまだ活きてるみたいだな。ゴブリンズが一目散にやってくるぜ!
「虎ちゃんガードしてガード!」
君の所に来てるのよ。
「澪知ってるか?人ってビックリすると急に動けないんだぜ」
虎ちゃん笑顔でサムズアップ。
「いや、十分冷静だよね。グッとかやってる場合じゃないよね。あぁ!なんだよそのいい笑顔は!!」
いいから動けよ。もう目の前に来てるって!本当にいい笑顔だな!おい!!
虎ちゃんとゴブリンズの間にゴブプリが入ってきた。そして虎ちゃんを庇いながらゴブリンを倒し始めた。
「マジか?」
ゴブプリがまともにチームプレイをしている……だと?
「あんなマトモにプレイ出来るなんて」
立派になったな。ゴブプリ。
「でも目は死んでるわね」
「あぁ、うん。そうね」
真っ当なプレイをしているが目が死んでるな。そして全く喋らないな。黙々と虎ちゃんのフォローをしてるな。
「あっ、飲み込まれた」
ゴブプリがゴブリンズに飲み込まれた。
「まぁ、一応ヒーラーだからな。あの数は倒せないよな」
「タンクでもないからあの数は捌けないわよね」
まともなプレイをしても能力の限界ってあるからな。ヒーローならここで真の力とか封印されし右腕がとかなるんだけどな。残念だけどゴブプリ。お前はただのゴブリンだからな。
「あっ、光った」
ゴブリンズの中が光ったな。これはあれか?ゴブプリ、お前死んだのか?
「死んだわね」
「死んだな」
どれ、ステータス画面を確認してっと。うん。ゴブプリのHPは0になってるな。
「ステータス確認。ゴブプリの死亡を確認しました。勇敢に戦ったゴブプリに敬礼!」
3人であの空に敬礼をする。あの空の向こうに笑顔のゴブプリが見えるぜ。
『フォローに入ったのに誰もその後のフォローをしないw』
『ゴブプリ真っ当な事出来るんだな』
『なんでゴブプリ死んでしまうん?』
『むしろまともな動きをしたから死んだのか?』
『つまりゴブリンムーブすれば死なないってことか』
『いや、ゴブリンムーブしても普通に死んでるけどな』
『ゴブプリは何をやっても死ぬって事だな』
「よし。気を取り直してやるか」
虎ちゃんが武器を構える。
「そうね。また群れてきたら面倒だものね」
白桜も魔法の詠唱に入る。しかしさっきの混沌の原因は白桜、お前なんだからな。
「ほら、澪もやるわよ」
「はいはい。やりますよっと」
フードを被ってバトルアックスを構えましてっと。
「まず、私が魔法を使うわ。その後は虎ちゃんが壁になって動きの止まったゴブリンを澪が狩る。いいわね」
「まぁ、いつも通りだな」
「なるほど。言葉にするとそれなりの形になってるのが不思議だ」
いつもフィーリングでやってるからな。
『いつも通りにゴブプリがいないw』
『ほら、ゴブプリは戦闘が始まる前の前座?みたいなやつだから』
『主人公が戦う前に割り込んできて勝手にやられるモブキャラみたいな感じのやつだな』
『引き立て役にもなれないやつやな』
ゴブプリ散々言われてるぞ。悔しかろう。悔しかろうて。しかしこのコメントは事実だから俺は何も反論出来ない。
「しっかし減らないな」
目の前にはゴブリン。見渡してもゴブリンゴブリンゴブリン。本当にゴブリンだらけだな。たまに上位種もいるけどさ。
「これあれだよな。ラノベとかだとチートの主人公が来て助けてくれるパターンだよな」
虎ちゃん。これはゲームや。みんなが主人公や。そしてチートはBANされるから止めとけ。
「それだと私たちはお人好しな冒険者チームになるのかしら?」
「あぁ、中盤以降は全く出番が無くなるキャラクター達だな」
「俺のような魅力的な幼女の出番を無くすとは無能な作者だな」
これは幼女の魅力をもっと伝えなければならないという事だな。よし、ちょっと本気だそう。
「澪。変なアップしてるところ悪いけどあなた色々勘違いしてるわよ」
「何を言うか。勘違いなどしておらぬ!」
儂はこれより修羅となるのだ。幼女の魅力を伝える修羅とな!
「口調も変わってるし…。これどうしようかしら?」
「その内元に戻るから放置でいいだろ」
「そうね。なんでうちのパーティは暴走するのが多いのかしら?」
「お前もさっき暴走して俺に魔法撃ち込んだよな?」
「何か言ったかしら?」
「いや、何も言ってないから気にするな」
「チートな主人公ならここにいるでござるよぉ!!」
目の前のゴブリンに斬り込んでいく一人のプレイヤー。
そのプレイヤーは瞬く間にゴブリンの集団を倒していく。
「「「おっ、お前はぁ!?」」」
「ん?誰だ?お前?」
目の前には身包みを剥がされた落武者が一人いた。
「なっ?某でござるよ」
俺の反応に目の前の落武者が慌てる。しかしこのゲームの知り合いに落武者なんていないぞ。いや、現実でも落武者の知り合いなんていないけどさ。誰だこいつ?
「澪。もしかして某さんじゃない?」
「えっ?某?この落武者が?」
いや、この落武者が某とか。流石にそれは…………。
「えっ?マジで某なのか?」
「何を言うでござるか?どこからどう見ても某ござろう」
いや、そんな落武者が両手を広げてアピールされてもなぁ。しかしこの粘っこいウザさは普通ではないよな。うん。某っぽいな。
「で、どうして某さんはそんな落武者スタイルなのかしら?」
「あぁ、これでござるか?これはデスペナによるステータス低下で装備が外れてしまったでござるよ。それでこの格好になったでござるよ」
「いや、ござるよって言われても。何で装備が外れたら落武者スタイルになるんだよ」
「?SAMURAIは戦に負けたら落武者になるでござるよ」
何当たり前のことをみたいな顔をしてるがこれは疑問に思った俺が間違いなのか?
「なるほど。それは確かに落武者になるな」
「そうね。それしかないわね」
え〜。何でお前らはそれで納得してるの?
「まぁ、もう少しでデスペナの時間も終わるでござるよ。そうしたらいつもの正装に戻れるでござるよ」
あれ正装なんだ。色々疑問は残るがこれだけは言っておこう。
「しかしあれだ某。お前がチートかどうかは知らんがラノベでは主人公になれないと思うぞ」
「!!!」
「いや、そんなビックリした顔されても」
何でそんなにショック受けてんだこいつ?
「せめて、せめてスピンオフ!スピンオフでいいでござるからっ!!」
いや、スピンオフってなんだよ?
『某さんのスピンオフw』
『時代劇的な?』
『暴れん坊とか捜査網とかか?』
『見たい気はするけど』
「とっ散らかるから止めとけ」
主人公じゃないって言ってるこの状況でこの惨事なんだぞ。あれが主人公の話とか事故しか起こらんぞ。
「スピンオフの主人公になるのは……、この僕だぁ!!」
あぁ、このタイミングでうるさいのが復活してきたか。
ゴブリンズに突っ込むゴブリンが1匹。
「さぁ、スピンオフの主人公たる僕に続くんだ!!」
いや、主人公目指すならスピンオフじゃなくて本編目指せよ。
「一応確認しとくけどさ、スピンオフって何だ?」
「さぁ、私たちの知らない何かよ」
「知ったら色々終わりそうだけどな」
「白桜のOHANASIAIの効果も切れたみたいだな」
「一回死ぬと切れるんじゃないのか」
「ちょっと話し方が甘かったかしらね?」
ゴブプリ次のOHANASIAIはもっと濃いぞ。
「うおおおおお!!スピンオフの主人公は某でござるよぉぉ!!」
某も突っ込んだな。うん。もうスピンオフはお前ら二人でやればいいんじゃないか?
今一人の落武者と1匹のゴブリンがゴブリンズに挑む!うん。字面だけは面白そうだな。
「某さんも行ったわね」
「行ったな」
「俺たちはどうする?」
「どうするって言ってもなぁ」
あの空間に入りたくはないな。
「君もなかなかやるじゃないか!」
「そういう貴殿もやるではござらぬか!」
うわぁ、二人で背中合わせて何か通じ合ってるんですけど。何?あの二人組だとゴブプリはマトモに動くのか?
でもゴブリンと落武者のコンビはやだなぁ。
「提案。あれは無視して他のところに行かないか」
あれとは関わらない方が良いのではないだろうか。
「「異議なし」」
「まぁ、でも完全に野放しにも出来ないから見える位置にはいましょう」
「あんまり見たいものでもないけどな」
「仕方がない。保護者の義務みたいなものだ」
あれを保護した記憶はないんだけどなぁ。
3人で危なげなくゴブリンを狩る。上位種が固まるとちょっとキツイか。
「やっぱり回復がないとジリ貧になりそうね」
「そうだな。やっぱりヒーラーはいた方がいいな。今の俺たちの回復力だとこれからがキツそうだ」
ゴブプリ。今お前がいないものとして話が進んでるぞ。
「おや?」
ゴブリンの数が少なくなってきたか?
「数が減ってきたわね」
「これで終わり……って事はないよな」
流石にこれでイベント終了したら暴動が起こるぞ。起こるというか俺が起こす。
「あの二人も生き残ってるわね」
あぁ、うん。あの二人な。
「ゴブプリ俺たちといるよりハツラツとしてないか?」
虎ちゃんもそう思うか?二人ともいい笑顔してるよな。
「あいつらは俺らの手には負えないから」
気にしない事が正義。何か刀と有刺鉄線棍棒掲げてるけど俺は見てないからな。
倒し続けていたら気付けば周囲のゴブリンはいなくなっていた。
「おい。いなくなったぞ」
「いなくなったわね」
周囲を見渡すがやはりゴブリンはいない。もう周りにいる魔物枠ってゴブプリしかいないよな。
「狩るのが他にいないなら仕方ないよな」
バトルアックスを構える。この距離なら行ける!!
「ちょっとなにをしようとしてるのよ」
白桜に止められてしまった。
「いや、モンスターいないからゴブプリを狩ろうかと思って」
「気持ちはわからないでもないが意味がないから止めておけ」
虎ちゃんにも止められてしまった。二人に止められたなら仕方がないな。止めておこう。
「しかし、モンスターがいないなら俺たちは何をすればいいんだ?」
やることもなく周囲を見渡していたらモンスターの咆哮が鳴り響いた。
これはイベントが進む合図だ!




