第10回配信 強くなる為には修行パート(格上にボコられる事)が必要
前回は熊くんに瞬殺されてしまった。勝つためにはどうするか?答えは単純だ。レベルを上げる。これしかない。
という事で今回はレベル上げだ。そしてレベルを上げるなら猪狩りが一番効率的だ。なので今日も猪狩りだぁ!!と言いたい。言いたいのだが、あそこには怨敵熊くんもいるんだよ。熊くんを倒すためのレベル上げ中に熊くんに遭遇するのはちょっとねぇ。出来ればレベルが上がり戦えるようになるまでは熊くんとは会いたくない。初デスで若干日和ってるのは理解している。デスペナがないから大丈夫ってのも分かる。分かるけどさ。そうであっても本当は死にたくないんだよ。なんだろうな。死ぬとメンタル的な何かが減るんだよ。だから俺が納得するまで熊くんエリアには行きたくないのだ。
となると猪狩り以外でいいレベル上げの場所は何処か?ってなる訳だ。勿論俺は知らん。知ってるなら既にそこに行ってるからな。分からない時はどうすればいいか。これは社会人の基本でもある。分からない時は人に聞けだ。分からなくって一人で突っ走ってもいい結果なんてほぼ出ないからな。大抵状況が悪化するだけだ。
なのでこれからどこがいいか聞きに行く訳だが。誰に聞けばいいかという事になる。まぁ、迷う必要はないな。はい姐御に聞きに行きます。俺の知り合いでこういうのに一番詳しいのは姐御だからな。姐御に聞くために今日はまず冒険者ギルドに行くことにしよう。
冒険者ギルドは相変わらず人が多い………。少し減ってるか?普段より人が少ない気がするな。いつもよりちょっとスペースが空いてる感じがする。受付嬢周辺は相変わらず密集しているがな。
さて、姐御はどこにいるかな?最近忙しいからな姐御。その原因がプレイヤーなのは申し訳なく思うところもある。おっ、いた。今日は普通に受付にいるな。
「姐御ぉ」
「おぉ、澪じゃないか。今日はどうした?」
なんか機嫌良さそうね。何かあったかね?
「聞きたいことがあったんだけど。機嫌良さそうだな。何かあった?」
「あぁ、ぷれいやーの問題が大体片付いてね」
それは良かった。
「あんたのおかげだよ澪」
「ん?俺何かしたっけ?」
「あんたが他のぷれいやーに注意してくれたみたいじゃないか。他のギルドも説明してくれたみたいだしね。本当に助かったよ」
全部配信の時に説明したやつだな。姐御の役に立ったんだったら良かった。
「衛兵からも謝罪が来たしな」
衛兵?
「あれだよ。東の門に詰めてる衛兵が冒険者ギルドしか紹介していなくて悪かったって謝罪に来たんだよ」
おぉ、おっさんあの後謝罪に来たのか。
ダメージコントロール的にはそれが正解だ。ここで謝罪しなかったり誤魔化したりすると余計に酷い目に遭うからな。失敗したらまず謝罪しろ。これは社会人として当たり前のことだからな。
「そういう訳で最近頭を悩ませていた問題が一気に解決したんでね。あの理不尽な忙しさからも解放されたとなれば機嫌も良くなるって訳だよ」
「なるほど。それは良かった」
「本当に澪には感謝してるよ。で、何を聞きに来たんだい」
そうだった。本題を忘れるところだった。
「この前熊くんに負けてしまってさ。どこかいいレベル上げの場所知らないかなって思って聞きにきた」
「熊くん?あぁ、東の草原のあれか。澪はあれに挑んだのかい?そりゃ無謀だねぇ。何も出来なかったんじゃないかい?」
「いや、挑んだんじゃなくて、途中で偶然遭遇した。そして想像通り何も出来ずにヤられた」
あの状況では何も出来んわ。
「偶然に遭遇ってことかい。それは運がなかったね」
姐御はこちらを同情してくれている。これは最初は熊くんに挑もうとしてました、てへっ。何て言えないぞ。よし、熊くんとは偶然に出会った。熊くんとは偶然に出会った。よしOK。俺は熊くんとは偶然に出会った。間違いない。
「まぁ、そんな訳でいずれ熊くんにリベンジしたいからレベル上げをしたいんだけどさ」
「それでレベル上げにいい場所ってことだね。そうだねぇ」
姐御が腕を組んで考えている。絵になるな。こう、出来る女って感じがするな。
「レベルを上げるだけなら猪が一番効率がいいんだけどね」
やっぱりか。しかしあそこはなぁ。
「出来ればまだ熊くんとは遭遇したくないから別の場所はない?」
「今なら熊に遭遇する心配はしなくても大丈夫だと思うけどね」
どういう事?
「今ね。一部のぷれいやーが東の草原の熊を狩りまくってるんだよ。あれは何か恨みでもあるのかねぇ。おかげで今は熊は出て来ないだろうよ」
某ぃぃ!!お前本当にあれから熊くんを狩ってたのか?
「ん?何か知ってるのかい?」
「いや、知ってるっていうか。多分狩ってるプレイヤーの見当がついたというか」
「そうなのかい?まぁ、悪い事ではないから別にギルド的には何も問題ないからいいさね」
良かった。今回も間接的に俺が原因みたいになると申し訳なさゲージが振り切れてしまう。
「まぁ、それでも行きたくないなら東の森かねぇ」
「えっ、東の森行っても大丈夫なの?」
まだ、勝手にあそこは厳しいと思ってたぞ。
「猪と戦えるなら問題ないさ。まぁ、森の中だしゴブリンとかもいるから多少勝手が違うとは思うけど。問題はないだろうよ」
そうか東の森か。アイツらと行こうとは思ってたが問題ないなら試しに行ってみるか。
「それともここの訓練所でも使うかい?」
「訓練所?」
何だそれ?初めて聞いた。
「知らなかったかい?偶に他のぷれいやーも使ってるけどね。ここの地下には訓練所があるんだよ。そこで他の冒険者と模擬戦をしたりして鍛えるのさ」
そんな便利な場所があったのか!テンションが上がる。がある事を思い出して上がったテンションがすぐに萎む。
「俺知り合いの冒険者いない」
ここに来て交友関係の狭さが問題になるとは。交友関係の狭さなんて現実だけの問題だと思っていたのに。ここでも俺の邪魔をするのか!?
「心配しなくても大丈夫だよ。私が相手をしてやるよ」
姐御。あなたは天使か?心なしか後光が差して見える気がする。
「でも、姐御忙しくないのか?」
落ち着いたとはいえここで俺に時間を取っても大丈夫か心配ではある。
「気にしなくても大丈夫だよ。今の状況なら私がいなくても問題ないさ」
そう言って姐御が受付を見渡すと受付にいる職員全員が頷いている。なら問題ないか。
「ランクSだった姐御に鍛えてもらえるのは有り難いな」
格上に教えてもらえるんだ。これはオラワクワクすっぞ的な感じだな。
「待ちな澪。そのランクSっていうのは誰に聞いたんだい?」
気のせいか周囲の温度が下がってるきがするのですが。そして姐御の目つきが鋭いのですが。どうしましたか?私何か粗相でも致しましたか?
「大丈夫。怒ってないから。それをどうやって知ったのか教えてくれないか?」
めっちゃ怒ってますやん。しかしこれは誤魔化せないやつだ。誤魔化したら俺が何らかの刑に処される。
って何で俺が怒られなきゃいけないんだ?冷静に考えてみよう。俺何も悪いことしてないよな。
…………。うん、考えた。俺何も悪い事してない。
はい。正直に言いま〜す。
「東の門番のおっさんが言ってたぞ」
「東の門番のおっさん?」
おっさんでは通じないか。確かにおっさん多そうだもんな、あそこ。
「隊長やってる、……何て名前だっけ?」
名前覚えてねぇや。おっさんはおっさんだしな。
「隊長ってことはユルダかい?」
「おぉ、多分そんな感じの名前だった気がする」
「なるほど。勝手に人の過去を喋るとはねぇ。これはもう少し教育的な指導が必要なようだ」
おっさんよさらば。もう少しってことは既にシメられた後だったか。どうやらお代わりがあるようだぞ。そしてお代わりはキツめなようだ。達者でな。
「よし、じゃあ、訓練所に行こうかね。こっちだよ」
姐御が歩き出したので着いて行く。怒りは消えているようだ。良かった。あのままの怒りを俺にぶつけられでもしたら色々漏れ出てしまう可能性が高かったからな。そうなったら体は死ななくても尊厳が死んでしまう。危ないところだった。俺にこんな恐怖を与えるとは、おっさんめ。もう少しキツくシメられるように姐御にお願いしておこう。
「さて、ここが訓練場だよ」
連れてこられた地下の訓練場は思ったよりデカかった。冒険者ギルドより広くないか?どうなってんだ?
「さて、始めようかね。澪は両手斧だったね」
姐御が壁に立て掛けてある武器群から両手斧を取り無造作に振るう。なんか風切り音が凄いんですけど?
「最初は同じ武器の方が訓練になるだろう。さて武器を構えな」
武器を構えなって、瞬殺されるヴィジョンしか見えないのですが。
「大丈夫だよ。ちゃんと手加減してやるから」
信じるぞ姐御。よし、気合を入れるために猫耳フードを被る。そしてバトルアックスを出して構える。
「ロジャーの装備だね。可愛くて良い装備じゃないか」
親方褒められたぞ。良かったな。
「さて、最初は澪の動きを確認しようか。私からは攻撃しないから好きに掛かって来な」
姐御は両手斧を肩に担いだ姿勢で動かない。動かないけど猛者のオーラがスンゴイ出てるんですけど。
しかしここでビビってたら始まらないな。よし、正に胸を借りるんだ。ビビってないで最初から全力で行くか。
バトルアックスを構えて姐御に突っ込む。
俺の突っ込む姿を見て姐御は笑う
「へぇ、熊を軽く殺せる程度の殺気は出してみたんだけど。ふっ、それでも迷わず向かってくるか。いいねぇ。それだけでも合格点をあげたいぐらいだよ」
「ビートダウン!!」
初手からアーツを繰り出す。
「必ず当たるなら初手からのアーツは有効だけどね。格上には隙が出来るだけの悪手だね」
姐御は必要最低限の動きでビートダウンを避ける。姐御の言う通り隙だらけになってしまった。
「ほら、反撃はしないでやるから掛かってきな」
「んっの野郎!!」
バトルアックスを横薙ぎする。
「そうだね。振り下ろしよりは薙ぎ払いの方が当たりやすいね」
そう言いながらも姐御は軽いバックステップで避けている。
すぐに追いかけてバトルアックスを振るう。
「ほら、考えて武器を振るいな。両手斧はデカい武器なんだ。一度でも避けられたら負けると思って攻撃しな」
全然当たらねぇ。狼とかはどう動くか予想出来だけど姐御は全く予想出来ねぇ。必要最低限で避けてるせいでもう少しで当たるんじゃないかって勘違いしそうになるけどさ。実際は全っ然当たらねぇ。アーツなんて避けられるから使ったら隙がデカくなるだけなんだよ。
「どうした。もう降参かい?」
冗談じゃない。まだ俺は諦めないぞ。当たると思って大振りになるのが悪いんだ。前の3頭狼の時みたいに振りを小さくして行ってみれば。
「う〜ん。少しは考えてるようだけど、それだと両手斧の特性を活かせないね」
振りを小さくしても全く当たらない。流石はSランクってか?どんだけ強いんだよ。
「よし。澪の動きはある程度わかったから一旦ここまでにしようか」
姐御が止めるまで10分程度か。全く良いところがなかった。
そして空振りし続けるって疲れるのな。
「澪は動きはいいんだけどね。戦士としての闘い方が分かってない感じだね」
まぁ、戦士としての闘い方なんて習ったことないからな。
「まず、振りを小さくしようと考えるのは悪くはないんだけどね。澪の使ってる武器は両手斧だ。両手斧の魅力は何と言っても一撃の破壊力にある。これはいいね」
勿論だ。むしろそこに惹かれて使い始めた。姐御の言葉に頷く。
「当てる為とはいえ振りを小さくしたらその魅力を自分から殺してしまう事になるだろ」
確かにそうだが当たらないと話にならないからな。
「じゃあ、どうすればいいんだって顔だね。少し考えてみなよ。振りを小さくする以外にもあるだろ」
振りを小さく以外ね。
「相手の動きを先読みして当てる」
だけどこれは姐御の動きが全く読めなくてダメだったんだけど。
「そうだね。先読みは大事だ」
「姐御には全く出来なかったけど」
姐御は俺の解答に満足気に頷いているが、実際は全く効果がなかったんだが。
「不満そうだね。でも仕方がないさ。今の澪が私の動きを先読みなんて出来る訳がないんだから」
出来る訳ないと言い切られるとそれはそれで悔しいのですが。
「はっはっはっ。そう怒らないでおくれよ。それぐらい私と澪で実力差があるって事なんだから」
確かに物凄い実力差がある。これ負けイベントだよね。絶対勝てる訳ねぇもん。圧倒的過ぎてこんなんどうすればいいんだよ。チートだ!チート!って言ってコントローラー投げてたぐらいに絶望的な感じだよ。
「どうすればいいか分からないって顔をしてるね」
はい。私は今そんな顔をしておりますよ。
「相手の動きを誘導してやればいいのさ」
「誘導?」
「まぁ、格上には通じないけど同程度の実力者には有効だろうね」
動きを誘導………。どうやって?
「ちょっと実際に試してあげるよ」
姐御が両手斧を構える。
「えぇと。澪の実力からいうと」
凄い勢いで両手斧を振るってるんですけど。
「この程度かね」
姐御凄い笑顔ですね。
「言葉で言っても分からないだろ。今から体験させてあげるよ」
体験っすか。それはどういったものでしょうか?
「今から攻撃するから避けてみな」
「いや、無理」
さっきの両手斧を振ってる感じからヤラれるイメージしかないです。
「大丈夫だよ。ギリギリ避けられる実力で行くから」
「ギリギリ!?」
もう少し手加減を所望致しますぞ。
「ほら、行くよ!」
姐御が両手斧を構えて突っ込んでくる。問答無用ですか!?
「速っ!?」
狼より全然速いんですけど?姐御が両手斧を振り下ろすのをバックステップで避ける。目の前を両手斧が通り過ぎる。
今ブォンッ!!っていったんですけど。ブォンッ!!って。
「ほら、まだまだ最初の一撃だ。避けて安心してる場合じゃないよ!」
姐御はすぐに両手斧を薙ぎ払う。避けたよ。避けたけどさ。
ギリギリ!本当にギリギリなんですけどっ!!これ前髪がパラパラいっちゃうやつですよね?
距離を取ろうにもすぐに追いかけてくるので全然距離が取れない。油断すると間違いなく真っ二つにされる。
必死に姐御の攻撃を避け続ける。反撃?そんなのする余裕なんてありませんよ?誰か助けてぇ!
「よし、こんなもんだね。どうだった澪?」
姐御が攻撃を止める。姐御が攻撃してた時間は短いが、物凄いギリギリだったから凄い疲れたぞ。ホッとしてその場に腰を下ろす。
「どうだも何も避けるのに精一杯なんですけど」
「でも避け続けられたじゃないか。今のが誘導をしてない攻撃だね」
そうですか。必死だったのでよく分かりませんでした。
「それじゃこれから誘導を意識した攻撃をするから避けてみな」
誘導を意識するもなにも避ける事で手一杯なんですが。
「安心しな。さっきよりもゆっくり攻撃するから」
「それならさっきより楽だな」
「そうだといいねぇ」
姐御の笑みに黒いものが見えるんだが。不安になることはやめて欲しいです。
「さぁ、休みは終わりだよ」
「ウィッス」
立ち上がりバトルアックスを構える。んっ?避けるだけならバトルアックスいらないんじゃないか?
「避けるだけと言っても戦いの訓練なんだ武器をしまうんじゃないよ」
武器をしまおうとしたら姐御に怒られた。言ってることは御尤もです。
改めて構える。
「よし。行くよ」
姐御がまた走ってくるが確かにさっきより遅いし威圧感も少ない。余裕がある訳ではないがこれなら落ち着いて避ける事が出来る。
姐御の攻撃を避け続けるがどんどん余裕がなくなってきた。おかしい。攻撃の速度は最初よりも遅いのに避けるのが最初よりも辛くなってきた。
「ほら、あと3手で終わるよ」
はい?避けづらくはあるけど、まだ当たりはしないって。
「はい、終わりだ」
目の前で振り抜いた両手斧が止められる。本当に3手で終わった。攻撃のスピードが上がったとかそんなのなかったぞ。
「不思議そうな顔をしてるね。これが相手を誘導するって事だよ」
「俺の動きを誘導したって事か?」
「そういう事さ。今回は私の攻撃で澪の動きを誘導したのさ。相手がどう動くか分かれば動きが速くなくても当てることは出来る。あんたも実感しただろ?」
確かに実感はしたけどさ。
「簡単には出来ないよな。これ」
というか出来る気がしないんですけど
「それはすぐには無理さ。訓練あるのみだよ。慣れてくると攻撃だけじゃなくて足運びや視線だけでも誘導できるようになるさ」
なにその熟練者の動きは?そんなの出来ないぞ。
「ちなみに相手が誘導してきた時ってどうすればいいんだ?」
「そんなの簡単さ。こっちも攻撃して相手の行動を誘導すればいい」
簡単ではないと思う。
「避けてばかりでだったらいつまでも劣勢のままだからね。こっちからも攻撃しないとね」
言ってることは分かるぞ。分かるんだけどねぇ。実際にやるってなるとハードルがものすご〜く上がるんですけど。
「言ってるだけじゃ分からないだろ。もっとゆっくりやるから澪も攻撃してきな。こういうのは繰り返し行って経験を積むのが一番だよ」
経験大事。俺知ってる。初めて大体下手。
「ちゃんともっと手加減してやるよ。澪が攻撃し易いように調整してやるから安心しな」
そこまで言うならばやってやろうじゃないか!スッゴい手加減したのを後悔させてやる。
はい。そんな強気でいた時もありました。
「ほら、そんな考えなしの攻撃じゃ誰も当たらないよ」
全く当たらないんですけど!
「相手がなにを狙っているのかそれも考えながら避けな」
また寸止めされたし!ホーミング機能とかついてんじゃねぇの?
ごめんなさい。もう少し手加減してくれてもいいんですよ。ねぇ、姐御?その爽やかな笑顔はなに?
「さぁ、こんなもんじゃないんだろ。もっと本気をお出しよ」
ごめんさない。さっきから全力です。許して!!
「よし、ここまでにしようかね」
終了と同時に大の字に倒れる。
ダメだ。一発も当たらんし、何回も寸止めされた。ダメージはないのにボロボロなんですけど。
「動きは悪くないんだけどねぇ。行動する時もっと考える癖をつけな」
何回も考えろって言われたな。そんなに俺は考えなしか?
「当てる事、避ける事。その時その時の事しか考えられてないんだよ。戦いは流れだからね。その流れも考えて行動しないとダメさ」
なるほど。
「これを上手く出来れば格上とも戦えるようになるか」
「なに言ってんだい。格上には通用しないよ」
なんですと!?
「これが通じるのは同格か少し上の相手までだね。格上にはすぐにヤられるのがオチだよ」
「じゃあ、格上に対してはどうするんだ?」
「逃げな」
え〜。逃げるっすか。
「絶対勝てないから格上なんだよ。勝てないなら逃げるしかないよ。戦って負けたらそこで終わりだ。最近ジャイアントキリングだとか言ってるやつがいるけど、あれは現実の見えないただの馬鹿さね」
キッツイっすね。姐御。
「冒険者の敵はモンスターが多い。モンスターと戦って負けたら死ぬだけだよ。次なんてないんだ。格上と戦いたいなら相手が格上じゃなくなるまで自分を鍛えるしかないよ」
正論パンチすぎる。
「でも澪はぷれいやーだから死なないか。それなら格上と戦ってもまぁ、いいか。澪もしそん時は全力でいきな。躊躇したらすぐにヤられるよ」
そうかNPCは死んだら終わりだけど、俺たちはデスペナで終わりだもんな。今の俺にはデスペナもないけど。
「今回ので分かったけど澪は圧倒的に戦闘経験が少ないね。時間がある時は相手してやるから暇な時にまた来なよ」
おっ、それは有り難い申し出。ここまでボコボコにされたままでは終われないからな。
「絶対姐御に一発入れてやる」
格上と言えどいずれは必ず一発は入れてやる。あっ、倒すとかは無理です。まずの目標は姐御に一発入れるで行きます。
「はっはっはっ。それはいい。楽しみに待ってるよ」
クソゥ。いい笑顔じゃないか。
「そうだね。もし私に一発入れられたなら私が現役の時に使ってた武器を澪にやろうじゃないか」
「マジ?」
Sランク冒険者が現役の時に使ってた武器って凄いんじゃないんですか。
「あぁ、約束だ」
うおぉぉぉ!やる気出てきたぁ!
「あんだけ死にそうな顔をしてたのに。現金な子だねぇ。これはもうちょっと強くいってもいいかもだね」
すみません。全力で謝るんでもう少し手加減してくれませんか。
名前 澪
種族 人間 女性
LV12/1↑
職業 メイン 戦士LV7/1↑
サブ ーーーー
ステータス
HP 347/47↑
MP 31/ 5↑
STR 127/ 25↑
VIT 71/8↑
DEX 67/9↑
INT 22/2↑
MIN 32/2↑
AGI 58/7↑
LUC 80/8↑
スキル
斧術LV7
LV1 斧装備時攻撃力UP小
LV2 アーツ:ビートダウン習得
LV3 斧攻撃モーション短縮極小
LV4 斧攻撃時ノックバック耐性小
LV5 斧装備時ステータスUP小 アーツ:ウッドブレイカー習得
LV6 斧装備時STR UP小 攻撃力UP小
LV7 斧攻撃時ノックバック効果追加小
EXアーツ:ハチェット習得




