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鉄道の治安を守れ! 下

 鉄道警備隊の設立が決定すると、早速俺には国王陛下から、設立準備委員会の委員長に就任するよう勅命が出た。まあ、言い出しっぺだし、この方面に詳しいのは俺なんだから当然だけどね。


 このため、数日おきに王都とトセの街を往復することにはなったが。さすがにこれは仕事なので、子供たちは置いて来ることに・・・はならなかった。アイリを秘書として連れて行く関係上、置いて行くのは可哀想だし。とはいえ、いくら一等車とは言え頻繁な長旅は子供たちは元より、子育て奮闘中のアイリの健康にもよろしくない。


 なので、金に色目をつけず、客車に寝台室を用意させました。これで子供たちと一緒に寝るのも、オーケー。ついでに、この寝台室の使い心地を検証して、国鉄向け寝台車の設計にも活かす予定だ。


 閑話休題。


 で、まず決めるのは組織の大枠と、指揮系統。法の執行機関である以上、これは大事だ。なので、鉄道省直轄で、鉄道施設内と列車内を活動範囲とした。この組織はあくまで鉄道を守るための組織で、軍や警察と競合する気はさらさらないからね。


 それに、そうならないために国王陛下に頭を下げて、内務省や国防省に根回ししたんだし。


 鉄道警備隊の本部は王都の鉄道省近くのビルに置かれ、そして鉄道沿線の主要駅至近に支部が、そして地方の駅の駅舎内に分駐所が置かれる形になった。


 我がヤマシタ鉄道には、トセ中央駅内に分駐所が置かれ、ヤマシタ鉄道管轄として15名の隊員が配属と決まった。


 鉄道警備隊の制服は、日本の鉄道公安職員が末期に着ていたもののデザインを、ほぼそのまま借用した。もちろん、紋章や徽章はオリジナルにしたけど。


 俺の目から見ると、軍隊も警察も古臭いデザインの中で、鉄道警備隊の開襟ネクタイのスタイルは、ずっと近代的だ。もっとも、守る列車の方は明治時代のそれと変わり映えしないけど。


 ただこのデザイン、採用後は明らかに軍隊や警察と一線を画するものだったので、鉄道警備隊の存在感を高めて、大いにアピールすることになったのは、予想外の収穫になった。


 そして、俺が何よりも重視したのは、日本の公安職員と同じく、基本的に鉄道警備隊員は鉄道会社社員からの選抜制にしたこと。鉄道の各種知識もないのに、鉄道の警備なんかできない。特に列車の護衛や沿線の見回り、駅の警備活動を行うとなればね。


 というわけで、国鉄やうちのヤマシタ鉄道を含む鉄道会社から、隊員を公募した。


 すると、意外や意外。募集定員の5倍近い志願者が集まった。このうち半分程度は、鉄道の現業職員よりも多い手当に惹かれてだったが、残る半分の内の大半は、鉄道職員になる前は軍人であったり騎士であったり、言わば戦いを生業にしていた人間たちだった。


 彼らにとって、鉄道現場での仕事よりも、荒事の方が性に合うと感じたようだ。


 ただ言っては悪いけど、さっきも書いた通り鉄道警備隊員は鉄道の知識に加えて法の執行職員としての知識も必要。つまり、単なる筋肉バカでは務まらない。


 だから志願者のほとんどが選考を落とされ、その中で勝ち残った20名が鉄道警備隊員に転籍した。うちの鉄道に配備された隊員数とイコールにならなかったのは、鉄道警備隊が全国区の組織であり、うちの鉄道会社からの募集人数と配備人数に差が出たからだ。


 彼らはその後、約半年の研修を行って、全国の鉄道沿線に散っていった。

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